システムエンジニア(SE)が転職する際、必ず履歴書を提出することになります。その中で面接官が必ず目を通す項目の一つに、志望動機があります。
- 前職を辞めた動機は?
- なぜ、当社で働きたいと思うか?
- 当社で何を成し遂げるつもりか?
このような疑問を解消する項目が志望動機だと面接官は捉えているため、志望動機は必ず確認されます。つまり、不用意な志望動機を記載してしまうと、それだけで書類選考で落とされてしまう可能性があるのです。
そこでこのページでは、「SE転職で印象の良くなる志望動機の書き方」について解説します。
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この会社を選んだ理由をはっきりさせること
履歴書の志望動機で最も重要なのは、「その会社を選んだ理由を明確にすること」です。その会社を選んだ理由を明確にできれば、面接官に熱意が伝わりやすいからです。
例えば、とある鉄道系の運用SEの転職を検討しているとします。ここで、志望動機を以下のようにしてしまうと、面接官に熱意は伝わりません。
20代ではSEとしての技術力を磨くことができました。30代では、これらのスキルに加えてマネジメントスキルを伸ばしたいと考え、貴社に応募させて頂きました。 |
上記の志望動機は、「なぜ、あなたの会社を選んだのか?」という点がハッキリしていません。
そこで、以下のように書き直すと、より面接官に熱意が伝わる志望動機となります。
20代では、運用SEとしてのITスキルに加えて、ミスを発生させないスキルを学ぶことができました。
特に、ミスを出さないスキルは人並み以上のものを持っていると自負しているため、貴社のような人命に関わる業務でこのスキルを活かしたいと考えています。 30代では、前職で培った上記のスキルを部下や後輩に指導する立場になり、組織のレベルを高めることに費やすつもりです。 そこで、貴社のマネジメント職で長期的に働くことが、自分の力を最大限発揮できると考えて、今回応募させて頂きました。 |
以上のように、前職から転職するストーリーを明確にして、面接官側に対して「入社後のあなた」をイメージさせてください。
会社の発信している情報やホームページを確認すること
優れた志望動機を書くために、応募する企業が発信する情報やホームページを確認してください。これらの情報の中には、企業が伝えたい熱意が込められていることが多いからです。
例えば、僕がかつて在籍していたIT系の開発企業では、「中国の大学から積極的にエンジニアを採用している」という情報が、ホームページに掲載されていました。
そこで、「海外からエンジニアを採用して育成している貴社に、他の開発会社にはない事業に対する熱意を感じた」ということを志望動機に落とし込み、面接のアピールポイントにすることによって、内定を得たことがあります。
企業側も、自分たちが力を入れてやっていることに求職者が興味を示していることを感じ取ると、面接の場で会話が盛り上がります。
面接は、企業と求職者が意識をすり合わせる場所のため、自分の保有スキルや業務知識を伝えることも大事です。
しかし、「いかにして、面接官が聞きたい話を自分の言葉で伝えるか?」も重要になります。
お客様に接待するイメージで面接に望むと、期待以上の成果が得られることでしょう。
自分本位ではなく、会社に対して利益を残す
志望動機は、「自分本意ではなく会社に対して利益を残す動機」を心がけてください。組織に対して貢献する志望動機のほうが、面接官に対して好印象を与えるからです。
例えば、あなたが現状、技術力の低い会社で働いているとします。そこで、技術力の高い会社に転職する際、以下のように志望動機を書くのは危険です。
前職では、技術力の低い会社で働いていました。その中では一番優秀だったのですが、より技術力の高い会社で自分のスキルを高めたいと考え、応募させて頂きました。 |
上記のような志望動機は、自分のスキルアップのことしか記載されていないため、面接官に悪い印象を与える可能性があります。「会社を利用して、スキルが高まったら別の会社に転職されるかもしれない」と考えられてしまうのです。
そこで、以下のように志望動機を書くことをおすすめします。
前職では、社外でもインターネットや勉強会を活用して、会社内で一番技術力の高いSEになりました。しかし、現状の職場では、技術力を生かす環境が社内に用意されているとは言い難いです。
そこで、常に最新の技術を吸収して開発している貴社で自分の能力を発揮して、技術力の高い会社に長期的に利益をもたらすことが、日本のIT業界を健全にする方法だと考え、今回応募させて頂きました。 |
上記のような志望動機であれば、「技術に対して向上心がある」・「会社に利益をもたらす」・「転職のストーリーが明確である」ということが面接官に伝わるため、「技術力を高めたい」というよりも評価が高まるのです。
企業で働いていると、本音と建前を使い分けなければならない場面に遭遇します。面接の場ですら建前を言えない人材は、働くことになっても建前を言えないと判断されます。
面接官に不用意に悪い印象を与えないように、「会社のために働く気持ちがある」という姿勢を見せることが重要です。
ネガティブはポジティブに言い換える
仮に、現在の職場に不満を抱えた転職であっても、その感情を志望動機に反映してはいけません。前向きな転職だと解釈されたほうが、面接官の印象が良くなるからです。
例えば、前職で長時間労働が苦痛になっていたとします。そこで以下のように書くのは間違いです。
前職では、長時間労働に耐えられなくなって退職しました。貴社の仕事は待遇面で前職より優れており、長時間労働も発生しないという情報を貴社のウェブサイトから得たため、今回応募させて頂きました。 |
このような志望動機は、仮に転職先の待遇が良いのが真実だとしても、印象は良くありません。「これから、この職場でどうしたいか?」が明確ではないからです。
そこで、以下のように書き直すのが良いでしょう。
前職では、成果ではなく労働時間で評価される仕組みでした。その結果、意味のない長時間労働が蔓延し、会社全体の生産性が低下していました。
また、このような人事評価のシステムは、成果を重視する私には合わない企業体質でした。 そこで、合理的な経営システムを導入して生産性を高める企業努力をしている貴社の求人に応募させて頂きました。貴社の上司・同僚と共に、私が前職で果たせなかった成果を上げるための仕組みを作りあげていきたいと考えています。 |
上記のような志望動機であれば、転職に至った経緯が面接官に伝わります。
また、履歴書には、SEとして発揮できる能力が転職先の仕事とマッチしていることを示し、口頭で前職の問題点や転職理由などを話しても良いでしょう。
このように、志望動機を記載するには、企業が発信している情報から、「なぜ、当社の面接を受けにきたか?」という面接官の疑問に答える形に落とし込む必要があります。それに加えて、「企業に利益を与えること」・「前職の不満は、上手にポジティブな方向に持っていくこと」を意識すれば、面接官の心に響く履歴書が完成します。
また、面接官は志望動機を掘り下げて、「あなたが転職後に何をやりたいのか?」を探ってきます。そのため、口頭で応えられるように、入念な準備が必要です。