「フリーランスエンジニアは誰でもなれる。」IT業界では、このような言葉を聞く機会が増えました。
ただし、このような謳い文句には「客先常駐」という単語が同時に目につきます。
それでは、客先常駐フリーランスとは一体なんなのでしょうか?
世の中の多くの人が憧れる、世界を飛び回りながらエンジニアリングに取り組むフリーランスとは何が違うのでしょう?
この疑問に答えるために、本記事では「客先常駐フリーランスとは何か?」・「客先常駐フリーランスエンジニアのメリット・デメリット」・「客先常駐フリーランスエンジニアとして働いている僕の体験談」について解説します。
Contents
客先常駐フリーランスエンジニアとは?
はじめに、「客先常駐フリーランスエンジニアとは何か?」について解説します。
結論からいうと、「お客様企業に常駐して、他の正社員の人たちと一緒に働くフリーランスエンジニア」が客先常駐フリーランスエンジニアです。
どうしてこのような働き方ができるかを説明するには、IT業界特有の構造を理解しなければなりません。
IT業界では、複数の企業から1つの現場にITエンジニアが派遣されて、同一プロジェクトで働く構造が一般化しています。自社だけでは技術者が足りないとき、雇用の調整弁になるような人材を確保するときなど、自社で雇用したくないときに他社のITエンジニアに依頼をかけるのです。
つまり、企業常駐フリーランスエンジニアとは、「ひとつのプロジェクトにおいて複数社のITエンジニアが働く中に混ざって働くが、どこにも雇用されずに月○○万円頂く契約になっている者」のことです。
働き方自体は正社員と同様ですが、フリーランスになるため月々の報酬が飛躍的にアップします。
客先常駐フリーランスエンジニアのメリット
ここからは、客先常駐フリーランスエンジニアという働き方のメリットについて解説させてください。本記事を執筆している僕自身、客先常駐で働いていることが、魅力的な働き方であることを証明しています。
結論からいうと、以下の3点が客先常駐フリーランスエンジニアになる主なメリットです。
- 報酬の手取りが増える
- 現場を柔軟に変えられる
- 収入が安定する
それぞれ、順を追って解説させて頂きます。
1.報酬の手取りが増える
報酬の手取りが増えるのは、客先常駐フリーランスになるメリットです。月○○万円という契約で仕事を取り、会社員の2〜3倍の月収を稼げます。
例えば、当サイトでおすすめしているレバテックフリーランスでは、登録エンジニアの平均年収が約862万円です。
月70万円以上の報酬を稼げるのであれば、日常生活でお金に困る人生から解放されます。
もちろん、この70万円の中から、交通費・社会保障費・所得税など多くの費用を支払う必要があり、全額は使えません。
しかし、それでも身の回りの出費を上手に経費として計上すれば、会社員の頃より手取りが増えるのも事実です。
特に、現在の会社で、「技術力はあるのに、入社した会社が悪いばかりに稼げない」等の状況で働いている人なら、一気に労働条件が好転するでしょう。
2.現場を柔軟に変えられる
現場を柔軟に変えられるのも、客先常駐フリーランスエンジニアになるメリットです。数カ月単位の労働契約になるため、気に入らない現場や得るものがなくなった現場からは、簡単に退場できます。
例えば、正社員として特定の現場に入場すると、自社のしがらみもあって移動が難しいものです。
自分が現場から抜け出したくても、自社に入れ替わりの人材がいなければ、最悪自社を退職する必要性があるでしょう。
一方、フリーランスエンジニアであれば、「契約を更新しない」と一言伝えるだけです。
客先常駐フリーランスエンジニアでもリーダーなどの重要な立場につくことはありますが、現場で退職までに引き継ぎをしておけば、それ以外のしがらみがありません。
こうして現場を柔軟に変えられる立場であれば、突然退職して無職になったり得るものがない現場からさっさと退散したりと、自由度が高まります。
3.収入が安定する
収入が安定するのも、客先常駐フリーランスエンジニアになるメリットです。企業に常駐して会社員と同じように働くため、毎月の報酬も固定になります。
これが、客先常駐ではなく在宅フリーランスエンジニアだと、収入の増減が激しくなるのです。
その月によってこなすべき案件の量は異なりますし、クライアント毎に振り込み日も違います。
すると、「あるときは0円、あるときは100万円」のように、収入が安定しません。これでは、本来の労働以外の心配事が増えることでしょう。
その点、企業常駐フリーランスエンジニアであれば、高い報酬を固定で稼げることになり、安心して働けます。
ちなみに、毎月固定の収入を得ながら、それでもゆとりかあるなら、隙間時間で在宅案件をこなしても問題ありません。フリーランスエンジニアには副業規定もなく、働き方の裁量は自分次第です。
このように、収入が安定するほか、安定収入にプラスアルファで出来高報酬を稼げるのが、企業常駐フリーランスエンジニアの良いところといえます。
客先常駐フリーランスエンジニアのデメリット
次に、客先常駐フリーランスエンジニアのデメリットについても解説します。結論からいうと、以下の2点はデメリットといえるでしょう。
- 働き方自体は会社員と同じ
- 出世がない
メリットだけにとらわれず、デメリットを理解した上で、客先常駐フリーランスエンジニアの世界に挑戦してください。
