システムエンジニア(SE)が転職するとき、履歴書以上に重要になる書類が「職務経歴書」です。履歴書には書ききれない、あなたが積み重ねてきた経験やスキルを記載するからです。
「SEとして、どのような働き方をしてどのようなスキルを身につけてきたか?」を証明するのが、職務経歴書だといえるでしょう。
職務経歴書のフォーマットは原則自由ですが、なんでも記載してよいわけではありません。面接官にもわかりやすいように、情報を過不足なく伝えることが大切です。
ここで重要な項目が抜け落ちてしまうと、面接の段取りが悪くなり、100%の面接ができなくなってしまいます。
そこでこのページでは、「SEが職務経歴書を書くときに必ず抑えておきたい項目と、より印象を高める追加の項目」を解説します。
Contents
どの企業に提出するときでも必ず記載するべき共通の項目
はじめに、「どの企業に提出するときでも必ず記載するべき共通の項目」について解説します。具体的には、以下の項目は職務経歴書を構成する上で必須となるでしょう。
- 就業期間
- プロジェクトの詳細および、そこでの担当業務
- 作業環境・開発環境
- プロジェクトの規模
これらの項目を一度作成しておくと、次回以降の転職でも継続して流用できます。はじめての転職では大変な作業かもしれませんが、面倒くさがらずに自分のキャリアを棚卸してください。
では、それぞれ順を追って解説させて頂きます。
1.就業期間
20xx年xx月~20xx年xx月まで働いたという就業期間は、必ず記載する必要があります。書類上からは、SEが磨いてきたスキルの詳細が見えにくいため、就業年数でスキルレベルを予測することも多いのです。
このとき、就業年数を偽るのはご法度です。年金の記録などから、虚偽の記載は必ずバレてしまいます。
また、SEの経歴の合間にアルバイトなどの経験があるなら、念のため記載しておいたほうがよいでしょう。
空白期間が空いていると、必ず深掘りされるので、あらかじめ記載しておくに越したことはありません。
2.プロジェクトの詳細および、そこでの担当業務
プロジェクトの詳細や、そのプロジェクトでの担当業務は、最も重要な項目です。中途採用では経験が重要視されるため、自分が何を経験してきたのかを明記する必要があります。
具体的には、以下のように記載してください。
プロジェクト内容 |
大規模データセンターの顧客サーバー管理プロジェクト
[概要] 顧客企業から委託されたサーバーの管理・保守。 Windowsで運用されているサーバーを管理する部隊で、サーバーの管理・保守、来館対応、データセンター内のPC管理を担当。 [担当業務] サーバー管理:Windowsサーバーのログ収集、バックアップ処理、不正ログイン対応の実施 来館対応:データセンターへの来館予約への返答と、来館者へのセンター案内 データセンター内PC管理:データセンター内で使用されるPCの管理業務(固定IPアドレスの管理を含む) |
上記は、当サイトの管理人が運用SEとして働いていたときの経歴です。
先頭に、プロジェクトの内容が一行でわかりやすく記載されています。次に、業務の[概要]を記載。最後に自身の[担当業務]を記載しています。
今回の例では、リーダー経験やマネジメント経験についての記載はありません。
ただし、あなたにこれらの経験があるなら、必ず記載するようにしてください。
リーダー経験やマネジメント経験は、年齢を重ねるごとに重要なアピールポイントになります。リーダー・マネジメント経験の詳細を、簡潔に説明してください。
3.作業環境・開発環境
作業環境や開発環境も大切です。「どのようなプログラミング言語の経験があるのか?」、「サーバー操作の経験は?」など、面接官は自社の現場で通用するかを知りたがるからです。
作業環境・開発環境 |
Linux VB.net SQL Server Windows Server 2012 |
このように、ひとつの職場で経験したスキルを記載してください。
4.プロジェクトの規模
プロジェクトの規模と、自分の役割を記載するのも重要です。大規模・小規模がわかれば、面接官にあなたの今までの働き方が伝わります。
また、プロジェクトだけではなく、そこでの役割を説明することで、自分が積み重ねてきたスキルを証明できるのです。
具体的には、以下のようになります。
規模・役割 |
メンバー (運用SE) 要員数:6名 [担当] 主に、顧客と自社の連絡窓口 |
上記4点を、就業した会社の数だけ記載します。なお、以下のような表形式にするのがベストです。
就業期間 | プロジェクト内容 | 作業環境・開発環境 | 規模・役割 |
~ | ~ | ~ | ~ |
「上記の1.~4.」までを、経験した会社の数だけ記載してください。
面接予定の企業に合わせて記載するべき項目
