システムエンジニア(SE)が転職する際、転職理由は面接官から必ず問われます。前職に一つも不満がなければ、転職をする必要がないからです。
そのため、面接官は、「前職の問題点・あなたが希望するキャリアの方向性」などから、あなたの前職での働きぶりを推測するのです。
ここで、転職理由が適切でないと判断されると、たとえスキルレベルで問題がなくても落とされてしまう可能性があります。特にSEは、技術力が高いにも関わらず、会話が苦手なことも多いです。
ここで、上手な転職理由を伝えられないと、自分より意欲の低い人間にやりがいのある仕事を取られかねません。そこでこのページでは、「面接官に好印象を与える転職理由」を解説します。
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とにかく前向きな理由を心がけること
転職理由は、「履歴書の志望動機」と内容が重複しているものです。また、履歴書には転職理由の欄がないことも多々あります。
そのため、転職理由は文章に落とし込むものではなく、面接中に自然と受け答えするものだと解釈したほうが良いでしょう。
例えば、面接官は「転職理由を教えてください」というより、「前職では何か不満があったの?」と聞いてきたり「うちの会社では何がやりたいの?」などの質問をしてきます。
その質問に対して、自分の言葉で自然と返答することで面接官の印象を良くしていきましょう。
そこで大事なことは、「前向きな転職理由」を心がけることです。企業は給与以上の働きをあなたに求めるため、仕事に対して前向きに取り組む姿勢を示したほうが好印象を残せるためです。
そこを踏まえた上で、ここからは3つの転職理由の例を解説します。
- 専門性を活かしたいと伝える
- キャリアアップしたいと伝える
- 事業に関心があると伝える
これから順を追って解説させて頂きますので、本番の面接では自然に受け答えできるように意識しておいてください。
1.専門性を活かしたいと伝える
専門性を活かしたいことを伝えるのは、面接官の印象を良くする転職理由の一つです。あなたが転職先企業でも通用する専門性を持っていた場合、入社後すぐに給与以上の働きをする可能性が高いからです。
例えば、専門性を活かしたい人の転職理由は以下のようになります。
私は、現職(前職)で〇〇分野のSEとして数年間の開発経験を積んでいます。
さらに、業務時間外でも勉強会に参加したりソフトウェア開発に取り組んだりすることで、〇〇の分野で業界のトップクラスの技術力を有していると自負しています。 しかし、現在の職場では〇〇の技術を活用できる機会がありません。 そこで、〇〇の技術を高く評価して開発に利用している御社で力を発揮することで、貴社の利益に貢献して技術力の高いSEとして生きていきたいと考えています。 |
上記のように、現職(前職)では自分の実力が最大限発揮できないことを説明して、転職先で高い専門性を発揮したいと伝えることができれば、面接官の印象を良くすることができます。
また、その際は口頭で専門性を伝えるだけではなく、あなたの高い技術力を証明できる成果物などを同時に提出できれば、なお良いでしょう。
2.キャリアアップしたいと伝える
キャリアアップしたいことを伝えるのも、面接官に好印象を与えます。最近では、ワークライフバランスの重要性が叫ばれたり出世意欲のない若者が問題視されたりしているため、向上心を持って仕事に取り組む人材は貴重だからです。
例えば、キャリアアップしたい人の転職理由は以下のようになります。
私は前職では、開発系SEとしてキャリアを積んでいました。プログラミングから開始して、今では基本設計のフェーズから携われるほどSEとして成長しています。
また、部下や後輩を指導してチーム全体で成果を上げることに楽しさを見出しています。 しかし、現在の会社は大手企業の下請けのため、今以上の上流工程で仕事ができるポストが用意できません。 そこで、マネージャー職の転職を決意し、御社を応募させて頂きました。 |
上記では未経験であるマネージャー職に応募するという前提で、転職理由を考えています。
この場合も、口だけではなく「社会人サークルでリーダーを経験する」や「情報処理技術者試験のプロジェクトマネージャ試験に合格する」など、業務以外で行動を起こしていると、転職理由に説得力を持たせることができます。
3.事業に関心があると伝える
事業に関心があると伝えるのも良いでしょう。その事業に自分の力を捧げたいという思いが伝われば、面接官や事業担当者の心にも響くのです。
ただし、「CMで放送されているから」のようなミーハーな伝え方だと悪い印象を与えてしまう可能性があるため、注意してください。
例えば、事業に関心があると伝える人の転職理由は以下のようになります。
現在、SI業界で顧客の要望に沿ったソフトウェアを開発しています。
顧客にとって本当に必要な機能を実装したソフトウェアを提案するのが理想なのですが、現実には顧客の御用聞きのように仕事をしてしまい、本当に顧客の利益を考えた開発ができないのが現状です。 そこで、Web業界で独自サービスを展開している御社に転職したいと考えています。 本当に顧客の利便性のことを考えないとライバルサービスに簡単に乗り換えられてしまうような御社のサービスに携わることで、自分の技術力や向上心を意義のあるサービスに費やしたいと思います。 |
このような意義のある転職理由であれば、面接官や事業担当者も納得してくれるのです。
面接官に悪い印象を与えてしまう転職理由
面接官に悪い印象を与えてしまう転職理由もあります。前向きな転職理由を心がけていれば避けられることも多いですが、雑談のように面接している場合、ふと口を滑らせてしまうことがあるのです。
また、話を聞き出すのが上手な面接官であれば、応募者が本音を出しやすい雰囲気を出すことで、本当の転職理由を探ってくることもあり得ます。
ここでうっかり悪い印象を与えないように、これから転職理由のNG例を解説します。
「給与が高いから」は危険 別の言葉に置き換えること
「給与が高いから」という転職理由を面接官に伝えるのは危険です。
