システムエンジニア(SE)になったとき、あなたはSEという職種に希望を抱いていたはずです。伸び盛りのIT業界に身を置くことは、最高の選択肢であることに間違いありません。
しかし、IT業界で働く人のすべてが、順風満帆に働いているわけではありません。
「自分はSEに向いていないのではないか?」
このような疑問を抱きながら仕事をしているSEもいるのです。かくいう僕も、10年近くSEとして生きている中で、「もうSEは限界だ!」と感じたことは、一度や二度ではありません。
ですから、あなたが「SEに向いていない」と感じてしまう理由も、重々理解しているつもりです。
ただ、「SEに向いていないかも」という感覚は、一時的な自信の喪失によって、そう思い込んでいることがほとんどです。
それを知らないまま、SEを辞めてしまうと、あなたは一生の天職を失いかねません。
そこでこのページでは、「SEに向いていないと断言できる人」と「多くのSEが、自分の仕事が向いていないと誤解してしまう理由」について解説します。
Contents
SEに向いていないと断言できる人は、「ITに興味がない人」
SEに向いていないとあなたが感じている場合、本当に向いていないのかを、慎重に検討する必要があります。「根本的にSEが向いていない人はほとんどいない」というのが、僕がIT業界に長年勤めて感じている実感だからです。
現役SEである僕も、何度か自信を失った時期があり、SEが向いていないと感じていたことがあります。
しかし、職種を変えることによって、難なく平均以上のパフォーマンスを発揮できるようになりました。
だからこそ、同じ境遇であるあなたに、早まった転職をしてほしくないと感じています。
ただし、唯一、SEに向いていないと感じるタイプの人はいます。それは、「ITに全く興味がない人」です。
人気の職種であれば、基本的に応募者が殺到するため、その職種に興味がある人たちが集まります。
しかし、IT業界は不人気職種で、なおかつ業界全体が人手不足です。そのため、ポテンシャル採用で未経験者を大量採用しているという特徴があります。
あなたが、何となくIT業界に入ったものの、SEとしてのスキルを磨くことが苦痛で仕方がないと感じているなら、異業種に転職することをおすすめします。
異業種に転職するなら、IT専門から総合転職型エージェントに舵を切った、WORKPORTの活用をおすすめします。
SEに向いていないと誤解してしまう3つ理由
あなたが、SEの世界で数年以上のキャリアを積んでいるなら、根本的にSEが向いていないわけではないことは確かです。本当に向いていない人は、そもそもIT企業に入社することすら困難だからです。
あなたも、身の回りにいるITオンチの人を見て、「この人は、絶対にSEにはなれないな」と感じたことが、一度ぐらいはあるのではないでしょうか?
普段からSEに囲まれて生活していると錯覚してしまいますが、IT企業に在籍しているだけでも、あなたは平均以上のスキルを保持しています。
実際には、あなたの、「SEに向いていないかもしれない」と感じる理由を具体的に掘り下げると、以下の3つに当てはまることが多いのです。
- 会社のレベルが高すぎる
- 職種が自分の適性とマッチしていない
- 激務によって、うつ病に近い症状が出ている
順を追って解説させて頂きます。
1.会社(上司)のあなたに対する要求が高すぎる
会社(上司)のあなたに対する要求が高すぎると、SEに向いていないと勘違いしてしまいます。要求が高すぎる文化の中では、出来るところを褒めるのではなく、出来ないところを叱る習慣が蔓延しているものです。
IT業界の中にはSEの徹夜や長時間労働を前提として成り立っているカス現場もあり、カス現場は人手が常に不足しています。このような現場に限って、新入社員を丁寧に教育する暇がないため、まともな教育ができないまま即戦力を期待してきます。
こうして、まともな人間から逃げ出した結果、カス人材しか残らないブラック企業が完成するのです。
世の中の摂理として、高い要求には高い報酬がセットになるものです。並みの報酬以下しか払わないのに、注文だけは多い企業(上司)には注意してください。
あなたがSEに向いていないと感じていても、実際には、ブラック企業に当たってしまっただけの可能性があります。
例えば、あなたがミスするたびに、あなたの自尊心を傷つけるような叱り方をする上司はいませんか?
