職業を選ぶ上で欠かせないものの一つに「将来性」かあります。せっかくコツコツと経験を積み上げても、職業自体がなくなってしまうと、努力が水の泡になるならです。
これは、IT業界で働くシステムエンジニア(SE)にとっても、他人事ではありません。
むしろ、技術の移り変わりが激しいIT業界だからこそ、将来性を気にする人は多いのです。
結論からいうと、SEには将来性があります。昨今のエンジニア不足もあり、年収・仕事環境・時間の全てを手に入れられる貴重な職種となるでしょう。
ただし、SEだからといって安心していては、知らず知らずのうちに価値のないエンジニアになるかもしれません。
そこでこのページでは、「SEの将来性」「働き方」などについて解説します。
Contents
IT業界の影響力は増え続ける一方
SEに将来性があるかを語るうえで欠かせないのは、「SEが働いているIT業界に将来性があるか?」ということです。
結論からいうと、IT業界全体では伸び盛りといえます。
考えてもみてください。あなたが今見ている当サイトは、何を使って閲覧していますか?
もちろんパソコンを使っている人もいるでしょうが、スマホやタブレット端末を使ってサイトを閲覧していることのほうが多いはずです。これらの端末は形を変えたパソコンであり、今では世界中の人たちがポケットにパソコンを入れているのです。
つまり、その小型パソコンを使って、ITサービスに接する時間も増加の一途を辿っています。
- 動画サービス
- ネットショッピング
- ゲーム
世間の人たちは、ありとあらゆるサービスを利用しています。そして、これらのサービスを動かすためには、SE(ITエンジニア)の力が必要になるのです。
若者の○○離れが進む中、ITサービスだけは老若男女問わず近づいています。
それなら、SEが働くIT業界にも将来性があるに決まっています!
なお、現在では、ホワイトカラーの事務仕事を自動化する「ロボット技術のRPA」や「人工知能であるAI」が台頭しています。
これらが多くの仕事を奪うのは事実ですが、これらのソフトウェアを構築したり運用したりする人材の需要は増え続けるのです。
今までは聖域だったホワイトカラーの仕事が徐々に奪われていく中、SE(ITエンジニア)の仕事こそが聖域になる日も近いかもしれませんね。
多様な働き方を選べるのもIT業界の特徴
ここからは、IT業界に身を置くことで得られる「多様な働き方」について解説します。
IT業界には、普通の正社員だけではなく、個人事業主として独立する「フリーランス」や自宅で勤務する「リモートワーク」など、多くの働き方が生まれているのです。
この多様な働き方は、IT業界の輝かしい未来を証明しています。
現在は、日本大企業のトップであるトヨタ自動車の社長が、「終身雇用は実現できない」と発言する時代です。会社員としては、会社を選ぶのではなく働き方を選んでスキルを身に付けることで、初めて心の平穏を手に入れられます。
IT業界で多様な働き方を選択すれば、効率的に能力を身に付けることができるでしょう。
具体的には、IT業界では以下のような働き方が存在します。
- 正社員
- 派遣社員
- 企業常駐型フリーランス
- 在宅フリーランス
- リモートワーク
それぞれの働き方を、簡単に解説させて頂きます。
1.正社員
正社員は、企業内で働きたいSEの一般的な働き方です。どこかの企業に採用されて、通常は月~金曜日までフルタイムで働きます。
世間体・年収・安定など、一般的な幸せを掴みやすい働き方です。
現在では、エンジニア不足の影響もあり、未経験からでも高年収を提示する以下のような企業も増えてきました。
どの業界でも正社員の求人はありますが、「未経験OKかつ高い給料を目指せる」のはIT業界特有です。
2.派遣社員
派遣社員は、企業から依頼を受けて、一定期間だけ企業内で働く働き方です。IT業界では、低スキルプログラマー・ヘルプデスク・運用オペレーターの仕事で、派遣の仕事がたくさんあります。
低スキルな仕事である分、そこまでのITスキルを求められずに初心者でも挑戦しやすいのが派遣社員の特徴です。
ほかにも、旦那が転勤族の妻なども、高時給かつ転職が容易なIT派遣を選択することがあります。
以下の求人のように、OJTで育ててもらえながら、なおかつ高時給の案件も大量にあります。
知人より少しITに詳しいというレベルで始められて、高い時給で働けるのがIT業界の派遣社員です。
3.企業常駐型フリーランス
ここからは、IT業界以外ではあまり見られない雇用形態を解説します。
IT業界で最も簡単に独立できるのが、「企業常駐型フリーランス」という働き方です。個人事業主の立場で企業と契約して、企業内でエンジニアとして働くことになります。
IT業界では、足りない人材を外から集めてきてプロジェクトを回すのが一般的です。
このとき、企業とあなたとの間に極力中間業者を入れないように立ち回って仕事を受注すれば、正社員時代と変わらない働き方で稼げるSEになれます。
例えば、以下の案件は、中間業者を極限まで減らしていることで有名なフリーランスエージェントの案件です。
また、開発者の仕事だけではなく、マネジメント系の仕事まで選択できるのも、企業常駐型フリーランスの特徴といえます。以下の案件は、マネジメント職の典型例です。
このように、正社員を退職して取引先を変えるだけで稼げるSEになれるところが、IT業界の明るい未来を示しています。