1.働き方自体は会社員と同じ
働き方自体は会社員と同じであるところは、客先常駐フリーランスエンジニアのデメリットです。フリーランスエンジニアになったからといって、客先常駐であれは自由に働くことはできません。
常駐する客先には、元請けの正社員・別会社から連れてこられた正社員・簡単な作業を任される派遣社員など、さまざまな立場の人たちがいます。
彼らと協調して仕事をするわけですから、勤務形態も当然会社員と同じです。
つまり、在宅フリーランスエンジニアのような働き方を期待しているなら、期待外れに終わることでしょう。原則、自由な働き方はできないと考えてください。
ただし、近年のIT業界では、週2〜4日労働の契約も出てきています。
このような契約で仕事をすれば、普通の会社員よりは自由時間を確保できるのです。
なお、会社員と同じ働き方になるのがデメリットと言いましたが、それは在宅フリーランスエンジニアと比較してデメリットという意味でした。
そもそも、現在会社員として働いていて、その働き方に不都合を感じないのであれば、企業常駐フリーランスエンジニアになってもデメリットにならないことには留意しておいてください。
2.出世がない
出世がないところも、客先常駐フリーランスエンジニアのデメリットです。出世ができないと、会社で働くことに意義を見いだせなくなる人もいます。
もちろん、フリーランスエンジニアでも、現場のリーダーレベルなら任されることはあるものです。
しかし、プロジェクトそのもののマネジメントは、大抵正社員が務めます。
あくまで、フリーランスエンジニアに求められているのは、即戦力の技術・人員調整ができる都合の良い人材などです。組織の中でステップアップしていくことにやりがいを感じるタイプの人は、客先常駐フリーランスエンジニアに向いていません。
実際に客先常駐フリーランスエンジニアとして働いている僕の感想
ここからは、僕が実際に客先常駐フリーランスエンジニアとして働いた感想を述べていきます。
結論からいうと、「正社員ITエンジニア時代よりも、客先常駐フリーランスエンジニア時代の人生が輝いている」といって間違いありません。
というのも、僕はかつてIT系専門学校に通っていたのですが、ベンチャー企業に就職するために中退しています。その後、ベンチャー企業からは訳あって離れているのですが、このような経歴では下請け企業に入社する選択肢しかありませんでした。
そこで、どれだけビジネススキルを身につけても、入社した企業の違いで労働条件が上がらない始末…。
「新卒でいかに条件の良い企業に入社するかが大切」という日本の労働市場を理解していたつもりではありましたが、やはり実際に不遇な条件で働かざるを得ない状況になると、色々と不満は溜まってくるものです。
そこで、今までのIT業界の経験を活かす方法を考えた結果、「客先常駐フリーランスエンジニア」に行き着いたのでした。
現在では、29歳〜32歳まで、3年以上の企業常駐フリーランスエンジニアの経験を積んでいます。
実をいうと、最初に入場した企業はブラック企業の側面が強く、契約期間終了後すぐに自ら退散しました。正社員として入社していたら経歴に傷がついたかもしれません。
しかし、客先常駐で合わない現場をさっさと抜けただけなので、現在のホワイト現場にも容易く採用してもらえました。そこではすでに2年ほど働いていますが、定年まで過ごしても良いと思えるほど充実しています。
大手優良企業が仕切っている現場に、マージン率が低いフリーランスエージェントを活用して入場する。大企業基準の質の高い仕事をしながら、現場の仕事量も安定しており、残業が発生しない。
さらに、パワハラなどはあり得なく、報酬も満足できる水準に到達している。
これほどの恩恵を受けられたのは、ひとえに企業常駐フリーランスエンジニアになったからだと考えています。
僕の学歴や経歴からすると、優良企業の正社員に入社することは難しく、これほど恵まれた条件で働くことはできません。
唯一の心配は、「このまま高齢者になったときに定年まで働き続けられるか?」という点です。
しかしこの心配も、「50歳でセミリタイアできるぐらいのお金を貯めておいたらどうにでもなるわ(笑)」という気持ちです。
そもそも、贅沢せずに企業常駐フリーランスエンジニアの報酬を貯めていたら、ビビるぐらいにお金が貯まってますからね!
月数十万円ずつ通帳残高が増えていくのをみると、「不遇な環境でもIT業界から抜け出さなくてよかった〜」という気持ちになります。
まとめ
本記事では、「客先常駐フリーランスエンジニアとは何か?」という点と、客先に常駐して働くメリット・デメリットについて解説してきました。
今一度、メリット・デメリットをおさらいしておきます。
メリット
- 報酬の手取りが増える
- 現場を柔軟に変えられる
- 収入が安定する
デメリット
- 働き方自体は会社員と同じ
- 出世がない
主に、収入が爆増して安定性もあり、嫌になったらすぐに現場を変えらえるのが企業常駐フリーランスエンジニアのメリットです。
一方、通勤電車等、会社員と同じような働き方になり、権力を得られないのがデメリットといえます。
これらのメリット・デメリットを比較した上で、自分の人生の目的に合致した働き方を選択すれば、人生の満足度が向上するでしょう。