IT業界では、最初に勤めた会社で定年まで働く人の方が珍しいぐらいです。多くのSEは、人生のどこかのタイミングで転職する機会があります。
しかし、転職には退職がつきものです。
ここで、退職時の常識をおさえておかないと、お世話になった人たちに失礼なことをしたり退職後に次の仕事が決まらなかったりしてしまいます。
そこでこのページでは、「SEが転職前(退職前)に準備しておくべきこと5選」を解説します。
Contents
転職を成功させるためには退職前の準備が全て
転職を成功させるためには、退職前の準備が全てです。ここで会社が嫌だからといって勢いで辞めてしまうと、前職と同様の酷い会社に転職してしまう可能性が高まります。
当サイトの管理人ヤマダも、実際に勢いで転職して後悔した経験があります。
しかし、血の涙を流して再度転職活動に取り組んだ結果、現在では転職のノウハウを蓄積してホワイト企業に巡り会えました。
ここからは、僕が絶望を繰り返して手に入れた転職ノウハウを惜しげもなく公開します。ホワイト企業に転職して、ブラック企業に人手不足という天誅を与えてください。
具体的に、退職前には以下の5点の準備が重要です。
- 円満退職できる準備を整える
- 過去の経歴を淀みなく伝えられるように練習しておく
- 自分のスキルを証明できるポートフォリオを用意しておく
- 信用があるうちしかできないことをやっておく
- 自分と相性の良い転職エージェントをあらかじめ見つけておく
それぞれ、順を追って解説させて頂きます。
1.円満退職できる準備を整える
円満退職できる準備を整えるのは、社会人としての常識です。ここで、お世話になった企業に迷惑をかけると、後々の転職活動に悪影響を与えてしまいます。
例えば、あなたが面接を受けた企業が、前職企業に問い合わせたとき、「あいつは社会人としての基礎ができていない」と言われてしまうだけで、悪い印象を持たれてしまうのです。
いくらIT業界が広いといっても、SEが働ける場所は、IT企業が集積している都市部に限定されます。ある現場で一緒だった人間と、別の現場で一緒になることだってあり得ない話ではありません。
それでは、どのようにすれば、円満退職が実現するのでしょうか?
結論からいうと、以下の順番で退職を進めてください。
- 直属の上司に退職を報告
- 退職日の決定と退職届の提出
- 業務の引継ぎ
- 退職(ゴール)
はじめに、「1.直属の上司に退職を報告」することが重要です。
上司には普段からお世話になっていますし、部下が退職することで上司の業務負担が増えます。また、具体的な退職日の相談なども続けてしなければならないため、まずは上司に退職を報告してください。
次は、「2.退職日の決定と退職届の提出」を行うのがよいでしょう。上司には引き留められる可能性もあるでしょうが、ここでも上司からの心象が悪くならないように、「自分がやりたいことを実現するために、転職が必須である理由」を伝えてください。
最後に、「3.業務の引継ぎ」を円滑に進めるべきです。あなたにしかできない仕事があるなら、しっかりとチームのメンバーに引き継ぐことで、あなたが退職した後も現場が回ります。
上司からすれば、あなたが抜けた後に新しいメンバーを教育する可能性が高く、業務の負担が増えることは確実です。
業務を引き継ぐだけではなくマニュアル化するなどして、誰がみても業務をこなせるような状態にしておけば、現場からは感謝されます。
上記の3点をクリアした上で退職すれば、大抵の場合、円満退職できるのです。
2.過去の経歴を淀みなく伝えられるように練習しておく
過去の経験を淀みなく伝えられるように練習するのも大切です。面接時に過去の出来事を思い出して、拙い受け答えをしてはいけません。
例えば、履歴書や職務経歴書を書くときに、職歴の概要を記載するものです。
このとき、ただ概要を記載するのではなく、「このとき、○○という言語で△△のようなシステムを作ったのだよな~。そうそう、あのシステムのリリース時にトラブルがあったよ…」のように、過去を振り返ってください。
- どのような開発環境で仕事をしてきたのか?
- リーダー業務を任されてきたのか? どのようにマネジメントしてきたのか?
- どのように職場の生産性を高めてきたのか?
