システムエンジニア(SE)は、「技術者」という位置付けの仕事です。
そして、多くのSEは技術者である前に会社員であるため、どこかの企業に勤務する必要があります。
ここで、「IT企業に入社するためには、学歴が必要なのか?」と疑問に思うことでしょう。せっかくSEになっても、IT業界がコンサル業界のように超高学歴のみを選別している世界なら、低学歴が努力する意味はありません。
一度きりの人生、せっかく努力をするなら「実りのある努力」にしてこそ、意味のある人生だったと思えるはずです。
そこでこのページでは、「SEに学歴は必要か?」「学歴がなくても活躍できるSEになるには?」について解説します。
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学歴があるほうが選択肢は広がる
新卒で有名企業に就職するときは、学歴が物凄く効力を発揮します。学生には実績がないため、学習歴の指標である学歴から、「頭脳・学習の継続力・真面目さ」などを測ろうとするのです。
これはIT業界に限らず、日本全体にいえる採用の文化といえます。
IT業界でも、学歴が高い人たちが、大手SIerや有名外資系企業から内定を獲得しています。(ただし、高学歴だから絶対に有名企業に入れるというわけではなく、「面接までならたどり着ける」ぐらいのニュアンスです。)
また、高学歴がITベンチャーに行ったとしても、「あえてベンチャーに来た」ということで、仕事を任せてもらえることが多いです。ベンチャーには人材が集まりにくいため、能力が高そうな人間に仕事を任せようとするのは当然といえます。
このように、学歴があるにこしたことがないのは、紛れもない事実です。
学歴がなくても稼ぎやすい職種がSE
前述の通り、学歴があるにこしたことがないというのは確かなのですが、「学歴がなくても稼ぎやすい職種がSE」であるのも事実です。
これは、以下の2つが主な要因といえます。
- SEが技術職である
- エンジニアの生産性は人によって数倍~数十倍の違いがある
「1.SEが技術職である」ということは、言い換えると「スキルが明確になりやすい」ということです。学歴でポテンシャルを証明するまでもなく、スキルで実力を証明できます。
次に、「エンジニアの生産性は人によって数倍~数十倍の違いがある」という事実も、SEという仕事を稼ぎやすくしている要因です。
どれだけ高い給与を支払ったとしても、それ以上のお金を会社にもたらすことがわかっていれば、学歴がなくても採用したいと考える経営者はいます。
例えば、僕がかつて在籍していた社員数20名程度の開発系企業では、20代前半でも生産性の高いSEには高い報酬を支払っていました。
SE一人一人の貢献度がExcelでグラフ化されており、誰が会社に貢献しているかを明らかにする仕組みが完成していたからです。
特に、体系化された大企業よりも、個人の生産性が最大限発揮できる少数精鋭の企業で、このような企業文化が発達している傾向があります。生産性の違いを給与に反映している企業に入社することで、学歴がなくても稼げるSEになることは可能です。
学歴がないSEが稼ぐ方法
ここからは、具体的に学歴がない人がSEとして稼げるようになる手段を解説します。
結論からいうと、以下の3点を意識することで、学歴がなくてもお金を稼げるようになります。
- 下請けSEとして経験を積み転職によってIT業界を渡り歩く
- 技術力を高めてフリーランスになる
- 高報酬を支払う企業とのコネクションがある転職エージェントを活用する
この記事を書いている僕自身、学歴がない中で、少しでも要領良く振る舞ってきたつもりです。
これから、学歴のないSEの稼ぎ方について解説させて頂きます。
1.下請けSEとして経験を積んで転職によってIT業界を渡り歩く
下請け企業のSEとして経験を積んで転職によってIT業界を渡り歩くのは、学歴がない人が稼げるSEになるための常套手段といえます。IT業界では、建築業界と同じように「元請けと下請けからなるピラミッド構造」を取っていることも多く、下請け側なら簡単に潜り込めます。
具体的に、IT業界におけるピラミッド構造を図にすると以下の通りです。
この構造は、顧客からシステムの構築を一括受注するSI業界にありがちな業界構造です。顧客のシステム開発を請け負う元請け企業に多くの下請け企業がぶら下がっている構造を取っています。
ここで元請け企業のSEになるには、高い学歴を得て新卒で入社するのが王道のルートです。ただし元請け企業では技術力よりもマネジメントを重視していることも多く、プログラミングや設計の経験はそれほど積めません。
一方、下請け企業の場合、現場でプログラミングや設計を経験できます。なお、現場にはさまざまな企業から派遣されたSEが働いており、彼らからスキルを学ぶこともできるのです。
ここで、下請け企業だからと腐らずに給与以上の仕事ができるようになれば、転職市場に出ることで引く手あまたになります。
転職市場においてはスキルが重要視される傾向にあり、年収を上げる転職が実現可能です。
2.技術力を高めてフリーランスになる
技術力を高めてフリーランスになるのも、学歴がない人が稼げるSEになる秘訣です。適切なフリーランスエージェントと取引すれば、マージン率が少ない案件を紹介してもらえるからです。
例えば、世の中には以下のような案件があります。
上記のフリーランスエージェントでは、マージン率が10%程度なので、一カ月に75万円を超える報酬を獲得できるのです。
僕は別に、必ずフリーランスになれといっているわけではありません。もちろん、世の中には技術力を評価してくれて正社員で働ける企業もあります。
ただし、仕事を探せば探すほど、IT業界にはSIer関連の仕事が多いと気がつくはずです。そして、SIer関連の仕事だとピラミッド構造のどこかに組み込まれるため、余計なマージンが取られます。
