IT業界には、開発者以外にも多くの職種があります。現状、あなたがプログラミングを習得していなくても、挑戦できるIT職種はたくさんあるのです。
その中でも、「ヘルプデスク」の仕事は、IT未経験者からでもできる仕事の1つと認識されています。
IT業界未経験からヘルプデスクに潜り込むことで、開発者や運用SEにステップアップすることも可能です。
そこでこのページでは、「ヘルプデスクとは何か?」と「一般的なヘルプデスクの仕事内容」について解説します。
Contents
ヘルプデスクとは何か?
はじめに、「ヘルプデスクとは何か?」を説明させてください。
結論からいうと、「社内・社外からの問い合わせに対して、適切な答えを返す仕事」がヘルプデスクです。
規模の大きい企業では、全国の拠点から毎日大量の問い合わせがきます。それらの問い合わせを処理するために、専属のヘルプデスク部隊が置かれるのです。
具体的には、ヘルプデスクを配置して、以下のような仕事を任せています。
- 電話の一次切り分け
- メール受付
- 他チームから引き継いだ業務の遂行
それぞれ、順を追って解説させて頂きます。
1.電話の一次切り分け
電話の一次切り分けは、ヘルプデスクの仕事で頻繁に見かける業務です。大抵のヘルプデスク業務では、社内・社外から電話で問い合わせがあります。
例えば、「パソコンがネットに接続できなくなったのですが…」「パスワードがわからなくなってしまったのですが…」のようなトラブルがあるものです。
そこで、自分で対応することもあれば、他チームに回すこともあります。
受電 → 問い合わせ内容をヒアリング → 自分で対応 受電 → 問い合わせ内容をヒアリング → 他チームに連携 |
大抵、上記の2パターンになるでしょう。つまり、電話の一次切り分けを実施するということです。
この仕事のポイントは、なんといっても「問い合わせ内容のヒアリングが上手にできるか?」に尽きます。
例えば、「ネットワークのことでわからないことがあるのですが…」という問い合わせがあったとしましょう。
このとき、「ネットワークに関することだから、ネットワークエンジニアにチームに連携すれば良いのだな」と考えて、すぐに電話を回すのは早計です。
実際には、「パソコンがインターネットに繋がらなくなっただけで、Windowsのトラブル対応チーム」の仕事かもしれません。
そこで、「具体的には、ネットワークでどのような問題が発生しておりますでしょうか?」とヒアリングして、詳細を把握した上で他チームに連携する必要があります。
このように、電話対応1つとっても、突き詰めるとスキルがあるものです。
2.メール受付
メールの受付も、ヘルプデスクの仕事で発生しがちな業務です。ファイルのやり取りが発生する場合・急ぎの連絡ではない場合など、電話よりもメールのほうが都合が良いことがあります。
ヘルプデスク業務においては、すでにメール対応がマニュアル化されていることが多いです。
例えば、「新しいパソコンを導入して欲しいという要望書を受信したときは、○○部署に転送する」のように、手順が決められています。
また、マニュアル化されていないメールに関しても、上位者(マネージャー・統括)に連携を取ることで、指示を仰ぐことがほとんどです。
つまり、自分で考えるよりも、メールを見逃さずにチェックする・作業を間違いなく実施するといった正確さが求められます。
3.他チームから引き継いだ業務の遂行
他チームから引き継いだ業務の遂行も、ヘルプデスクの業務になり得ます。ヘルプデスクは、仕事の性質上「何でも屋」のような立ち位置になりやすく、待機時間を利用してちょっとした作業を任されがちです。
例えば、普段は別チームの運用SEがやっている、監視の仕事・サーバーのバックアップの仕事などの手順書通りに実施するだけの作業を、運用SEは面倒に感じています。
現場によっては、そのような仕事をヘルプデスクが引き取って実施していることもあるのです。
ただし、どのような作業になるかは、会社によってもバラバラになります。比較的に、スキルを必要としない仕事が回ってくると考えればよいでしょう。
ヘルプデスクの仕事の特徴
ここからは、ヘルプデスクの仕事の特徴について解説します。仕事の特徴を知った上で、自分の性格にマッチしていれば、IT未経験からでも積極的に挑戦してください。
具体的には、ヘルプデスクの仕事には、以下のような特徴があります。
