20代のシステムエンジニア(SE)が転職する機会が増え続けています。技術職のため、20代でも他の職種と比較して転職しやすいのが、SEの特徴です。
しかし、20代のSEは社会に出てからそこまで時間が経過していないため、転職時にアピールすべきポイントを間違えてしまいがちです。
また、本当に転職すべきタイミングの見極めに失敗して、優良企業を退職したりブラック企業でうつ病になったりしてしまうのも、この年代にありかちな話です。
ここで正しい転職ノウハウを知らないと、あなたのキャリアにどうしようもない傷がついてしまうかもしれません。
そこでこのページでは、「面接官が気にしている企業側の本音」と「あなたが今すぐ転職活動を開始した方が良い状況」を解説します。
まずは、面接官の本音を知り正しいアピールができるようになってください。
その後は、本当に自分が転職すべきなのかを見極めて、正しいキャリアを築いてください。
Contents
企業側の本音を見極めること
20代の転職で大事なことは、「自分に求められているものは何か?」を見極めることです。そこを理解していないと、面接官に間違ったアピールをしてしまうことになるからです。
例えば、20代前半であれば、まだまだ重要な仕事を任せてもらえないことが多いです。そこで、自分が関わったプロジェクトの成功体験を話しても、「そこでの貢献度は、どの程度本当のことを言っているのだろうか?」と勘繰られてしまうことがあります。
20代前半の段階でそれほど活躍できる職場を離れて、積極的に転職活動をする必要性も感じないからです。
もちろん、本当に自分が活躍していたのであれば、面接官に過不足なく伝えることには問題はありません。
ただし、同時に以下の3点を伝えた方が良いです。
- 社会性があること
- ポテンシャルが高いこと
- 扱いやすい人材であること
上記の点は、20代のSEを採用するときの企業側の本音だからです。
ここからは、上記の3点について順を追って解説させて頂きます。
1.社会性はあるか?(問題児ではないだろうか?)
20代で転職する場合、社会性は注意深く観察されます。社会人としての基本的なマナーを守れずに、会社に居づらくなって転職してくる人材がいる年齢だからです。
例えば、心の中で目上の人を敬っていないと、態度に現れるものです。特に、20代のうちは、先輩や上司に反抗的な態度を取ってしまい、会社に居づらくなることがあるのです。
このような人材が入社すると、会社のトラブルメーカーになってしまうため、面接官は社会性のない人材を排除するのです。
そこで、以下のような点には十分注意してください。
- 面接の際、ネクタイが曲がっていないか?
- 面接で質問する際、手帳やメモ帳でメモを取っているか?
- 面接官の話を遮っていないか?
- 話をするときは、結論ファーストで簡潔に伝えているか?
「面接でのあなたは、最大限良く見せている状態」のため、ここで社会性のない態度を取ってしまうと、普段の仕事でも同じことをすると捉えられてしまいます。
また、面接以外のところでも社会性が問われる機会はあります。
例えば、待ち合わせ場所で落ち合う際、電話で連絡を取り合うことがあります。この場合、電話応対の時点で、すでに人物像が測られていると考えるようにしてください。
面接が始まる前から…
すでに面接は始まっているんだ!
管理人ヤマダの名言
この事実を、決して忘れないようにしてください。
自分に自信がある人ほど、注意しておきたいこと
自分の能力に自信がある人ほど、社会性には気をつけてください。会話の相手を見くびっていると、態度に現れてしまうからです。
例えば、「学歴が高い」・「難関資格に合格している」・「卓越した技術力を有している」などの理由で、目上の人を舐めてしまうことがあるのです。
しかし、どのような人にも学ぶべきところはあります。
たとえマネジメント系の資格に合格していたとしても、実務では経験者よりもマネジメントスキルが劣っていることがほとんどです。
野球のバッティング理論の本を10冊読んでも、いざ打席に立ったら一本もヒットを打てないようなものです。
すでにマネジメントを経験している人からは、スキルの面で学ぶべきところはいくらでもあるでしょう。
他にも、技術力が高いからといって自分より技術力の劣るSEを見下すことなど、ご法度です。企業内のすべてのSEが卓越した技術力を持つ必要はないからです。
マネジメント系が得意なSE・顧客との折衝が得意なSEなど、誰しもスキルに偏りがあるものです。そのような人たちから真摯に学ぶことを考えていれば、間違っても軽く見ることはできないはずです。
大事なことなので繰り返します。人を見くびりそうになったときは、誰しも自分より優れたスキルがあるということを意識してください。
自分より優れた部分を見つけて尊敬の念を持つだけで、あなたの感情は周囲に伝わるのです。
人の優れた部分を探る癖を身につけるだけで、あなたの人当たりが良くなることは間違いありません。
2.ポテンシャルがあるか?(どれくらい頭がいいの?)
