システムエンジニア(SE)が転職するとき、複数の面接を突破する必要があります。また、面接の最後には、あなたから面接官に対して逆質問を行うことになります。
そこでは、思い付きで質問をしてはいけません。ここで、どのような質問をするかであなたの力量が計られているのです。
30分~1時間程度の面接で合否が判断されるため、一つ一つの逆質問をアピールタイムと捉えないと、ライバルSEに見劣りしてしまいます。
そこでこのページでは、「SE転職で印象の良くなる逆質問・悪くなる逆質問」を解説します。
Contents
印象の良くなる逆質問
はじめに、印象の良くなる逆質問を解説していきます。質問は疑問点を解消するだけではなく、自分をよりアピールするためにも利用できるという事実を忘れないようにしてください。
具体的には、以下の質問はどのような企業に対しても有効です。
- 会社の困っているところを聞く
- 入社後に必要になる知識やスキルを聞く
順を追って解説させて頂きます。
1.会社の困っているところを聞く
現状、会社の中で困っていること(問題点)がないかを聞くのは有効です。どのような企業も、完璧な体制で運営しているわけではないからです。
特に、中途採用を必要とする企業は即戦力を求めています。
ここで、企業が困っているところを、自分がフォローしてあげられることをアピールできれば、面接に通過しやすくなるのです。
例えば、会社の中で困っていることはないか? という質問に対して、「新しい拠点を◯◯で立ち上げたが、そこに転勤できる人材が社内で見つけられない」という返事が返ってくるとします。
このとき、独身で身軽な立場であれば、積極的にアピールするチャンスです。
「私は独身という立場なので、そのような転勤も難なくこなせます。」といえば、多少現状の技術力に不安があっても、使いやすさで採用されるかしれません。
この場合、新規部署の立ち上げに関わることで、重要なポジションを任されるというチャンスまで手に入れられるでしょう。
ほかにも、システムの運用SEやテスト系SEの職場では、プログラミングスキルを持っているエンジニアは珍しいです。
「Excelでマクロが組める人がいなくて困っている」という悩みに対して、「VBで開発していた経験があるため、Excelのマクロであれば1ヶ月で覚えられます」というアピールをすれば、企業の悩みを解消できるでしょう。
ようは、企業側の悩みを上手く吐き出させた上で、「私の◯◯という能力で、その悩みを解決することができますよ!」ということをアピールすることで、有能な志望者だと認識させることが大切です。
常に、会社の困っていることを自分の能力で解決するために、悩みを聞き出す質問をしてください。
2.入社後に必要になる知識やスキルを聞く
入社後に必要になる知識やスキルを聞くのは有効です。向上心が強いところをみせることで、優秀なSEが面接に来たと認識されるからです。
ここで一つ、僕が運用SEの仕事の面接に臨んだときと話をさせてください。
僕が面接を受ける企業は、事前に転職エージェントに企業情報をヒアリングした結果、Linux系のサーバーを活用する企業だということが判明していました。
そこで、前職で使用していたLinuxのコマンド集を面接の数日前から復習し、当日はカバンに入れて持っていきました。
面接の本番で、「何か必要な知識やスキルはありますか?」と質問すると、「Linuxサーバーは使用するので、コマンドの意味などは最低限理解できなければならない」という想定通りの回答が返ってきました。
僕はここで、さりげなくカバンからLinuxのコマンド集を取り出し、「ちょうど、運用SEとしてのキャリアを積むために、前職で使用していた書籍で復習していました!」とアピールしました。
その結果、難なく転職に成功したのです。
これは、フランクな企業の面接だから出来たことではあります。
しかし、どのような企業でも、「必要な知識やスキルを聞き出して、自分の向上させたい分野と一致していること」をアピールすることは有効です。
面接官から「理想のSEが面接に来てくれた」と認識させることで、面接の印象を良くしてください。
こんな逆質問はご法度
次に、やってはいけない逆質問を解説していきます。思い付きで質問すると面接官に悪い印象を与えてしまうため、これから説明する点は必ず抑えておいてください。
現状のあなたが以下の質問を繰り返していた場合、知らず知らずのうちに面接官に悪い印象を与えてしまっています。
- すでに面接官が説明したことや調べればわかることを聞く
- 仕事内容以外のところばかりを聞く
- スキルアップできるかを聞く
なぜ、上記の質問が問題なのか、これから詳しく説明させて頂きます。
1.すでに面接官が説明したことや調べればわかることを聞く
すでに面接官が説明したことや、調べればすぐにわかることを聞くと、面接官に悪い印象を与えます。特に、面接官が説明したことを把握していないと、話を聞いていないと判断されてしまうのです。
これは、自分が普段の職場で同僚に同じことをされたときのことを考えてみると理解しやすいでしょう。
例えば、同僚に一度説明したことを、もう一度尋ねられたとしたら、「メモをとってくれよな…」と考えてしまうはずです。
また、調べればわかることを聞いてこられると、「貴重な時間を無駄にして欲しくない」と感じますよね?
面接官は、「面接時のあなたの姿が100%のあなた」だと認識しています。面接では、自分を少しでも良く見せようと取り繕うのが一般的だからです。
そのため、面接官の話は絶対に聞き逃さないように、メモできる状況なら必ずメモを用意してください。
さらに、ホームページに掲載されている情報などは、面接前に確認しておいてください。ホームページに掲載されていることを掘り下げて質問することで、好印象を与えることができるからです。
僕の例でいえば、開発系企業の面接を受けたときに、ホームページ上にiPhoneアプリを公開している事実に気がつきました。
そこで、「なぜ、ホームページでアプリを公開しているのか? また、そのアプリは誰がつくったものなのか?」を質問しました。
すると、「社内勉強会を開催していて、そこで開発したアプリ」であることが判明しました。
これは、「何か社内の技術力を高める取り組みはありますか?」と質問するより、テンポの早いやり取りです。
ようするに、「そこまで知っているなら話が早い」という感情を面接官に抱いてもらうことかできるのです。
人は、自分に関心を持つ人に興味を持つものです。つまり、「どうすれば自分のことを見てもらえるのだろう?」と考えるよりも、「この会社のことをもっと知りたい!」という態度で接したほうが、自分を見てもらえるのです。
自分に関心を持ってもらう秘訣は、心の底から相手に関心を持つこと!