通常の現場であれば、ミスが起こらない仕組みを作り出そうとします。ミスが起こった背景にはマネジメントの不備があると、管理側が知っているからです。
- 仕事など、現場で怒られながら覚えるもの
- 新人のうち、半分が残れば良いほうかな
- この現場で通用しないやつは、どこに行っても通用しない
このような言葉が飛び交う会社で働いているなら、会社がおかしいと判断して間違いありません!
2.職種が自分の適性とマッチしていない
職種が自分にマッチしていないときも、SE自体が向いていないと誤解してしまう理由の一つです。IT業界といっても範囲が広いので、中には向いている職種とそうでない職種があるのは当たり前のことです。
例えば、僕であればIT業界ではうまく働けたのですが、開発系の仕事では平均以上のパフォーマンスを発揮できなかっただろうと思われます。
応用情報技術者という難関資格に1発で合格しているので、地頭が悪いというわけではないはずです。
ただ、「パズルを組み合わせるように、複数のフレームワークやライブラリから適切なものを見つけて、自分のやりたいことを実現する能力」では、卓越したエンジニアの前では歯が立たなかったのです。
しかし、卓越した開発者と比較して、僕のすべてが劣っているはずはありません。
そこで僕は、SEとして大事なスキルはITスキルだけではないと考えて、「コミュニケーションスキル」を磨くことを決めました。
特に、結論ファーストを土台としたわかりやすく伝える力に加えて、非エンジニアに対しても親切になるように技術用語などは使わない説明を心がけるようにしました。
ITスキル以外で、SEに求められているスキルが知りたい方は、以下を参考にしてください。
その結果、フリーランスとして独立した現在でも、「非エンジニアに対してのIT機器導入」や「サーバ機器リプレース」などの案件で、多くのフリーランスエージェントから、積極的に仕事の紹介を受けられるまでに成長しました。
つまり、開発者としての適性はありませんでしたが、運用系SEとしては平均以上のモノを持っていたということです。
このように、現在IT業界で活躍できていないSEも、職種選択を間違えている可能性があります。
(IT業界の中には、開発経験者というだけで優遇される世界もあります!)
今までの経験を活かした上で、新たなフィールドを探すことによって、人生が好転することもあるでしょう。
プログラミングが苦手なら、運用SEやインフラエンジニアという道もある
プログラマを軽視する現場では、「プログラミングは単純労働だ」と言い切ってしまう人たちがいます。
しかし、現場で働いてきた実体験から話すと、「プログラミングは才能の世界だ」というのが僕の意見です。
- 利便性を追求する発想力
- ライブラリを自由自在に組み合わせる柔軟性
- 頭の中でアルゴリズムを考える数学力
どれを取っても、凡人の僕には太刀打ちできないと感じたのが、僕の開発者人生でした。誇張抜きで、10倍以上の生産性の違いを見せつけられると、お手上げでしかありません。
この記事を読んでいる人の中には、同じように同僚の凄さに圧倒されている人もいるかもしれませんね。
ただし、開発者だけがITエンジニアではありません。
例えば、僕は運用SEに転身することによって、平均以上のパフォーマンスをラクラク発揮しています。仕事内容に大きな生産性の違いが起こりにくく、ミスなく的確に仕事をすることが求められる世界だからです。
この道を追求することで、開発者としては実現できなかったマネジメント側を目指すことができます。
ほかにも、インフラエンジニアなどは、基本的にプログラミングを必要としない世界です。一度インフラエンジニアとしてのスキルを身につけると、他の現場でも同じようなスキルが使われていることもあり、開発者よりも汎用性の高い仕事になります。
開発は確かにITエンジニアの憧れですが、開発が全てではありません。せっかくITに興味があってこの業界に入ったのだから、活躍できる職場を見つけるまで転職するのもアリでしょう!
