フリーランスエンジニアになる時に、「これから失敗しよう」と考える人はいません。それでも、すべてのフリーランスエンジニアが成功できるわけではないのです。
この世の人間は皆自分が可愛く、どうしても自分を客観視して行動を変えるのは難しいことでしょう。
しかし、フリーランスエンジニアとして失敗する人の特徴をあらかじめ知っておけば、ふとした瞬間に「自分は今、ダメなパターンに陥っている」と気が付けるのです。
そこでこのページでは、「フリーランスエンジニアとして失敗する人の特徴5選」を解説します。
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こんなフリーランスエンジニアは失敗する!
フリーランスエンジニアの仕事は、報酬が高くて自由度もある素晴らしい仕事です。正しく努力すれば、未来永劫幸せに暮らせるでしょう。
しかし、報酬が高いということは、それだけ難易度の高い仕事を任されます。自由度が高いといっても、責任を自分で背負う覚悟があってのことです。
ここで、世の中を甘くみたフリーランスエンジニアは、残念ながらこの世界から退場していきます。
具体的には、以下のような特徴を持っていると、失敗に突き進んでいくものです。
- スキルを磨かない
- 現場のコミュニケーションを大切にしない
- 必要最低限の仕事しかしない
- 納期厳守・体調管理など、社会人としての必須の能力が身に付いていない
- お金を貯めていない
それぞれ、順を追って解説させて頂きます。
1.スキルを磨かない
スキルを磨かないフリーランスエンジニアは、 いずれ仕事を失います。IT業界の技術は日進月歩で進化しており、日々成長しなければ時代遅れのエンジニアになるのです。
例えば、一昔前のITエンジニアは皆、C言語を覚えたものでした。
しかし、今ではJavaから教え始める学校も多く、案件数でもJavaが圧倒しています。
もし、C言語が主流だった時代に何もスキルを磨かなかったとすれば、今頃C言語の仕事が減っていることに焦りまくっていることでしょう。
つまり、1つのスキルで稼ぐことに慣れきってしまったフリーランスエンジニアは、いずれ路頭に迷うことになるのです。
2.現場のコミュニケーションを大切にしない(企業常駐型の場合)
現場のコミュニケーションを大切にしない企業常駐型フリーランスエンジニアも、仕事で失敗しています。他人と働く以上、「フリーという立場だから会社員がやっていることをやらなくて良い」というわけにはいきません。
例えば、現場の飲み会が開催されたとします。
会社員からフリーランスになる人は、このような飲み会から解放されたくて会社員を辞めた人も多く、現場の飲み会に出ないことが多いです。
しかし、相当現場で価値を出せていない限り、現場の親睦の場には顔を出したほうが良いでしょう。
現場の責任者や仲間たちに「こいつは仲間だ」と感じてもらうメリットは計り知れないからです。
僕はこれを、「知らんおっさんがオナラをしたらムカつくけど、友達がオナラしたら面白い理論」と呼んでいます。全く同じ行動を取っても、仲間と思われているかどうかで反応が異なるということです。
普段からコミュニケーションの場には積極的に参画して、「自分はあなたたちの仲間です」と思わせておかないと、景気が悪いときや人員調整の際にバッサリ切られてもおかしくありません。
3.必要最低限の仕事しかしない
必要最低限の仕事しかしないフリーランスエンジニアも、将来失敗するでしょう。お金を払う側の人情を理解していないからです。
たしかに、報酬以上の仕事をしても、それ以上の対価があるとは限りません。いきすぎると、搾取にも繋がるでしょう。
しかし、あなたが消費者になったときのことを考えてみてください。
一切サービスしてくれない八百屋と、サービスで何かをつけてくれる八百屋が同じ値段なら、どうしてもサービスしてくれる八百屋を利用したいと考えるはずです。
あなたを現場に呼び寄せるエンド企業からすれば、あなたは八百屋と同じように見えています。
業務に含まれていないことでも、隙間時間に業務を改善するツールを作るなど、サービスできる機会はあるのです。
必要以上の仕事は絶対にしないというスタンスのエンジニアと、常に現場を改善しようと模索するエンジニアでは、周囲に与える印象が異なることを忘れないようにしてください。
フリーランスエンジニアは、見方を変えると一人社長です。そして、サービス精神がない社長が経営する会社は、滅びる運命にあります。
4.納期厳守・体調管理など、社会人としての必須の能力が身に付いていない
納期厳守・体調管理など、社会人として必須の能力が身に付いていない人も、フリーランスエンジニアとして失敗します。お金が発生している以上、責任を背負って仕事をしているとみられるからです。
特に納期に関していうと、納期までにシステムを完成させるだけではなく、定期的に進捗を報告して、管理者を安心させてください。
その上で、どうしても納期が厳しいのであれば、理由を伝えた上でリスケするのがビジネスマンの心得です。
体調管理に関しても、言わずもがなです。
フリーランスエンジニアの契約には、企業常駐型であっても有給はありません。体調を崩してしまうと、それだけで契約上の労働時間を満たせなくなることもあり得ます。
フリーランスエンジニアになったからといって、社会人としてのマナーを守らない人は、いずれ失敗するでしょう。
5.お金を貯めていない
お金を貯めていないフリーランスエンジニアも、フリーランス生活に失敗します。フリーランスが会社員より不安定なのは事実であり、仕事を失うことを想定して生きなければなりません。
そもそも、フリーランスエンジニアになれば、会社員のような失業保険がなくなります。
