システムエンジニア(SE)が転職する際、技術力はもちろん重要です。ベテランなら1日で終わる作業を、数日がかりでこなしていたら、そのうち会社に居場所がなくなることは間違いありません。
しかし、SEとして年齢を重ねれば重ねるほど、技術力以外の面も注視されます。部下のマネジメントや、顧客との折衝まで、純粋な開発業務以外の仕事も任されるようになるからです。
ここで、技術力以外のスキルを身につけたいと考えても、「あまりにも範囲が広すぎて、何を身につけたらよいかわからない」という状態になってしまうかもしれません。
会社によって必要なスキルは異なるため、対策のしようがないと感じてしまうこともあるでしょう。
そこでこのページでは、20代のうちに複数の現場を見てきた当サイトの管理人が考える「どこの職場でも役に立つ、技術力以外の普遍的なスキル」について解説します。
Contents
1.ポモドーロテクニック(タイムマネジメント)
SEとして働くなら、高い集中力が必要になります。特に開発者の場合、高い集中力で作業を行ったほうが、生産性が飛躍的に高まるのです。
通常の会社であれば、12時前後から1時間の昼休みがある以外は、就業時間であることがほとんどです。
このとき、「疲れたから、ちょっと休憩しようかな?」とトイレに行ったりタバコを吸ったりすることがあると思います。
しかし、疲れたかなと感じるころには、相当集中力が落ちているものです。僕の実感としても、数時間ぶっ通しで仕事をしていたときは、書類の入力ミスなどが発生していました。
そこで、仕事に取り入れたのが「ポモドーロテクニック」という時間管理法です。この時間管理法では、「25分仕事→5分休憩→25分仕事…」という流れで短く時間を区切ります。
そして、仕事中の25分間で高い集中力を維持することで、生産性を飛躍的に高められるのです。
セキュリティの観点から会社のパソコンにタイマーアプリをインストールできないのであれば、スマホなどのタイマーを使って、きっちり25分測ってください。
「もうちょっと作業したかったのに…」と思えるぐらいが、集中力を持続させる秘訣です。作業が飽きる前に休憩に入ることで、次に作業に戻ったときに高い集中力を取り戻しやすくなります。
これは、心理学でも「締め切り効果」として知られており、時間を区切ることで集中力が増すことが分かっています。
また、人間の脳を休ませているとき、無意識化で先ほどまでやっていたことを考えてくれています。そのため、休憩タイムでは他のことをやるのではなく、しっかりと「何も考えない」ことが重要です。
休憩後の仕事で休憩前と同じ作業を開始すれば、自然とアイデアが出たり集中力が高まったりします。脳が無意識で考えてくれることに期待して、休憩前と休憩後に同じ仕事を行うところがポイントです。
25分の休憩でも長いと感じるなら、「15分仕事→3分休憩」のように、より短く区切っても構いません。
このように、集中力が維持できる時間に区切って仕事をすることで、あなたの仕事からダラダラとした時間を消し去ってください。
2.結論ファースト(コミュニケーション能力)
結論ファーストという会話法も、SEであれば身につけたいスキルの一つです。結論から話すことで、「何を伝えたか?」をはっきりさせることができます。
例えば、上司から「〇〇という仕事は順調か?」と問われたとします。
このとき、結論ファーストを意識していないと、以下のような受け答えになってしまうでしょう。
ええっっと。 その〇〇という仕事に関しては、現在優先的に取り組んではいるんですが… ちょっと技術的にわからないところがありまして、悩んでいるところです~。 |
このように、何とも頼りない返事をしてしまう人を、あなたの職場で見かけたことはありませんか?あるいは、あなた自身がこのような受け答えをしていた場合、至急、以下のような会話を心がけてください。
結論 上司さん。任されていた仕事は順調です。 理由 他の仕事よりも優先度を上げて取り組んでいます。 根拠 また、〇〇の仕事に近い仕事を以前経験しているため、今回の仕事も無事終わりそうです。 問題点 ただし、僕の技術力ではわからない部分が発生しているため、現在調査中です。 問題の対策 もし、今日中に問題が解決できなければ、この分野に精通している△△さんに相談するつもりです。 |