3.激務によって、うつ病に近い症状が出ている
SEの仕事は、繁忙期に一日中仕事をすることが珍しくありません。最近は、古い体質の現場は減りましたが、それでも「徹夜や休日出勤」が避けられない職場もあります。
このようなサイクルの中に組み込まれると、知らず知らずのうちに、うつ病に近い症状が出てくるようになるのです。
例えば、あなたがSEに向いていないと感じているなら、以下のようなうつ症状を疑う必要があります。
- 仕事に失敗してしまったとき、過剰に自分を責めてしまう
- 今まで楽しかった趣味も、楽しくなくなる
- 身体がけだるい
このような症状が出ているのに、「SE自体が向いていない」と誤解してしまうことが、よくあるのです。冷静に考えてみると、SEに向いていないと考えること自体、自分を責める思考に陥っています。
日本のSEは諸外国と比較して、必ずしも良い条件とはいえない状況で働いています。少しぐらいは、現在の職場を責める勇気を持っても構わないでしょう。
あなたの職場がうつ病になりやすい現場なのかどうかは、以下の記事を読んで判断してください。
うつ病の笑い話
僕は、20代中盤のころ、うつ病に近い症状が出たことがあります。当時は、「謎の焦燥感」、「抑えられないイライラ」、「理想の自分に届かない自分を責める」など、多くの感情に支配されていたのです。
自分以外のSEが、何も悩んでいないようにみえて、気がおかしくなってしまったのでしょう。
とうとう耐えきれなくなった僕は、数ヶ月に一度ぐらいのペースで休んでしまうようになったのです。
このときは、自分の至らなさをとことん責めました。誰からも文句を言われていないのに、被害妄想的に自分で自分を傷つけていたのです。
そこで、リーダーとやり取りしている時に、事件が起こりました。
その日も、うつ症状に関するメールが届いたのですが、どうも自分に当てたメールではなかったのです。そこでリーダーに聞いてみると、別のSEに当てたメールだということが判明しました。
つまり、リーダーが別の人に送るメールを、間違えて僕に送ってしまったのです。
リーダーの意図しないメールによる笑い話ですが、僕はこのメールで相当気持ちが晴れました。
今までは、「自分だけがダメだ」と感じていましたが、同僚の意外なSEがうつ症状に悩まされているのを知って、「自分だけが苦しいのではないのだなぁ」と思えるようになったからです。
振り返ると、僕も潰れる直前までは、普通を装って仕事をしていました。悩んでいるのは、僕だけではないのです。
また、このときを境にして、僕は自分を責めるのをやめました。
話が脱線し続けますが、ここで一つ、アインシュタインの名言を紹介させてください。
どうして自分を責めるんですか?
必要なときは、ちゃんと他人が責めてくれるじゃないですか。
うつ症状で人生を台無しにしかけた僕は、自分を責めそうになったとき、この一言を心の中でつぶやくようにしています。
思えば、うつ症状のときは、「悪口を言われているかもしれない」だとか、「今の失敗で評価が下がったかもしれない」など、勝手な憶測で自分を責めていました。
しかし、本当に僕に問題があるなら、僕が責めなくても誰かが僕を責めるに決まっています。
極論を言えば、僕が仕事中に突然アンパンマンマーチを歌い始めたら、必ずリーダーが僕を止めにくるでしょう。その後は、「社会人のしての教育」か、あるいは「精神科の受診」を勧められるはずです。
つまり、現状の自分が何も言われていない時点で、「他人が我慢できるレベルの迷惑しかかけていない」ということです。
僕だって、他の同僚にストレスを与えられることはありますが、よほどのことがない限りはスルーすることが殆どです。
話が脱線し続けましたが、要するに、「SEに向いていない」という思考は、自分を責める思考です。
あなたが本当にSEに向いていなければ、自分以外の誰かが「あなたはこの仕事SEに向いていないよ」と言ってくれるので、まずは気楽になりましょう。
解雇されない限り、現在の職場に半年〜数年在籍しながら転職の準備を進めること
現状、あなたが自分の仕事に適性がないと感じているなら、近いうちに転職したほうが良いでしょう。根本的に仕事ができない人間でない限り、人生の殆どを費やして自分に向いていない仕事に取り組むのは、人生の充実度が下がるからです。
