フリーランスエンジニアへの転身を検討するとき、労働時間を気にする人がいます。IT企業の正社員の多くが仕事に追われており、長時間労働から開放されたいと願っているからです。
しかし、フリーランスエンジニアと一言でいっても、働き方によって労働時間は異なります。
フリーランスエンジニアという働き方に夢を見るのではなく、現実的にどうなっているかを知っておく必要があるでしょう。
本記事を執筆している私は、現役フリーランスエンジニアのため、フリーランスエンジニアの労働時間に関しても詳しいです。
そこでこのページでは、「フリーランスエンジニアの労働時間の実情」について解説します。
Contents
立場によって労働時間は様々
それでは、さっそくフリーランスエンジニアの労働時間の実態を探っていきます。
ただし、その前にフリーランスエンジニアといっても、以下の2種類の働き方があることを認識しておいてください。
- 客先常駐フリーランスの場合
- 在宅フリーランスの場合
それぞれ、順を追って解説させて頂きます。
1.客先常駐フリーランスの場合
客先常駐フリーランスとは、企業と個人契約を交わして、労働者と同じように働く方式です。IT企業の現場には、複数の企業からプロジェクトに派遣されているのが一般的ですが、そのプロジェクト内にフリーランスとして入場します。
客先常駐フリーランス契約の労働時間は、「会社員ITエンジニアとほぼ変わらない」というのが実情です。
大抵の契約書では、「1ヶ月150〜180時間」と記載されています。出勤時間も会社員と同様で、残業するかどうかも入場するプロジェクト次第です。
ただし、契約が1ヶ月160〜180時間程度となっていた場合、180時間を超えるまでは残業時間となりません。
さらに、有給休暇などを取得する契約にはなっておらず、あくまで「契約時間内で融通をきかせてくれる現場もある」ぐらいに考えておいてください。
なお、近年では週2〜3日の契約で働くフリーランスエンジニアも登場しています。この場合、およそ月100時間前後働くことになるでしょう。
2.在宅フリーランスの場合
在宅フリーランスとは、企業と直接やり取りして、小規模な案件をこなす働き方です。在宅と書きましたが、働く場所を選ばないため、カフェや物価の安い海外で仕事をする人もいます。
在宅フリーランスの労働時間に関しては、本当に人によってバラバラで、一概に何時間働いていると言えないのが実情です。
- いくら稼ぎたいのか?
- どれくらいの生産性を自分が持っているのか?
上記2点によって、労働時間は大きく変わってくるでしょう。つまり、労働時間よりも、「この案件なら、○○時間でこなせるから、△△万円稼ぐためには□□時間働く必要があるな〜」という計算ができれば、労働時間を算出できるのです。
一例として、インターネットのマッチングサイトで募集されている案件を目安に、どれくらい働けば良いかを計算してみてください。
上記のような案件で考えてみましょう。月20万円稼ぎたいのであれば、月20日働くとして1日1万円の稼ぎでよいわけです。
1日1万円を上記の案件でクリアしようと考えたら、5000円の案件を2つこなします。1案件2時間でこなせるなら1日の労働時間は4時間なので、月の労働時間は80時間になりました。
このようにして、自分ができる案件・それをこなすために必要な時間・目標収入が分かれば、労働時間を算出できます。
また、在宅フリーランスは、仕事の時間を以下の2つに分類するべきです。
- 案件を獲得する時間
- 実際の案件をこなす時間
1.の「案件を獲得する時間」に関しては、実際の開発作業とは別に考えておかなければなりません。継続的に案件をくれるクライアントとの繋がりがない場合、1日数時間かけて案件を探す必要があります。
独立したばかりの頃は、クライアントとの繋がりも薄く、さまざまな企業に営業をかけることになるでしょう。
そして、独立してしばらく経つと、継続的に仕事を依頼してくれるクライアントも複数見つかります。そうなれば、案件を獲得する時間は大幅に短縮されて、総労働時間も短くなるものです。
2.の「実際の案件をこなす時間」は、あなたのスキル次第で変動するものです。
仮に、2万円の報酬が受け取れる案件を月20件こなして、月40万円稼ぎたいとします。1つの案件を4時間でこなせるなら労働時間は80時間ですし、8時間かかるなら160時間になりますよね?