上記のように、「仕事が順調か?」と問われた場合、「順調か順調でないか」を結論で明確に話すべきです。上司はあなたの人格を否定したいのではなく、仕事が順調でなければ何らかの対策を打たなければならないと考えています。
そこで、仕事が順調であることを伝えて、その理由(根拠)部分を続けて話すことで、上司を納得させる必要があります。
続いて、問題点が発生しているならそこも伝えて、問題の解決策まで提示すれば、上司が適切な判断を下しやすくなります。
あなたがすでに上司の信頼を獲得しているなら、何も言われずに仕事を一任されるはずです。まだ新人や転職一年目などで不安が残るなら、現在の成果物の提示を求められたり問題点を掘り下げられたりするでしょう。
SEで必要なコミュニケーション能力は、学生時代の「ウェーイ」のノリとは違います。論理的に伝えることで、現状を正しく伝えることを意識してください。
3.指差し確認(仕事の品質を高める)
指差し確認も、仕事の品質を高める上で重要なスキルです。これは、僕が運用SE時代の尊敬できる上司に教わったスキルです。
例えば、サーバーのコマンド操作で、何か特定のコマンドを入力したとします。このとき、画面上に表示されている「cat 〇△✕」という文字列を指差しすることで、入力内容に誤りがないかを確認するのが指差し確認です。
実際にEnterキーを押す前にワンテンポ置くことができるほか、指差しと同時に声に出して読んでみることで、うっかりミスを防ぐことができます。
この指差し確認は、サーバーの操作以外でも、様々な状況で活用可能です。
例えば、取引先に重要なメールを送るとき、送信先メールアドレスを間違えてしまってはいけません。
しかし、一日に何件もメールを作っていると、ついうっかり間違った取引先にメールを送信してしまう可能性があります。ほかにも、送信するべき人がccに入っていないなど、人間は必ずうっかりミスをするものです。
そこで、送信前に送付先や添付ファイルの指差し確認を行う癖を身につけることで、仕事の品質を高められます。成果を上げることと同じぐらい、長年に渡ってミスを出さないのも、できるSEになるためには重要です。
自作チェックリストを作るのも良い
指差し確認と併せて使うことで効果を発揮するアイテムに「チェックリスト」があります。「〇〇を行ったか?」などを箇条書きで書いた紙にチェックを入れていくことで、間違いを防ぐ類のものです。
例えば、メール送信の簡易的なチェックリストを作るなら、以下のようになるでしょう。
□To、Cc、Bccのあて先は正しいか?
□件名を入力しているか? □ファイルは添付しているか? □ファイルは暗号化されているか? |
必要な項目を洗い出してチェックリストを作成しておき、メール送信時に上から順に画面を指差ししてください。こうして作業に間違いがないか確認することで、仕事の品質を高めることが大切です。
企業のセキュリティ意識が高まる中、すでにチェックリストが用意されている企業も多いです。
しかし、このようなチェックリストがない職場でも、自作のチェックリストを使うことで自分の作業の質を高められるのです。
ヒューマンスキルを高めること
本記事で紹介したスキル以外にも、世の中には様々なスキルが存在します。技術力以外に何かのスキルを高めたいと考えるなら、「ヒューマンスキル」を高めることを意識してください。
ようは、「人間として尊敬されるようにスキルを高めてください」ということです。
例えば、部下をマネジメントする立場になったとき、間違った行動を取った部下を感情的に怒ってしまう上司がいます。そのような上司に限って、周囲の同僚の目の前でメンツを潰すように怒鳴りつけるものです。
このような上司は、自分の権力を誇示しようとする心理が働いているでしょう。
一方、上手にマネジメントする人は、怒るのではなく「叱る」のが得意です。人前では決して叱らず、二人きりの状態でこっそり間違いを指摘してくれます。
また、このような上司は、誰かが遅刻したときなども遅刻した人物を叱らずに、「最近、この現場で遅刻が増えているようなので、気をつけるように…」など、全体の問題として処置します。
他にも、「部下の強化したい行動を褒めて、自然と部下のやる気を奮い立たせる」というマネジメントをしていた上司と出会ったときは、心から尊敬できると感じました。
このように、人として優れた対処ができる人間になれば、自然と周囲の尊敬を勝ち取れます。すると、企業にとって不可欠な存在となり、長年活躍できるSEになれるのです。