管理人ヤマダの名言
この事実を忘れないようにしてください。
2.仕事内容以外のところばかりを聞く
仕事内容以外のところばかりを聞くのも控えてください。仕事に関心がないのかと勘ぐられてしまうからです。
例えば、「会社で頻繁に飲み会がありますか?」などの質問が最初に来ると、面接官からは「いきなりそこ? 当社のビジネスに関心がないのかな…」と思われてしまっても仕方がありません。
基本的には、「チームは何人体制か?」「僕は◯◯という考え方を持っているが、リーダーとは相性が良さそうか?」など、仕事に直結する質問を心がけてください。
一生懸命仕事を頑張る人材を嫌う企業は滅多にないため、とにかく仕事熱心だと思われることが重要になるのです。
聞きづらい話は転職エージェント経由が基本
いくら仕事に関すること以外はイメージアップにつながらないといっても、給与や労働条件のことなど聞かなければならない話はたくさんあります。
20代中盤を過ぎると既婚者も多く、理想だけでは生活できないことも、痛いほどよくわかります。
このような、「必ず聞かなければならないけれど、面接中に聞くとイメージが悪くなる質問」に関しては、転職エージェント経由で質問するのが常套手段です。
転職エージェントは、履歴書の作成指南や面接対策をしてくれるだけではありません。給与交渉などの面接ではやりにくいことも代行してくれる心強い存在です。
特にSEは押しが弱い人も多いので、営業さんが代わりに積極的に交渉してくれる転職エージェントは、理想のパートナーになるでしょう。
3.スキルアップできるかを聞く
スキルアップできるかを聞くのも要注意です。一見すると印象が良さそうですが、「スキルを高めて、また別の会社に転職されてしまうのでは?」と捉えられてもおかしくないからです。
もちろん、スキルを磨きたいと思うことは重要です。
しかし、「スキルを磨きたい」という感情は自分が主体になっているため、自分勝手な印象を持たれてしまう可能性があるのです。
そこで、会社の利益に貢献したいということをそれとなく伝えた上で、教育制度が充実しているのかを聞き出すのが常套手段です。
例えば、以下のように質問するのがよいでしょう。
私は、会社に依存せずにスキルを磨く習慣を身に付けており、前職では独学で◯◯というスキルを磨いていました。
しかし、前職では会社でそのスキルを活かせる場所がありませんでした。 力を発揮できる機会さえあれば、頂いた機会に応えられるように常にスキルを高めて会社の利益に貢献するつもりですが、御社では意欲的なSEのためにどのような機会を用意していますか? |
上記のように、機会さえ与えれば勝手に成長していく人材だという印象を与えることが、面接での好印象につながります。
よほど教育に力を入れている大手以外は、社員の自主性にスキルアップを委ねているため、自主的に学習する人材は貴重だと考えているからです。
繰り返しますが、「自主的にスキルを獲得する習慣があり、機会さえ与えれば勝手に成長して利益を上げる」と思われることが最重要です。
その上で、「向上心の強いSEに与えられるチャンスの中に、教育制度も含まれているか?」をさりげなく聞き出してください。
このように、SE転職の面接では、印象を良くする逆質問・印象を悪くする逆質問が存在します。
自分が知りたいことを質問するのではなく、面接官が聞きたい質問をすることが、面接を突破する鍵となるでしょう。
余談 会社に利益をもたらすことを考えていれば、スキルなど勝手に高まる
僕が20代をSEというキャリアに費やして思うことは、「会社に利益をもたらすことを考えていれば、スキルなど勝手に高まるもの」だということです。
振り返ると僕は、行き当たりばったりな人生を送ってきました。
最初に就職したベンチャー企業では、社会人としての礼儀がなっていない状態から、入社後すぐに顧客からのクレーム対応を全面的に任されました。
僕がいなくなったら、会社の業務が回らなくなり、会社が不利益を被るような状況です。
そこで、無我夢中でクレームの対応しているうちに、気がついたら文書力が向上していました。
また、顧客の怒りをなだめて低評価を消してもらうために、心理学の本を読み漁るなどの経験をしてきました。
このときの、「怒っている人にまずは共感を示す」というスキルは、社会人として軋轢を起こさないコミュニケーションスキルにもつながりました。
さらに、この顧客からのクレーム対応をマニュアル化して、社員の誰でも対応できる仕組みをつくることで、マニュアル制作のスキルや指導力を磨くことができました。
与えられた仕事をクリアする上で、必死に会社に利益をもたらそうと考えて行動したら、スキルが勝手に高まっていたのです。
30代になって改めて職歴を振り返っても、このスキルはどこに行っても通用すると思えるスキルは、無我夢中で仕事をこなした時に身につけたものがほとんどです。
そう考えたとき、「◯◯というスキルをピンポイントで磨くための転職」というのは、幻想だということに気がつきました。
企業が違えば、必要になる知識やスキルも、完全に一致することはありません。
常に重要な仕事を背負い、その仕事を投げ出さずにクリアすることで、社会人として「ワンランク上」の景色をみることができるのだと、僕は考えるようになったのでした。
(余談終了)