しかし、解雇されるほど仕事ができないわけではないなら、現状の職場で次の職場に移る準備を進めてください。
転職したときは、人間関係・会社独自のルール・新しい仕事など、覚えることが多いです。さらに、SEを辞めて別の職に就くとなると、人生に余裕がなくなるのです。
ここで意識すべきポイントは、以下の2つです。
- 幅広い業種と職種を知ること
- 新たな職種に移るために必要な条件を把握して、現在の職場でスキルを獲得する
SEに向いていないと感じているとき、あなたは自信を失っているはずです。そこで、未来につながる努力を始めることで、失った自信を取り戻してください。
1.幅広い業種と職種を知ること
最初にあなたが行うべきことは、世の中にある幅広い職種を知ることです。
世の中には無限に会社があります。
しかし、その会社内で働いている労働者の職種には限りがあるため、世の中にある職種を知っておくと「その中から1つを決めよう」という気になれます。
そのためには、大型書店の「業界別案内の本棚」を眺めて、興味のある分野をどんどん立ち読みしていってください。
例えば、「IT業界がわかる本(仮名)」のような本を読んでみると、僕達が勤めているIT業界の中ですら、独立系企業・ユーザー系企業・メーカー系企業など、企業によって利益の出し方が異なることが理解できます。
また、その中でも、プログラマ・システムエンジニア・ITコンサル・社内SEなど、多くの職種があることを知ることができるのです。
2.新たな職種に移るために必要な条件を把握して、現在の職場でスキルを獲得する
ここで、あなたがある程度、次に就職したい業種や職種が決まったとします。
次にやるべきことは、「新たな職種に移るために必要な条件を把握して、現在の職場でスキルを獲得すること」です。
具体的には、「IT業界だけでなく、さまざまな業界と通じている転職エージェント」に登録して、どのような会社があるかを探すのが最善です。
IT専門の転職エージェントだと、どうしても、「前職の経験を活かして、同職種を応募するように説得される可能性がある」ため、異業種を横断できる転職エージェントへの登録を意識してください。
ここで、希望の職場では、ITの深い知識よりもエクセルを使いこなせる人材を求めているとします。
このとき、現在のあなたの職場でも、スキルを高めることはできるはずです。
(綺麗な資料を作れるだけで、IT営業、報告を頻繁に行うマネージャー、IT系講師など、職業選択に広がりがでます!)
例えば、「資料がより見やすくなるように、資料作成時に使用するエクセルのフォーマットを修正する」などの仕事の提案が受け入れられれば、現在の職場でもスキルを高めることは可能です。
他にも、伝わるコミュニケーションスキルを身につけたいのであれば、明日から上司への報告で「結論を先に伝える結論ファースト」を意識することで、使いやすい人材を目指すことができます。
このように、SEに向いていないと感じたときも、「根本的に向いていないわけではない」ことがほとんどです。現状、自信を失っているSEも、会社や職種を変えるだけで、人生が一変する可能性を秘めています。
現在の会社で活躍できていなくても、絶望するには早すぎます。
解雇されないうちに会社を利用してスキルを高めて、要領良く転職するぐらいの心の強さが大切です。
あなたの会社がブラック企業かどうかを確認したいなら以下の記事も参考にしてください。
SEを辞めたい人に向いている転職エージェント
SEを辞めたいと感じている人に向いている転職エージェントを2つ紹介します。IT業界で働いてきた経験を生かさない手はないため、あなたの将来の展望を、以下の転職エージェントに相談してみてください。
・レバテックキャリア
レバテックキャリアは、IT業界経験者であれば、高年齢でも受け入れてくれます。現場PMと対等に話ができるキャリアコンサルタントが在籍しているのも特徴的で、会社や上司と相性が悪かったあなたを理解して、快く受け入れてくれます。
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