運用オペレータの仕事ほど、向き不向きがはっきりと分かれる仕事はありません。特殊な勤務形態や正確性を求められるルーチン作業など、他のSEとは一線を画する仕事だからです。
「この仕事に飽きたので、ステップアップしたい!」といって、ネットワークエンジニアやサーバエンジニアに転身する人がいます。
一方、「長く続けられてプライベートを安定させられるので、一生の仕事にしようと思っています」といって、キャリアの終着点にしてしまう人もいます。
僕も運用オペレータの仕事を経験する中で、数週間で辞めてしまう人から30年間運用オペレータを極め続けた人まで、多くの人と出会ってきました。自分の業務経験や同僚・先輩との会話から、今では「運用オペレータとして活躍できる人の共通点」を見出すこともできています。
自分の適性を知らないまま運用オペレータに転職してしまうと、必ず後悔してしまうと、僕は考えています。それくらい、向き不向きがハッキリしている職業なのです。
そこでこのページでは、「運用オペレータに転職して上手くいく人の特徴と面接に受かる3つのコツ」を解説します。
Contents
運用オペレータに向いている人
運用オペレータの仕事は、他のITエンジニアと大きく異なる点があります。
これから紹介する以下に2点に「当てはまっている」と感じる場合、運用オペレータとして活躍できる適性があります。
- 土日を含むシフト勤務や深夜・変則勤務がOK
- 定型作業が苦にならない
順を追って解説させていただきます。
突発的な残業は嫌だが、土日を含むシフト勤務や深夜・変則勤務はOKな人は運用オペレータ向き
ネットショップを一日中楽しめることからも分かるように、世の中のあらゆるシステムが深夜にも稼働していています。そのため、運用オペレータの仕事は、24時間365日のシフト勤務であることが多いです。
例えば、僕の運用オペレータの経験であれば、以下のようなシフト勤務がありました。
■3交代制の変則勤務
9:00~18:00 12:00~21:00 21:00~9:00 ■3勤3休の深夜勤務 21:00~9:00 |
上記のような働き方は、好き嫌いが分かれます。世間の休日とは関係なくシステムが稼働しているため、ゴールデンウィーク・お盆・年末年始でも休めないこともあるからです。
また、年齢を重ねると、変則勤務に体がついていかなくなります。
もちろん、1年に数回、「どうしてもこの日は休みたい」という日は休めます。
しかし、世間と同じように動きたい人の場合、避けられることも多い勤務形態です。
もし、上記のような条件を苦にしないのであれば、運用オペレータの仕事は最適です。必ず平日に休みが回ってくることによって、以下のようなメリットを受けられます。
- 通勤電車が混まないときもある
- 役所や銀行に行く用事を難なくこなせる
- 買い物・旅行などで混雑する時間を避けられる
上記の例からも分かるように、シフト勤務は、自分の人生を世間に合わせなくてもよいと考える人にとって、最適な働き方です。
3勤3休の深夜勤務で、Webライターとして独立するための文章力を身につける時間ができた話
現在の僕は、フリーランスエンジニアとWebライターとして、生計を立てています。
元々、独立志向が強かったため、経済的に独立できるスキルを身につけたいと考え、文章力を身につけることにしました。
しかし、文章力を身につけようと思い立って、すぐに文章力が伸びたわけではありません。
文章を書き始めた当初は、日々の仕事が忙しすぎて、帰宅後に文章を書く気力が残っていなかったのです。
そこで、運よく3勤3休の仕事を見つけました。21:00~9:00の深夜勤務だったので、多くのエンジニアからは避けられていた仕事です。
ただ、スキルを身につける時間が欲しいと考える僕にとっては、最高の条件でした。月15日働けば良かったので、普通のサラリーマンより休日が多いのです。
さらに、毎回3連休ができるので、文章を書くスキルを磨くには十分の時間がありました。
おまけに、深夜勤務なので、給与も高かったのです。
世間では避けられている勤務形態でも、僕にとってはこれ以上の条件はない仕事でした。ここで、ブログ執筆・副業Webライターなどを通じて多くの文章を書いたからこそ、生計を立てられるほど文章力を磨くことができました。