最低限、仕事がゼロになっても半年ほどは生きていけるぐらいの貯金をしておかないと、生活ができなくなるのです。
ほかにも、老後のことを考えて、小規模企業共済に加入したり株式投資を始めたりしないと、会社員と比べて悲惨な老後をむかえます。
ゆえに、お金を貯められないフリーランスエンジニアは、人生の後半で行き詰まる可能性が大です。
フリーランスエンジニア初心者がおかしがちな失敗
ここからは、フリーランスエンジニアになったときに誰もがおかしがちな失敗について解説します。
人生を棒に振るほどの失敗ではありませんが、それでも失敗はしないに越したことはありません。
具体的には、フリーランスエンジニアになりたての頃は、以下のような失敗をしてしまいがちです。
- 働きすぎる
- 所得税の分まで報酬を使い込んでしまう
- 飲食店の領収書をもらい忘れる
- 特定のクライアントに依存する
あらかじめ先人の失敗を知り、要領の良い人になりましょう。
1.働きすぎる
独立当初のフリーランスエンジニアは、働きすぎるという失敗をおかしてしまいます。生き延びようと思うあまり、多くの仕事を引き受けてしまうのです。
必要最低限の仕事しかしないエンジニアも危険ですが、働きすぎるのも危険度であり、バランスがとても難しいのですが…(笑)。
実体験としては、「新しいことを同時に2つこなすと、精神が壊れてくる」ということに注意してください。
実は労働量が多くても、自分がすでに経験した領域であれば、案外無心でこなせます。
しかし、慣れないことに挑戦しているときは、頭を使って試行錯誤する必要があり、相当精神を消耗するのです。
そして、精神を消耗する仕事を2つ以上同時にこなすと、頭がオーバーヒートしてしまいます。
僕も、初めてフリーランスエンジニアの仕事に取り組んだときに、同時平行でWebライターの難しい案件をこなしていたときは、1日中精神が休まるときがなかったです。
くれぐれも、「慣れない仕事は1つずつ」を忘れないようにしてください。
2.所得税の分までお金を使い込んでしまう
所得税の分まで報酬を使い込んでしまうのも、フリーランスエンジニアが独立当初にやってしまいがちな失敗です。確定申告を自分でやる経験がないため、いくらぐらいが相場かわからないのです。
ちなみに、国税庁のホームページに記載されている、平成27年度以降の所得税計算方法は以下の通りです。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超 | 40% | 2,796,000円 |
また、上記の表を元に、僕が実際にいくつか計算してみたところ、以下のようになりました。
330万円 × 0.10 – 97,500円 = 232,500円
695万円 × 0.20 – 427,500円 = 962,500円
900万円 × 0.23 – 636,000円 = 1,434,000円
フリーランスのITエンジニアであれば、大抵上記程度の年収になるため、自分の年収と比較すると良いでしょう。そこからさらに、所得税以外の健康保険料・住民税などが増えると考えてください。
所得税だけは、確定申告の時期にまとめて支払うため、普段から貯金しておく必要があります。
3.飲食店の領収書をもらい忘れる
飲食店の領収書をもらい忘れるのも、フリーランスエンジニアが独立当初によくやってしまいます。会社員時代は、支出を把握する目的以外で領収書が必要になる状況がないからです。
個人事業主になると、多くの会計が経費で落とせます。例えば、交通費・書籍購入費なども、経費になるのです。
飲食店での費用も、人数が二人以上なら経費になります。
こうして経費にできるものは経費として計上するだけで、前述した所得税を減らせるのです。
仮に、課税される所得が900万円の人が100万円分を経費にするだけでも、所得税額は1,204,000円になります。
900万円の所得税が1,434,000円になるため、「1,434,000 – 1,204,000 = 230,000円」の節税になるのです。税金で数十万円分損しないためにも、普段から仕事関係の領収書をもらい忘れないようにしてください。
4.特定のクライアントに依存する
特定のクライアントに依存するのも、フリーランスエンジニアがおかしがちな失敗です。1つのクライアントからの仕事がなくなると、収入がドカンと減ります。
受託開発をしているなら、あえて1つのクライアントからの仕事は一定に抑えて、別のクライアントに営業をかけるのがよいでしょう。
なお、企業常駐型フリーランスの場合、どうしても1つのクライアントからの仕事に依存することになります。
しかし、その場合でも、複数のフリーランスエージェントと付き合うことはできます。数年おきに別現場に移る度に、別のフリーランスエージェントを活用しても良いのです。
さらに、副業を始めて「企業常駐型フリーランス + 受託開発」という二足のわらじを履けば、ある程度リスクが分散されます。
まとめ
本記事では、「フリーランスエンジニアとして失敗する人の特徴」と「フリーランス初心者がおかしがちな失敗」について解説してきました。
フリーランスであろうが経営者であろうが、誰でも最初は初心者です。初心者がおかしがちな失敗を最初に把握しておくことで、余計な税金を納めずに済むなど、経済的なメリットが多々あります。
また、フリーランスエンジニアとして長年成功したいなら、普段の行動を正さなけらばなりません。
スキルを磨かない・社会性のある行動が取れない・お客様とコミュニケーションが取れないなどの性質を持った人間は、容赦なくフリーランスエンジニアの世界から叩き出されます。