そうならないためには、技術者を評価している自社サービス企業に入社するか、フリーランスになるのが稼ぐSEの常套手段です。
便利ツール制作で隙間時間に稼いでいる人の話
僕の知り合いの人に、インターネットのマッチングサイトで「小規模な便利ツール」の制作を受注してお小遣い稼ぎをしている人がいます。
具体的には、Excelのマクロを使って数時間で完成させられるプログラムを構築して、5000~10000円程度の報酬を得ているのです。彼は、このプログラムを数時間で完成させられるため、時間給換算では2000~3000円程度になります。
プログラミング能力が高まれば、隙間時間の副業で普通の短期バイトを上回るお金を稼げるのがポイントです。
仮に運悪く失業しても、彼のような人間は、二度とアルバイトには戻らないでしょう。
プログラミング能力を活用して受注開発でもすれば、アルバイトより楽に生活できるはずです。
この例からもわかるように、技術力を身につけると、新たな世界が広がります。
IT業界では、マネジメント側にステップアップすることばかりが出世コースだと考えられがちです。
しかし、マネジメントスキルは組織以外では役に立ちません。一度失業すると、いきなりマネジメント職を得るのも難しいです。
その点、技術力があれば、セーフティネットとしても機能しますし、気軽にお小遣い稼ぎもできます。
技術者にとって、理想の時代が近づいてきた気がしています。
3.高報酬を支払う企業とのコネクションがある転職エージェントを活用する
高報酬を支払う企業とのコネクションがある転職エージェントを活用するのも、学歴がない人が稼げるSEになる秘訣です。年収が高い企業に入社できれば、おのずと稼げるSEになれます。
例えば、当サイトでおすすめしている「マイナビエージェントIT」は、大手企業とのコネクションがある転職エージェントです。以下のような大手企業への採用実績が多数あります。
このように、大手企業に人材を紹介してきた転職エージェントでは、大手企業がどのような人材を求めているかを把握しているものです。
その中には、もちろん学歴がないと評価してくれない企業もあるでしょう。
しかし、面接前にそのような企業の実態を知れるのは、とても良いことです。さらに、職歴重視の大手企業であれば、入社するチャンスが十分あります。
こうして大手企業に入社できれば、独立したり企業を渡り歩いたりしなくても、安定性と給与を両立できるのです。
基礎学力を証明できる資格は取得しておくこと
全てのSEに学歴がないのは仕方がないことです。
日本において大学は、10代~20代前半の若者が通う場所になっています。学歴の大切さに大人になって気がついても、大人になってから大学に通うのは容易ではありません。
僕も、学歴がないせいで、転職活動時に始めから検討に入らない企業が多数ありました。
しかし、IT業界ではエンジニアとしての素養を証明できる資格試験があります。特に、「情報処理技術者試験」に関しては、IT業界にいるなら誰でも知っているため、取得することで学歴の代わりにはなります。
例えば、僕も「ソフトウェア開発技術者(現在は応用情報技術者と呼ばれている)」の試験に合格していたお陰で、転職活動では大抵面接まで進めました。
社会人が本気で取り組めば、一年程度で合格できる資格です。完全なバカでは受からない資格なので、この資格を持っているだけでしっかりとした人だというイメージを勝手に持ってもらえます。
ほかにも、ネットワークエンジニアになるならCiscoが運営しているCCNAやCCNPを持っておくと有利です。データベースエンジニアであれば、ORACLEが運営しているオラクルマスターが最も有名です。
ようは、業界で最も使われている製品の資格を取得して、その分野における知識やスキルがあることを証明してください。
中途採用においては、学歴でポテンシャルを証明するよりも、業務に関係のある資格で実力を示したほうが効力を発揮します。
なお、近年ブログや動画メディアにおいて、「エンジニアに資格は必要ない!」というメッセージを発信している人がいますが、「誰が言っているか?」に着目してください。
資格が必要ないといっている人たちは大抵、「学歴が高くてすでに頭の良さを証明できている」か「フリーランスで独立して数千万円稼げるほど技術力が卓越している」かのどちらかです。
たしかに、彼らレベルであれば資格は必要ないでしょう。
しかし、普通にSEとして企業で働くなら、資格を持っているだけで面接を通過できるなど、その恩恵は測り知れません。
「自分の立場ではどうか?」ということを意識して、場合によっては「資格を学歴代わりにする」ことを、当サイトではおすすめしています。
まとめ
学歴は、あるに越したことはありません。僕も、学歴がなかったため、少ない選択肢から少しでも良いものを選ぼうと必死でした。
ただし、学歴はあくまで、その人の力を証明する指標の一つに過ぎないともいえます。
- デブとスリムならスリムのほうがよい
- 貧乏とお金持ちならお金持ちのほうがよい
- コミュ障とコミュ力抜群ならコミュ力抜群のほうがよい
- 身長が低いのと身長が高いのなら身長が高いほうがよい
上記のように、「そりゃあ、あるのとないのとどっちが良いかと聞かれたら、あるほうが良いよ」といえるものの一つが「学歴」に過ぎません。
ここで、「学歴が絶対に必要」だとか「学歴は一切必要ない」のように極端に考えても、自分の人生を不幸にするだけです。「あるに越したことはないが、なくても何とかなる!」ぐらいに考えておくのが、精神衛生上健康的であることは間違いないでしょう。
それに、SEであれば、学歴の至らなさをスキルや職歴でカバーできます。そういう意味では、「稼げる選択肢が少ない人が、SEとしてステップアップしていくこと」を心から応援したいというのが、僕の正直な気持ちです。