企業に常駐するフリーランスエンジニアになるとき、現場の人間による面談が実施されます。企業内で働く以上、スキルや人間性に問題がないかを確認する必要があるからです。
ここで、よほど自分に自信があるなら、対策を練らずに面談を受けても良いでしょう。
しかし、企業側も大抵複数の志望者を比較して合否を決めています。仮にあなたがスキル面で優れていても、人間性の面で落とされる可能性は大いにあるのです。
僭越ながら、本記事を執筆している僕は、フリーランスエンジニアの面談で2回に1回は通過できるぐらいには、面談が得意です。
そこでこのページでは、「2回に1回は採用されるフリーランスエンジニアの面談対策」について解説します。
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まずは経歴の紹介から入る
はじめに、フリーランスエンジニアの面談がどのように行われるか?について解説します。
フリーランスエンジニアの面談は、正社員採用の面接とは違い、お互いの要望がマッチングするかを確認する作業だと考えてください。
面談自体は、常駐する企業内か近隣の喫茶店などで実施するものです。時間は、30分〜1時間程度で収まります。
最初に、あなたと面接官が席についたら、経歴の紹介からスタートするのが一般的です。
そこで、あらかじめフリーランスエージェントが相手先企業に送付しておいた経歴書を用いて、あなた自身が経歴書には書けない経歴の詳細を口頭で伝えていきます。
なお、面談で使用する経歴書は、大抵の場合フリーランスエージェントがフォーマットを用意してくれているものです。
当サイトで紹介しているレバテックフリーランスでも、登録したら経歴書のテンプレートを送付してくれます。
経歴書の内容を口頭で伝えるときは、ただ内容を伝えるだけではなく、「自分の仕事がどれだけ企業の利益になったのか?」を伝えると印象が良いでしょう。
例えば、「元々は○○という仕事には1日1時間必要としていたが、マニュアル化とExcelマクロ制作によって1日15分に短縮しました」のようなアピールができれば、会社に貢献していることを数値として示せます。
ただただ頑張りますとアピールするより、具体的な数字を示して成果を上げてきたことをアピールしたほうが、面接官の心に残るのです。
志望動機などは聞かれないが、将来設計などは聞かれることもある
フリーランスエンジニアの面談では、正社員採用のときのような志望動機は、ほとんど聞かれません。
しかし、あなた自身の将来設計などは聞かれることがあります。どのようなキャリアプランを持っているかを探って、現場にマッチングするかどうかを見極めようとしているのです。
例えば、運用SEの案件で面談しているとき、「将来的にはサーバー構築などの道に進むつもりはありますか?」などの質問を受けることはよくあります。
これは、その現場において運用SEが登竜門的な位置付けであり、その後現場でサーバー構築に進む道があることを示しているのでしょう。
そこで、自分がステップアップしていきたいなら、正直にその旨を伝えれば好印象です。
ただし、ステップアップしたいと伝えたときは、同時に「ステップアップするために、普段からどのようにしてスキルアップしているか?」を探られます。
そこで、具体的な努力をしていれば好印象ですが、何の努力もしていないと「この人は口だけだな」と思われてしまうのです。これでは、自分をアピールしたつもりが、悪い印象を与えてしまいます。
将来設計などは伝えても良いですが、願望のような計画を伝えて悪い印象を与えないように注意してください。
質問はありますか?と言われたときの鉄板質問
経歴の説明が終わると、次は相手から現場の説明があります。
- どのようなエンジニアでチームが構成されているか?
- 勤務形態はどうなっているか?
- 業務内容がどのようなものか?
あなたが働く上で必要な情報を、一通り説明してくれることでしょう。
その説明が終わると、必ず「質問はありますか?」と言われて、質問タイムになります。
この質問タイムをどう使うかで、面談の通過率が高まるため、慎重になってください。この質問タイムは、疑問を解消するだけではなく、さり気なくあなたを再アピールする時間なのです。
僕が絶対にあなたにしてもらいたい質問に、「現場で困っていることはありませんか?」という質問があります。
よほど体力のある企業以外では、大抵何かが足りないことが多いです。例えば、「Excelのマクロを活用して現場を回しているが、マクロを保守できるエンジニアが少ない」のような現場に遭遇したとします。
そこで、自分がマクロを使えるならば、「前職でもマクロの修正等業務が発生しておりました。僕であれば、1ヶ月ほどの努力でExcelのマクロを使いこなせるようになれますよ。」という感じでアピールできますよね?