つまり、在宅フリーランスエンジニアの平均的労働時間を知ろうとするのはナンセンスといえます。全ては、あなたの収入目標と生産性次第なのです。
在宅フリーランスエンジニアは好きな時間に好きな場所で働けるのがメリット
在宅フリーランスエンジニアに関しては、労働時間よりも「好きな時間に好きな場所で働ける」のが最大のメリットです。会社では余計な妨害が入って生産性が落ちるものですが、リラックスした場所で自由に働くことで生産性を高めることができます。
そもそも、労働時間を短くすることが目的なら、フリーランスエンジニアになるのはおすすめしません。
生産性が高ければ労働時間が短くなるのは事実ですが、フリーにはフリーの苦労がつきものです。
日本中の在宅フリーランスエンジニアとの競争にさらされますし、好きでエンジニアリングに取り組んでいるような人間でないと、早晩人生が行き詰まります。
在宅フリーランスエンジニアとして確固たる生活基盤が確保されるまでは、労働時間よりも信用構築などを気にしたほうが良いでしょう。
また、生活基盤が確保された後も、節約した労働時間を使って新しいスキル獲得に取り組むような人間が、長期的に成功することを忘れないでください。
当サイト管理人の実例
ここからは、当サイトの管理人が実際に企業に常駐するフリーランスエンジニアとして働いている経験を元に、労働時間の実例をお伝えします。
結論からいうと、僕は1ヶ月あたりの労働時間が「150〜180時間」で仕事をする契約です。
運用系のフリーランスエンジニアとして働いていることもあり、世間の休日とは関係なくシフト制で休日が組まれます。
そして、現実的には180時間も働くことはあり得ず、大抵150時間ぐらいの労働時間におさまるものです。
ホワイトな現場で働くことができれば、このように契約時間のボーダーラインで働けます。
しかし、職場によっては、ノルマが厳しく残業しなければ仕事が終わらないこともありました。契約時間が「160〜180時間」で通常の労働時間が160時間だったとすると、1日1時間残業してもタダ働きになります。
実際に、残業代が出ない月180時間労働させられる現場に当たったこともあります。
結局のところ、現場によるとしか言いようがありません。
現場への入場前には面談があるため、そこでの質疑応答や職場の雰囲気から、労働時間の実情を探るのが現実的です。
フリーランスエンジニアが労働時間を減らして効率的に働く方法
ここからは、フリーランスエンジニアが労働時間を減らす方法について解説します。
人間誰しも、働きすぎるより、ほどほどの自由が欲しいものです。そこで、フリーランスエンジニアは以下のようにして労働時間を短縮できます。
- スキルを高めて好条件の案件を獲得する
- 週2~3日労働の固定収入 + 副業で複数の収入源を作る
フリーランスエンジニアとして生きていくなら、これからお伝えすることは必ず意識してください。
1.スキルを高めて好条件の案件を獲得する
スキルを高めて好条件の案件を獲得するのは、フリーランスエンジニアが労働時間を短縮する方法の一つです。生産性を高めることで、労働時間あたりの報酬が増えれば、そこまで長時間働く必要がなくなります。
例えば、僕がフリーランスエンジニアとして最初に入場した現場では、月160時間の労働があるうえに残業時間も月20時間を超えていました。
これで、通勤時間も片道2時間ほどかかっていたため、仕事ばかりしている人生だったのです。
その後、かつて運用SEだった頃の知識を復習して別現場に入場したところ、月150時間労働となりました。さらに、通勤時間も片道1時間に短縮されて、月あたり70時間ほど節約できたことになります。
このように、スキルさえあれば条件の良いところに渡り歩けるのです。
2.週2~3日労働の固定収入 + 副業で複数の収入源を作る
週2~3日労働の仕事に、すき間時間にできる副業を加えることで複数の収入源を作るのも、フリーランスエンジニアが労働時間を短縮する方法です。最低ラインの稼ぎを確保した上で、労力のかからない副業収入を伸ばせば、自由時間を確保できます。
例えば、「ブログを運営することで、月10~20万円の広告収入を得ている」という話はよくあるものです。
別にブログでなくても、有益な情報を掲載するWebサイトであれば、毎日更新せずともアクセスが集まり続けて、手堅く広告収入を稼げている人は大勢います。
ほかにも、フリーランスエンジニアの仕事に尽力して、3000万円ほどの資産を構築できれば、株の配当金で月10万円ほどの不労所得を得ることもできるのです。
ようするに、半自動的に収入が入ってくる仕組みを構築して所有することで、フリーランスエンジニアの仕事量を減らせば、総労働時間は減ります。
世の中の正社員は副業が禁止されていることが多いため、まずはフリーランスエンジニアになった上で、自由に副業に取り組めばよいでしょう。
まとめ
本記事では、フリーランスエンジニアの労働時間の実情を、あけすけに公開してきました。
もう一度おさらいしておくと、フリーランスエンジニアの労働時間には、以下のような性質があります。
- 客先常駐フリーランスエンジニアの労働時間は会社員と変わらない
- 在宅フリーランスエンジニアの労働時間は、収入目標と生産性によってバラバラ
自分がどういうフリーランスエンジニアになりたいかで、労働時間は大きく異なるということです。また、在宅フリーランスエンジニアは労働時間を短縮しやすい立場ですが、将来のことを見据えてスキルアップにも時間を割いたほうがよいでしょう。
また、企業常駐フリーランスエンジニアや週2~3日勤務のリモートワークエンジニアであっても、スキルアップしたり副業を持ったりすることで、無駄な労働時間を減らすことは可能です。