もし、あなたも「趣味などのやりたいこと」や「副業」を考えている場合、時間を作れるのでオススメです。
このように、残業が多いSEの世界で、運用オペレータだけは決められた計画通りにまとまった休みが取れるのです。
定型作業がしたい人は運用オペレータ向き
定型作業を好むエンジニアも、運用オペレータに向いています。運用オペレータは他のSEと比較すると、トラブル対応が少ないからです。
もちろん、運用オペレータであっても、未知のトラブルに自分で対応することはあります。
しかし、障害の解決よりも、障害の切り分けや別部門・別会社に対する適切なエスカレーション(上位者に報告して対応してもらうこと)を求められることが多いです。
そのため、理解があいまいなまま勝手な判断をせずに同僚や上司に報告することが、仕事の能力として求められるのです。
何でも「自分で解決してやろう」と考える問題解決型の性格ではなく、確実性や協調性を重視するタイプの性格が運用オペレータに向いています。
仮に、「開発系SEになったものの、仕事の適性がない」と落ち込んでいるなら、運用オペレータへの転身が、あなたの人生を変えるかもしれません。
面接の際は定型作業をしたいと言ってはいけない
運用オペレータは、他のSEと比較して定型作業が多い仕事です。
しかし、転職活動の際に「定型作業がしたい」「これ以上、複雑なことを考えたくない」などのような志望動機を伝えてはいけません。
定型作業には、定型作業の難しさがあるからです。
特に、システムは正常稼働して当たり前の世界です。自分の操作ミスでシステムを止めてしまうようなことがあったら、会社全体の大問題になります。
そのため、面接では常に前向きな姿勢を見せる必要があります。
具体的には、以下のような志望動機が好まれるでしょう。
1.IT業界で長く働きたいという気持ちから、突発的な残業がない運用オペレータの仕事を探しています。 今までの経験にプラスして運用オペレータに求められるスキルを磨き、将来的にはトラブルの解決ができる運用SEを目指しています。 2.IT業界で働く中で、技術力よりもミスのない正確な作業で他のエンジニアに対して優位性があることに気が付きました。 また、前職でも管理者に報告や相談をして、物事を進める傾向がありました。 このような性格を最大限活かせるのが運用オペレータだと考え、転職を決めました。 |
上記のような志望動機に、「自分の会社での具体的なエピソード」や「なぜ御社の求人に応募したのか」という話を含めて、自分の発言に説得力を持たせてください。
運用オペレータとして採用されたいときに面接官にアピールしたい3つのポイント
ここからは、あなたが運用オペレータに転職するときに、面接官にアピールしたい3つのポイントを解説します。
僕が運用オペレータとして就職・転職を果たす中で、実際に経験した業務を元に、運用オペレータとして大切なところをまとめました。
具体的には、以下の3つです。
- ミスなく作業ができる
- わからないことを、勝手に判断しない
- スキルに関する意欲がある
それぞれ確認していただき、面接にお役立ていただければ幸いです。
1.ミスなく作業ができる
ミスなく作業ができるスキルは、運用オペレータになりたいならアピールしたいポイントになります。運用オペレータの仕事は、チェックリストや手順書を元に作業を行うので、丁寧さや正確性を求められるからです。
例えば、わかりきった作業でも、チェックリストを読み飛ばさずに一つずつ確認するのも、運用オペレータにとっては重要なスキルになります。
運用オペレータ以外だった頃は、「仕事が遅い」という扱いを受けていた人も、運用オペレータであれば真逆の評価を受けられる可能性があるのです。
チェックリストと指差し確認で、今すぐ運用オペレータのスキルを高められる
僕が運用オペレータをやっていた頃、セキュリティ意識が高い企業に勤めていました。
その企業では、普通のメールを送信するだけでも、同僚のダブルチェックが必要という方針で、組織を運営していたのです。
あなたが、実際にこのような企業で働いてみることは、転職しない限り難しいでしょう。
しかし、今すぐあなたも運用オペレータの業務がどのようなものか、経験することは可能です。
まずは、以下のようなチェックリストを作成してください。これは、簡単なメールの誤送信チェックリストです。
□宛先に間違いはないか?