20代のSEを採用するときは、現状の能力よりも「将来、どれくらい成長するのだろうか?」という点が重視されます。
実績を上げられる年齢ではありませんし、専門性を見極めるのも時期尚早だからです。
ここで最も見られるのは「学歴」です。過去に学習歴がしっかりしている人は、入社後も仕事に役に立つスキルを学ぶだろうと判断されるからです。
特に人気の企業の場合、応募者が多数になることもあり、学歴で選別することが起こります。
ただし、SEは技術職のため、有名企業であっても学歴に寛容なことも多いです。また、学歴がない場合は、資格でポテンシャルを証明することもできます。
管理人の例でいれば、専門学校を中退してベンチャー企業に就職しているため学歴は高卒です。
しかし、学生時代のうちに応用情報技術者試験に合格していたこともあり、転職市場でも評価されていました。
このように、学習歴を証明できる何かがあれば、面接官を納得させることができるのです。
ここで、あなたには現状、学歴も資格もないとします。この場合、自分の実力を証明できるアウトプットを普段から作っておくのが最善策です。
例えば、収益目的ではないブログを立ち上げて(副業がNGの企業は多い)学んだ技術を発信したり、技術力を証明できる簡単なソフトウェアを開発したりすると、面接の際に企業に提示できるようになります。
ようは、「仕事の意欲を含めた頭の良さ」を面接官は気にしているため、それに対する回答を用意するのが鉄則です。
3.扱いやすい人材か?(どれくらい、無理ができるの?)
扱いやすい人材かどうかも、面接官から確認されるポイントです。若手のSEは圧倒的に使われることが多いため、指示通りに動く人間なのかどうかを知りたいのです。
また、IT業界では繁忙期は仕事が忙しくなります。
そのため、自分の仕事だけではなく率先してチームの仕事を請け負う姿勢をみせると、無理がきく人材だと判断されて採用されやすくなるのです。
ここで大事なのは、面接や履歴書などで自分が扱いやすい人材だと証明することです。
例えば、面接の受け答えで面接官の話を遮らないことはもちろんのこと、面接官が欲しがっている答えを返すことで、扱いやすさを証明することができます。
他にも、管理人の例でいえば、履歴書の趣味の欄に「ランニング」のことを記入することで、体力があることをそれとなくアピールしていました。
すると、仕事で残業できる体力があることを、間接的に証明することができるのです。
このように、扱いやすさを全面に出すことで、面接官の評価を上げてください。
極論を言えば、組織というものは、社長以外は皆誰かに使われています。自分より立場の上の人間に扱いやすいと認識されるだけでも、相当メリットのある能力となるのです。
扱いやすい人・扱いにくい人の概念がピンとこなかった人のために!
扱いやすい人・扱いにくい人の概念が、いまいちピンとこなかった人もいるかもしれません。同期より仕事をこなしていれば問題ないと考えてしまうのも、若さの特徴だからです。
しかし、以下の図を一度見てください。
僕が複数の職場を経験したから分かることですが、企業内では以下の4パターンに分類することができます。
上記の図で、最も理想なのは「①の、仕事ができる上に扱いやすい人材」です。上司にとって扱いやすい上に仕事もできるため、どんどん仕事を任されて成長する機会も増えていきます。
反対に、一番目指してはいけないのは「④の、仕事ができない上に扱いにくい人材」です。このような人材は、組織内から疎まれて、改善がなければ追い出される流れになります。
ここで、問題になるのは②と③です。
「与えられた業務に対して平均以上のパフォーマンスを発揮できる」という意味で仕事ができる人材は、往々にして扱いやすさを軽視してしまいがちです。
あなたも、自分より仕事が遅い同僚や先輩を軽視してしまうところが、一度ぐらいはあったかもしれませんね?
しかし、このような感情を態度に出していると、あなたを良く思わない人から目をつけられてしまいます。たまに起こした失敗を追求されたり、根も葉もない噂を流されたりすると、組織内で潰れてしまうこともあり得ます。
一方、仕事は未熟だが、「先輩の言うことを素直に聞く」「上司をフォローするために残業をする」などの性格を持った人材は、扱いやすいと認識されます。
このような人材は、多少の失敗にも目をつぶってもらえますし、多くの仕事を任されているうちに、仕事もできるようになってくるのです。
考えてもみてください。
世の中の多くの仕事が、同じような仕事の繰り返しです。最終的には誰もが何かの専門性を身につける以上、成長するチャンスが多いほうがいいに決まっています。
そして、扱いやすい人にはそれだけチャンスが回ってくるのです。
もちろん30代の中核社員が仕事ができないのは論外です。
しかし、20代のうちは、仕事ができる所よりも扱いやすさを見せておくことで、多くのチャンスを掴むことができます。
そう考えると、「自分より立場の上の人間に扱いやすいと認識されるのは、相当メリットのある能力」という僕の意見にも、納得して頂けるのではないでしょうか ^v^
20代のSEが今すぐ転職したほうが良い状況とは?