- 他のIT職種と比較すると給料は高くない
- コミュニケーション能力が高くなる
- 現場によってはプログラミング言語を活用している
それぞれ、順を追って解説させて頂きます。
1.他のIT職種と比較すると給料は高くない
他のIT職種と比較すると給料は高くないのが、ヘルプデスクの特徴です。これは、ITスキルが低くてもできる仕事だからだと考えられます。
ヘルプデスクの現場では、プログラミング等の技術力が求められません。
また、仕事で判断に困った場合も、上位者に連携を取って判断を仰ぐことが多いです。
つまり、言い方は悪いですが、「誰でもできる仕事」だと判断されがちなのがヘルプデスクといえます。
しかし、裏を返せば、初心者からIT業界に潜り込むための仕事と捉えることもできるでしょう。
実際に、ヘルプデスクで数年実績を積みながら、プライベートで資格を取得したりプログラミングを学習したりして、数百万年収がアップする転職を実現した元同僚も見てきました。
IT未経験から、いきなりプログラマーなどの開発職に就くのは、経験不足で難しいことがあります。そこで、ステップアップのために、戦略的にヘルプデスクで経験を積む選択肢があるのです。
定年までヘルプデスクで働くという選択肢は想像し辛いですが、入り口としては素晴らしい仕事といえます。
2.コミュニケーション能力が高くなる
コミュニケーション能力が高くなるのも、ヘルプデスクの特徴です。問い合わせの回答や、他チームへの連携など、基本的には人と関わる仕事だからです。
例えば、「他チームから依頼を受けて実施している作業に関して、長期休暇の際の対応をどうするか?」などの調整業務を、ヘルプデスク側で実施する現場もあります。
僕はプログラマーの経験があるのですが、開発の仕事と比べて、ヘルプデスクの仕事は他者との会話が多いです。
ヘルプデスクを経てから別のIT職種に転職した場合、コミュニケーション能力が高いエンジニアという新しい価値が生まれます。
3.現場によってはプログラミング言語を活用している
現場によってはプログラミング言語を活用しているのも、ヘルプデスクの特徴です。IT職種の1つだけあって、非効率を排除する傾向が見られます。
例えば、エクセルのマクロ(Excel VBA)で業務ツールを制作して、面倒な作業を自動化するなど、作業時間の短縮化に取り組んでいる現場はあるものです。
- システムへのログインを自動化するツール
- メールを自動で制作するツール
- 複数の資料を自動で開いて、確認事項を分かりやすく抜き出すツール
上記のように、日々の業務を効率化するツールを簡易的なプログラミングで実現できます。1つの作業に数分かけていたものが数十秒で終われば、ツール制作後の作業が楽になるのです。
このような現場なら、ヘルプデスクから他のIT職種へもステップアップしやすいでしょう。
転職の面接時に、「日々の業務で5分かかっていた仕事を、ツールで自動化することで1分で完了できるようにしました」といえば、面接官へのアピールにもなります。
一般的には技術力が必要ないと思われているヘルプデスクですが、工夫次第で開発者と同じような仕事を経験できるのです。
この技術力を、プライベートで活かしたり会社内でアピールしたりすれば、さらなるステップアップの道が開けます。
若者・女性・IT初心者向けの仕事
本記事では、「ヘルプデスクの仕事内容」や「仕事の特徴」について解説させて頂きました。
当サイトは「SE転職大全」というタイトルですが、ヘルプデスクがIT業界の入り口となっていることから、この仕事の詳細をお伝えした次第です。
ヘルプデスクという仕事は、厳密にはエンジニア扱いされないことも多く給料も高くないことから、定年まで勤め続ける仕事とは考えられていません。
しかし、現場によってはプログラミングを駆使することもあり、技術を習得するチャンスはいくらでもあります。
そう考えると、以下のような立場に当てはまる人に向いている仕事です。
- 社会人デビューしたいが、営業はしたくない若者
- IT業界に転身したいIT初心者
- コミュニケーションを活かしたい女性
ヘルプデスクとして働くと、否が応でもコミュニケーション能力は身に付きます。
その経験を活かして開発者に転身すれば、コミュニケーション能力が高いITエンジニアとして、自分なりの価値を発揮することもできるのです。