お金が大事なのは理解できますが、給与が高いというのは「給与に見合う責任の重い仕事に就く」ということです。つまり、いくらスキルが高くても、高い給与につられてくるような人材は、会社が傾いたときに転職してしまいかねないと判断される可能性もあるのです。
そのため、給与が高いからという理由は、以下のように言い換えると良いでしょう。
私は、SEとして長年キャリアを磨いてきました。以前勤務していた会社では、必ず報酬以上の価値を会社に与えるために、ITスキルや顧客との折衝スキルを磨いてきました。
しかし、前職の給与体系上、自分がSEとして発揮できる実力に見合った給与を頂くことが難しい状況になってきました。 そこで、御社で責任の重いマネージャー職に転職することで自分の力を最大限して、人材を大切にする御社の利益に貢献するつもりです。 |
このように、「自分を大切にしてくれる会社に利益をもたらすための転職」だと置き換えることで、面接官に好印象を与えることができます。
前職のことを悪く言わないこと
前職の悪口は避けるようにしてください。「言われなくても分かっている」とあなたは思うかもしれません。
しかし、面接官も面接のプロです。「前職では大変な思いをしてきたんですね」のように、あなたに寄り添う形で雑談されると、つい「そうなんですよ! 前職では〇〇というところが最悪で…」と会話を展開してしまいがちです。
特に、ここで人間関係のトラブルなどを吐露してしまうと、面接官に危険視されてしまいます。よほど企業としてレベルの低い現場ではない限り、社会人はあまり角が立つ人間関係を好まないからです。
- 上司に嫌われて責任のある仕事を任せてもらえなかった
- 同僚に嫌われて足を引っ張られた
このような会話も、転職者は「自分が被害者だ」という立場で話すものです。
ただ、面接官はそういった転職者を冷めた目で見てしまいがちです。
- 責任のある仕事を任せてもらえなかったのは、普段から信用を失うことをやっていたからでは?
- どのような会社にも人間関係の相性があるものだが、多数から嫌われるのには理由があるに違いない!
このように考えられてしまうのが一般的です。ようは、面接官からは「前職で問題を起こしていた場合、転職者が反省していないと、自社で同じ問題を起こす」と捉えられるのです。
不満レベルの前職の悪口を言ってしまっただけでも、問題を起こすタイプの人材かもしれないと疑われるため、とっさの悪口には十分注意してください。
人間関係では、20-60-20の法則を意識すること
仮に、あなたが転職を検討している本当の理由が、人間関係が原因のトラブルだったとします。そのとき、自分では自分の問題点が分かりづらいものです。
ここで、まずは自分を客観視するために、「20-60-20の法則」を意識してください。これは、どんな時でも自分の味方をしてくれる人が20%・周囲の状況を察知してどちらの味方になるのを決める人が60%・いかなる時でも自分の敵になる人が20%という法則です。
どのような職場にも、相性の合わない人はいるものです。たとえ数人に嫌われても、深刻になる必要はありません。
しかし、会社の80%以上の人から嫌われたり総スカンを食らったりしているなら、自分に何か問題点があると考えるべきです。
このような時でも自分の味方をしてくれる優しい人はいるものです。
ただ、多数派から嫌われる人には何かしらの問題点があるため、一度自分の普段の行動を省みる必要があります。
仮に、前職にいられないほど人間関係にトラブルを抱えたまま退職したなら、転職を成功させる前に自分の問題点を解決することを優先してください。
そうでなければ、次の転職先でも同じ過ちを繰り返してしまうでしょう。
まとめ
転職理由は基本的にネガティブなものではなくポジティブな理由を探すべきです。また、普段あなたが抱いているネガティブな感情は、とっさの場面で出てしまいます。
本音を引き出す面接官と出会っても、社会人としてスマートな応対ができるように、「面接前から明るい未来のことを考える」などの取り組みで、気持ち良い感情で面接に臨んでください。
また、前職に不満を抱えていた場合、あなた自身が問題を抱えている可能性もあります。一度、自分の普段の行動を振り返って、周囲から求められる立ち居振る舞いを意識してください。
あなたの面接官に対する印象を良くしてくれる転職エージェント
あなたの印象を良く見せたいなら、転職エージェントに模擬面接を依頼するのが一番です。転職エージェントは仕事を紹介してくれるだけでなく、履歴書の添削から面接の指導までを行ってくれます。
これら全てのサービスを無料で提供してくれるのですから、使わない手はないでしょう。
ここからは、模擬面接を実施してくれる転職エージェントを紹介します。
・マイナビエージェント×IT
業界トップクラスの求人を抱えているのが「マイナビエージェント×IT」。また、首都圏だけでなく全国に対応していることも、大手ならではの魅力です。
取り扱っているIT業界の職種が、以下のように大量にあるところも大手企業ならではです。
- プロジェクトマネージャー・プロジェクトリーダー(WEB、オープン、汎用、制御・組込)
- システムエンジニア(WEB、オープン、汎用、制御・組込)
- プログラマー(WEB、オープン、汎用、制御・組込)
- 社内SE
- ネットワークエンジニア
- サーバーエンジニア
- セキュリティエンジニア
- データベースエンジニア
- システムコンサルタント(業務系、テクニカル系)
- パッケージ導入コンサルタント(ERP、CRM、SCM等)
対象年齢 | エリア | 未経験 |
20~30代 | 全国(首都圏・関西圏多数) | 〇 |
・レバテックキャリア
レバテックキャリアは、IT業界経験者であれば、高年齢でも受け入れてくれます。現場PMと対等に話ができるキャリアコンサルタントが在籍しているのも特徴的です。
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対象年齢 | エリア | 未経験 |
20代~49歳 | 首都圏・関西圏・九州圏 | × |