ここまでの情報で、20代のSEが転職する際の面接官の本音がわかりました。
次に、20代のSEが転職すべき状況を解説します。20代のSEの中には、恵まれた環境にいながら社会人として成熟していないばかりに、転職しようとする人もいるからです。
転職後に後悔しないためには、自分が転職すべきかどうかを入念に検討する必要があるのです。具体的には、以下の3点を意識してください。
- 会社に誠実さが感じられない
- 高度なスキルが身につかない
- 未来が明るい業界に行きたい
また、現在では転職エージェントの選択肢が豊富のため、転職すべきだと判断すれば、職歴やスキルは気にせずに始めの一歩を踏み出してください。
スキルや経験が足りないなら、現在の会社やプライベートの環境で学ぶべきことが明快になるため、転職エージェントの意見を聞くだけでも有意義なのです。
そこを踏まえた上で、これから上記の3点に関して解説します。
1.会社に誠実さが感じられない
会社に誠実さが感じられない場合、すぐに転職を検討する必要があります。社員を人としてではなく、コマとしてしか捉えていない会社で働いても、決して報われることはないからです。
ここで、誠実ではない会社を見分ける手段は複数あります。例えば、福利厚生が充実していない・安い給与・長時間労働など、労働者のケアを考えていない会社には見切りをつけるべきです。
また、管理人の実体験としては、「40代以上の社員が異様に少ない会社」は要注意です。
これは、開発者としてバリバリ働ける20代~30代後半まではSEを酷使して、使い物にならなくなると追い出されるような雰囲気が、会社全体に浸透している可能性があるからです。
通常の良心的な会社であれば、技術者としてスペシャリストになったりマネジメント系のステップアップが用意されたりしています。
そのような配慮が見受けられない会社に勤務しているなら、転職を検討する必要があります。
2.高度なスキルが身につかない
現在の会社で高度なスキルが身につかない場合も、転職を検討しても良いでしょう。会社依存の仕事をいくら覚えても、会社の経営が傾いてしまった場合、市場価値のない人材になってしまうからです。
SEの世界でも、業務時間外で積極的にスキル向上に励む人材は少数派です。
しかし、このような仕事に意欲的な人材は、転職市場で企業から評価されます。
実際に、管理人もマネジメント系の書籍を読み漁り、「行動科学マネジメント」の知識を前職で実践していたこともあって、転職市場で高評価を受けたことが何度もあります。
現状の職場では高度なスキルが身につかない・あるいはスキルを活かす場が用意されていないと感じているなら、転職を検討してください。
適性がなくスキルが身につかない場合は?
自分のレベルが高くてスキルが身につかない場合以外にも、自分のスキルが社内の平均に届いていないことがあります。この場合でも、今後スキルが身につきそうにないなら別職種に転職することをおすすめします。
適性がないから別職種に転職するという行為が正しいことは、管理人の実体験があるため間違いありません。
僕は、開発系SEでは会社の平均程度のSEにすぎませんでした。
しかし、運用系SEに転職した途端、社内の平均以上のパフォーマンスを楽々発揮することに成功しています。
会社がどのようなスキルを重要視しているかで、実力が発揮できるか否かが決まることがあるのです。
ただし、注意点として、「本当に適性がないかどうかを見極めて未練を断ち切ること」を意識してください。これも僕の経験談なのですが、開発系SEとしてのキャリアを断ってしまったことに関しては、間違いだったかもしれないなぁと後悔することが今でもあります。
もし、職種を変える決断がつかないなら、以下の記事を参考にして転職する勇気を持ってください。
3.未来が明るい業界に行きたい
IT業界の中でも、今後の見通しが明るい業界とそうでない業界があります。自分が積み上げたものを無駄にしないためには、できる限り明るい業界に身を置きたいところです。
例えば、SI(システムインテグレーター)と呼ばれる業界では、建築業界の下請け構造と同じ形のピラミッド構造になっています。どれだけピラミッド上層の会社に行けるかで給与やポストが決まってしまう業界です。
また、SI業界の上流はExcelばかりをいじってスキルが身につかない・下流は中間搾取のために適性な給与を受け取れない、など業界全体の問題点が指摘されています。
このような業界から離れたいのであれば、転職以外に選択肢はないでしょう。
転職先の候補は複数あります。
例えば、独立系のBtoC系Webサービス企業などを選択すれば、将来的に自分が小規模Webサービス事業を立ち上げるためのノウハウが学べるでしょう。これは、SI業界にいたままWeb系のスキルを独学で学ぶより効率が良いことです。
他にも、大企業の社内SEを選択すれば、安定した生活を手にする確率が高まります。社内SEであっても、スケジュール調整や非エンジニアに対してのコミュニケーション能力が磨けるため、社外でも通用するスキルを身につけることはできます。
ようは、未来が明るい業界に居れば、どのような職種でもスキルを磨くことは可能になるのです。
まとめ:20代では傷つくことを恐れないでください!
このように、20代のSEが転職する際は、面接官にどこを見られているかを意識する必要があります。
また、本当に転職すべきかどうかを判断することも重要になります。20代で活躍できる会社は多くないため、我慢が必要な場面もあるからです。
ここで、専門家に相談しないで一人で転職を決めてしまうと、転職後に後悔する可能性が高まります。そうならないためには、転職エージェントや本音を話せる人に相談して、自分の市場価値を客観的に分析する必要があります。
ここで仮に、自分が実力不足だったとしても、傷つく必要はありません。
「数年後のステップアップのために取り組むべきスキル開発が明確になった」と解釈すれば良いでしょう。