□cc bccに余計なアドレスは含まれていないか? □添付ファイルに誤りはないか? |
上記のチェックリストをプライベートのメールを送信するときに使用してみてください。
このとき、「指差し確認」を合わせて行うと効果的です。指差し確認とは、チェックリストの該当部分を目で追うだけでなく、指差しすることによって間違いに気がつきやすくする手法です。
動作が必ずワンテンポ遅れることによって、ギリギリのところで過ちを防ぐ効果もあります。
チェックリストの使用と指差し確認は、セキュリティ意識が高い企業では、日常的に行われていることです。あなたも、現在の職場やプライベートで試してみてください。
2.分からないことを自分で勝手に判断せず上位者に報告できる
対応方法が分からない業務において、自分で勝手に判断せず上位者に報告できるのも、運用オペレータに求められる能力です。システムの運用は厳格な手順書に基づいて行われるので、原則的に手順書以外の操作を行ってはいけないからです。
手順書に分からないところがあった場合、問題を解決できないのは、「本人の能力のせいではなく、手順書に不備があるから」と考えられます。
そのため、「多分こうだろう」と考え、勝手な判断で問題が解決しても、以下の2点が問題となるのです。
- 手順書以外のことをやってトラブルが発生したら大問題になる
- 問題の解決方法が、会社にではなく個人に蓄積されるので、システム運用のレベルが高まらない
何かあったら上位者に必ず報告し、会社全体のシステム運用のレベルを高めることを意識すれば、面接に通過しやすくなるでしょう。
3.ITスキルに関する意欲がある
運用オペレータであっても、ITスキルは必要になってきます。ベテランやマネジメント側に回ると、未知の問題を解決する能力が求められるからです。
例えば、障害の切り分けで別会社の担当者にエスカレーションする場合も、「ただ、アラートの発生を伝えるだけなのか?」それとも、「アラートが発生したサーバやアラート名から、どのような問題が起こっているかを把握して伝えるのか?」によって、トラブルが迅速に収束するかどうかが決まります。
他にも、手順書やチェックリストを作成するときは、「なぜ、その手順になるのか?」を把握しておかなければ質の良いモノを作ることができません。
そこでも、当然、Linuxコマンドやネットワークの知識を知っておかなくてはなりません。
そのため、たとえ開発が嫌になって運用オペレータに転職したい人でも、ITスキルに対する意欲を面接官に見せないと、内定を得ることは難しいでしょう。
特に、運用オペレータをキャリアの終着点にしたいのであれば、運用業務で必ず必要になってくるコマンド操作や、ネットワーク・セキュリティなどの知識を習得してください。
このページで説明した通り、運用オペレータの仕事は、適性や好みが分かれます。
運用オペレータの仕事に適性がある場合、年齢を重ねても頑張れる仕事です。是非とも長期的なキャリア形成を視野に入れて、転職活動を行ってください。
※運用オペレータにキャリアチェンジする踏ん切りがつかないなら、以下の記事もおすすめします。
運用オペレータとして転職したいなら
運用オペレータの仕事にキャリアチェンジしたいなら、求人数の多い転職エージェントを活用してください。運用オペレータは開発者よりも求人数が少ないため、豊富な求人を取り扱っているエージェントに相談するのが有利です。
なお、運用オペレータの仕事は「SE未経験」にも広く門戸を開かれている場合が多く、未経験OKの転職エージェントを活用すれば、問題なくキャリアチェンジできます。
豊富な求人を取り扱っている・SE未経験者を歓迎している、という条件を満たしている転職エージェントは以下の2つです。
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