ようするに、「現場の悩みを解決するために、僕を採用する必要性がある!」ということを面接官に繰り返し認識させることで、面談の通過率をアップできます。
同様に、「仮に、この現場に入場するとなったら、それまでに学習しておくべきことはありますか?」という質問も有効です。
この質問も、「自分が美味しい思いをしたい」という質問ではなく、「いかに現場で役に立とうとしているか?」という意味の質問に分類できます。
主体的に学習する態度を示しており、なおかつ現場に価値を与えようとしている姿勢は、面接官に好印象を与えるのです。
上記のように「向学心がある」「現場の利益を考えている」という2つを再アピールできる質問を考えて、面談の通過率をアップさせてください。
一方、面接官の印象を悪くしてしまう質問もあります。
上記の良い質問とは逆に、「向学心がない」「現場のことを考えていない」と判断されてしまうと、面談の通過率が下がるのです。
例えば、「質問は特にありません」と言ってしまうと、現場のことに興味がないと思われてしまいます。
また、「この現場では成長できますか?」という質問も、一見好印象を与えているようで、実は悪い印象を持つ人がいるものです。
企業は、あなたを成長させるために高いお金を払うわけではありません。報酬以上の仕事をしてもらいたくて、高い報酬を支払っています。
ゆえに、「成長できるか否か?」というのは、あくまであなたの都合でしかないと判断されてしまうのです。
そもそも仕事の成長とは、「自分ではクリアできない仕事が回ってきたときに、その仕事を何とかクリアしようとスキルアップして、結果的に成長するもの」です。
つまり、「この現場で成長できるか?」を問うのではなく、「上の人の仕事を、自分にどんどん回してもらえるか?」と質問すれば、同じ意味の質問でも、相手に与える印象は大きく変わってきます。
大切なことなので繰り返しますが、「向学心がない」「現場のことを考えていない」と判断される質問はNGです。
また、「向学心」をアピールするときも、自分都合で発言していると思われてしまわないように、上手に質問する必要があります。
面談受けする身だしなみとは?
次に、面談受けする身だしなみを確認していきましょう。
第一に、しっかりとクリーニングされたスーツの着用が必須です。スーツがシワシワになっていると、それだけでだらしない印象を与えてしまいます。
また、真夏であっても、背広で面談に臨んだほうが良い会社もあるため、転職エージェントを活用しているなら、営業の方に背広が必要かを確認してください。
盲点になるのが、スーツの靴です。スーツの靴も意識していないと、くたびれた印象を与えてしまいます。
お店で靴磨きを頼んでも、500〜1000円でお願いできますから、面談前に靴磨きも終わらせておいてください。
(面談時は髪形もバシッと決めていきましょう!)
さらに、髪の毛をセットしているとベストです。キレイに散髪してクシを通していれば不快感は与えませんが、ワックス等でビジネスマン風にセットするだけで、できる人間という印象を与えます。
こうして、第一印象を良くするだけで、面談受けが良くなるものです。
人は皆、見た目で判断されています。極論をいえば、ホームレスのような身なりの人間が「俺は石油王だ!」といっても、誰も信じないですよね?
面談の場というのは、あなたが最も社会性を発揮している場所と考えられます。誰だって、面談を受ける以上は通過したいと考えるのが普通ですから、最大限取り繕った振る舞いを取るものです。
その取り繕った振る舞いにすら問題があるなら、「こいつは、普段の仕事でも必ず何かをやらかすだろうな」、と考えられてしまいます。
そう判断されないためにも、社会性のある身だしなみと振る舞いが、とても重要になるのです。
まとめ
フリーランスエンジニアの面談では、即戦力のエンジニアが求められています。そのため、志望動機などのモチベーションではなく、「要求する仕事をこなせるかどうか」という視点で評価されるものです。
そこで、あなたが意識するべきことは、端的にいうと以下の3つです。
- 今までの現場で報酬以上の仕事をしてきたという実績を、数値を用いて明快に説明すること
- 質問タイムは単なる質問ではなく、あなたの有用性を示すための再アピールタイムだと認識すること
- 身だしなみを整えて、社会性があることを証明すること
ようするに、自分のことを商品と捉えて、自分を売り込むという考えを持てばよいでしょう。
ITエンジニアの場合、「良い仕事をしたら必ず分かってもらえるはずだ」と考えてしまう人が多いです。
しかし、そもそも採用されなければ、良い仕事をする機会すら与えられません。普段は営業的感覚を持つ必然性はありませんが、面談のときだけは最大限自分を素晴らしく見せる必要があります。
おかしな嘘をつかない限り、多少自分を大きく見せてしまっても、現場で働き始めてから真実にしていけばよいのではないでしょうか?