上記のように、面接官は「あなたが成果を上げる人間か?」を見極めようとしてきます。その質問に適切に答えられるよう、あらかじめ準備しておく必要があるのです。
3.自分のスキルを証明できるポートフォリオを用意しておく
自分のスキルを証明できるポートフォリオを用意しておくのも、退職前の準備として大切といえます。会社で作ったソフトウェアは会社の資産になるため、持ち帰って実績として使うことができないからです。
例えば、運用SEの仕事であれば、「ExcelVBAや自動化ツールを駆使して、システムの自動ログインや数値自動入力のプログラム」のようなものを作れば、面接が有利に進みます。
面接官に対して、「このようなソフトウェアを制作して、御社の業務も効率化できます」といい、成果物は後ほどメールで送付するなど、伝え方はいくらでもあるのです。
もちろん、面接時に口頭で説明するだけでも問題はありません。
しかし、他のライバルたちがやっていないからこそ、自分だけが抜きん出ることができます。
そう考えると、自分の実力を証明できるポートフォリオを作っておくのは、転職活動を成功させるのに必須です。
4.会社員のうちしかできないことをやっておく
会社を退職する前は、会社員のうちしかできないことをしておいてください。会社員としての就業年数が大切になる状況は存在します。
例えば、住宅を借りたり住宅ローンを組んだりするのは、会社員としての信用がないと難易度が上がるのです。
特に、「大企業→ベンチャー」のような転職を検討している場合、今まで持っていた信用を二度と持てない可能性があります。
同様にクレジットカードを作るのも、会社の就業年数が重要になるでしょう。
現在では年会費無料で使えるクレジットカードがたくさんあります。今は必要がなくても、5枚ぐらい作っておくことで、もしもの時に家計をやりくりできるのです。
また、半年~1年程度生活できるレベルの貯金をしておくことも重要になります。生活できるお金がないと、妥協して本当は行きたくない会社に入社するハメになるからです。
- 住宅ローンを組む or 賃貸契約を交わす
- クレジットカードを作る
- 半年~1年程度生活できるレベルの貯金をしておく
最低でも、上記の3点はおさえておいてください。
5.自分と相性の良い転職エージェントをあらかじめ見つけておく
自分と相性の良い転職エージェントをあらかじめ見つけておくのも、退職前に必要な準備といえます。一人で転職するのと専門家の意見を聞きながら転職するのでは、結果が大きく変わってくるからです。
ここで、まずは「転職エージェントとは何か?」を簡単に解説します。
転職エージェントとは、「人材を求める企業と仕事を求める求職者を上手にマッチングさせる企業」のことです。
従来の転職サイトや求人情報誌では、企業の本質を伝えきれずにミスマッチが発生していました。受かるはずのない企業を受けたり採用するはずのない人間を面接するのは無駄な努力です。
そこで、転職エージェントが正しく仲介することで、転職後にあなたと企業の両方が楽して満足できます。
転職エージェントは、あなたの要望を聞き出し、あなたのレベルにマッチした企業を紹介してくれるのです。
あなた・転職エージェント・企業の関係性を図にすると、以下のようになります。
転職エージェントは、あなたに仕事を紹介するだけでありません。
履歴書を添削したり模擬面接を実施したりして、あなたが企業からよく見えるように指導してくれます。これなら、話し方に自信がないエンジニアも安心です。
また、企業への条件交渉など、面接中にこちらから切り出すとイメージが悪くなる話についても、代行してくれる転職エージェントが多いです。
このように、転職エージェントを活用することで、転職を効率よく進められます。退職前の準備として、相性の良い転職エージェントと取引を開始する大切さを理解して頂けたのではないでしょうか?
では、「具体的に相性の良い転職エージェントをどのように見つければよいか?」について解説します。
結論として、複数の転職エージェントに登録するのが一番です。
転職エージェント毎に、紹介できる職種の幅や対応範囲が異なるため、1つのエージェントではカバーできないこともあるからです。また、いくらか優良転職エージェントでも、担当者次第では十分なサービスが受けられなくなってしまいます。
1つの転職エージェントを盲目的に信用するのではなく、常にセカンド・オピニオンにも耳を傾けることで、失敗しない転職が実現するのです。
まとめ
あなたが本気で転職を成功させたいと願うなら、退職前から勝負は始まっていると考えてください。特に、「会社員の信用が大切になる住宅ローンやクレジットカードの契約」は、退職前に済ませておかなければなりません。
退職後でも「ポートフォリオの作成」や「経歴の振り返り」は可能です。これらの作業は、転職エージェントと相談して、必要性があれば取り組むことを検討してください。
このように、退職前から準備を進めることで、心に余裕を持って転職活動を開始できます。その際、半年~1年程度生活できる貯金があれば、理想の会社を入念に探す時間を確保できるのです。