次に、面接予定の企業に合わせて記載するべき項目を解説します。
あなたはSEとして、さまざまな経験をしてきたでしょう。その中から、入社したい企業の面接官に響く経験をピックアップして記載する必要があります。
具体的には、以下の2点を記載してください。
- ITスキル以外の自己PR
- 面接予定の企業で生かせるスキル
書き方次第で、希望の企業に入社できるかが決まります。手を抜かないように気をつけてください。
1.ITスキル以外の自己PR
ITスキル以外の自己PRも重要です。いくらエンジニアといっても、技術力以外の人間としての部分が欠落していたら、仕事は成り立たないからです。
あなたの業務経験を盛り込んで、自己PRを完成させる必要があります。
■自己PR 複数の物流システム開発に携わるうちに、ほとんどの顧客よりは物流システムのことを理解できるレベルに至っています。ただし、顧客との折衝時には、自分の意見を押し付けるのではなく、まずは顧客の要望をヒアリングすることを徹底しました。 仕様決定後も定期的に顧客先企業に出向いて、現場の方を含めた仕様変更を入念に行うことを、顧客先に提案して受け入れてもらいました。その結果、顧客との間に一体感が生まれ、「現場が意見を出し合って、自分たちで作ったシステムだ」と認識してもらい、顧客満足に貢献できました。 このように、ただ効率の良いシステムを開発するだけではなく、顧客に寄り添う折衝スキルは、貴社でも生かせると考えております。 |
このように、ITスキル以外の自己PRを行うことで、エンジニアとしてだけではなく、人間として成長してきた部分をアピールしてください。
2.面接予定の企業で生かせるスキル
面接予定の企業で生かせるスキルを簡潔に記載する必要があります。特に、職歴が複数ある場合、どの職場での経験をアピールするかで、面接官に対する伝わり方が異なるのです。
具体的には、以下のように記載するのが良いでしょう。
■貴社で生かせる経験・スキル ・顧客との折衝 顧客システムの要件定義のための会議に参加。開発中も、プロジェクト内の進捗会議や、顧客への報告会に出席しています。 ・業務知識・開発経験 物流管理システムの分野に関しては、多くの企業の物流システムを開発した経験があり、深い業務知識を有しています。顧客の要望を引き出しつつ、顧客が気づいていない観点からも高効率物流システムの提案ができます。VB.netおよびJavaでの開発経験を有しており、プログラマーの指導・管理能力があります。 [開発経験] WindowsOSでの、VB.net、SQLServerを用いた物流システムの開発(3年) 自社で使用する、独自フレームワークの開発(1年) |
「顧客との折衝」、「業務知識・開発経験」などの項目は、あくまでも参考です。仮に、あなたがマネジメントを経験しているなら、「マネジメント経験」の項目を作成して、詳細を記載するのは有効です。
習得スキルを表にして視覚化する
SEとして磨いてきたスキルを証明するために、習得スキルを表にまとめるのも面接官にとってありがたい行為です。ITスキルに関する質問をするときに、面接官が的を得た質問ができるようになり、面接を有利に進めることもできます。
例えば、以下のようにスキルの分類をするのが有効的です。
開発言語 | レベル | 期間 | |
言語 | VB.net | 部下に指導できる | 3年 |
Java | 即戦力になれる | 約1年 | |
DB | SQLServer | 構築とチューニングができる | 3年 |
Oracle | SQLを使える | 約半年 | |
OS | Windows | 顧客からの質問に適切に回答できる | 5年 |
Linux | CUI上でコマンド操作ができる | 2年 |
開発環境・レベル・経験年数をわかりやすく分類することで、面接官が質問しやすい状況を作り出してください。
最後に
上記が、職務経歴書の作り方の全てです。職務経歴書を作成する際は、この記事を読みながら記載すれば、大きな間違いは起こりません。
また、職務経歴書のファイルがないなら、当サイトで紹介している転職エージェントから、職務経歴書のファイルを頂くのも選択肢の一つです。
以下のページで、複数の転職エージェントを紹介しています。
例えば、当サイトで紹介している「レバテックキャリア」に登録すると、すぐにメールや電話によるレスポンスが返ってきます。そこで、「職務経歴書・スキルシートのファイルをください」とお願いすれば、転職エージェントが用意したファイルが手に入るのです。
エージェントが必要としている項目が盛り込まれたファイルなので、グーグル検索で適当に拾う職務経歴書のファイルよりも、使いやすいフォーマットに整っているのが特徴です。
自分にとって最適な職務経歴書のファイルが見つからないなら、先に理想の転職エージェントを見つけてしまいましょう!