4.在宅フリーランス
在宅フリーランスは、顧客と契約を交わして、個人で仕事を受注する働き方です。個人で開発できるレベルの小規模なシステム開発を受注して、場所を選ばずに仕事ができます。
例えば、スタバで仕事をしたり海外ノマドとしてホテルで仕事をしたりできるのが、在宅フリーランスの良いところです。
仕事自体は、会社員時代のコネクションを利用することもあれば、インターネットのマッチングサイトで仕事を見つけることもあります。
上記のように、インターネットのマッチングサイトで条件が合えば、企業とも手軽に取引できるのです。
できるエンジニアは報酬以上の素晴らしい仕事をするため、自然と現在のクライアントに他のクライアントを紹介してもらえて、仕事量も安定します。
また、「休む暇もなく仕事をするのも良し、1年の半分は休んでバカンスを楽しむのも良し」という、自分の裁量で好きなように働けるのも在宅フリーランスならではです。
このような働き方ができるのは、デザイナーやライターなどいくつかの職種に限られます。その中でもエンジニアの単価が最も高く、IT業界で働く素晴らしさを証明しています。
5.リモートワーク
リモートワークは、在宅フリーランスと似ている働き方です。リモートワークで働くエンジニアは、特定の企業に在籍はしていますが、決められた日以外は自宅で仕事ができます。
例えば、リモートワークを取り扱うエージェントでは、以下のような求人が出ています。
(契約は業務委託です。)
企業常駐型フリーランスのような安定した仕事量と、在宅フリーランスのようなストレスフリー生活を両立できるのが、リモートワークです。
SI業界など斜陽になる業界もある
IT業界が伸び盛りであることは前述の通りですが、一部では衰退していくだろう分野もあるのです。
具体的には、SI業界に関しては、これからビジネスモデルの転換が迫られている業界といわれてます。
ここで、まずはSI業界の説明をさせてください。
SI業界とは、顧客のシステム構築から運用までを一括で請け負い、顧客業務の効率化を目指すITサービス業のことです。
SI業界には、システムを外注する顧客企業と、SIer(システムインテグレータ)と呼ばれる顧客から仕事を受注する元請け企業が存在します。
しかし、元請け企業ではシステムの全てを開発するための人員が確保されておらず、下請け企業から足りないSEを派遣させるのです。
このとき、元請けから下請けに仕事を外注するにあたって、中間搾取があります。「顧客企業からSEひとりにつき月100万円で請け負い、下請け企業に月90万円で外注して、SEひとりにつき10万円の儲けを得ている」と考えてください。
ここで、元請け企業および元請け企業にぶらさがる下請け企業だけで、システムが完成するとあなたは思いますか?
結論からいうと、SI業界にはもっと根深い問題があります。
現実では、元請け企業から仕事を請け負った下請け企業が、同じように自分の下請けにSEを外注する事態が起こっているのです。SEひとりにつき月90万円で仕事を受けていたら、次は月80万円で下請け企業に流しています。
こうしてピラミッドが形成されていくうちに、顧客企業が多くのお金を支払っていても、末端のSEにはお金が入ってこない状況が発生するのです。
このピラミッド構造は、建築業界と同じようなピラミッド構造をしていることから、「ITゼネコン」とも呼ばれています。
この、ピラミッド構造は、現場のSEからはとても不評です。無意味な中抜きが発生することで、自分に入るべきお金が入ってこないと考えるのは自然なことでしょう。
そこで、転職できるレベルの技術力を持ったSEであれば、このような中抜きが発生しない、自社サービスを展開している企業に転職しています。
このような歪みがある構造を採用しているSI業界が、これから力をつけていくとは考えづらいです。
また、システムがクラウドサービス化して、専用のシステムを構築する必要がないことも、これからの時代は加速化していきます。
例えば、バイトのシフト管理システムや社内チャットなども、専用のシステムを開発せずとも、すでに素晴らしいサービスが複数あるのです。
ゆえに、これからのSI業界は、大きな転換を求められるでしょう。
技術者として生きる以上「常にスキルを身につけているSEに将来性がある」
IT業界には、間違いなく将来性があります。今後も全産業にIT企業が食い込むことで、ITなしではビジネスができない状況になるでしょう。
しかし、だからといって全てのSEに将来性があるわけではありません。
当たり前の話ですが、給与以上の価値を出せるSE以外は、企業には必要ないのです。特に、これから大人になる人たちはITリテラシーが高く、少し詳しいぐらいの人間では何の価値もないことは明らかだといえます。
ここで大事になるのは、「市場価値の高いスキル」です。伸び盛りのAI業界で使われているPython、多くの業務系システムで使われているJavaなど、市場価値のあるスキルを身につけることで、会社に依存せずに生きていくことができます。
現在では、会社が終身雇用で守ってくれる時代は終わりました。
すなわち、従来の「安定企業に転職 = 安全」という価値観から、「スキルを身につけられる転職 = 安全」という価値観にシフトできたSEが、輝かしい将来をゲットするのです。