システムエンジニア(SE)の世界では、うつ病を発症する人が多いです。
IT業界の悪習である長時間労働はもちろん、コンピュータから受ける電磁波の影響まで、さまざまな要因がうつ病とつながっているからです。
あなたの現在の職場がうつ病を誘発する環境だった場合、そこから急いで抜け出さなければなりません。
うつ病になってから治療を開始しても、風邪のように明確に完治することが難しく、仕事以外のプライベートな時間にも悪影響を及ぼすからです。
そのため、完璧にうつ病を完治させるためにも、転職をしてあなた自身の力で身を守る必要があると考えてください。
このページでは、「SEにうつ病が多い3つの理由」と「うつ病から身を守る転職法」を解説します。
Contents
SEにうつ病が多い3つの理由
SEがうつ病になる理由には、共通点があります。具体的には、以下の3つの理由があります。
- 厳しい納期とシステムが完成するかどうかの不安があるから
- 一日中コンピュータと向き合うから
- 学習範囲が広い上に、技術がすぐに陳腐化(ちんぷか)するから
どこの職場にも起こりうる問題点を、頭の片隅に置いておくことが大切です。
これができるからこそ、あなた自身がそのような状況におかれたときに、そこから上手く逃げ出すことができるのです。
ただし、無理に職場を変えようとしてはいけません。過酷な状況を受け入れる必要もありません。
マトモな会社に転職するのが最善策です。
まずは、先にあげたSEがうつ病になる3つの理由について、順を追って解説します。
理由1:厳しい納期とシステムが完成するかどうかの不安があるから
開発系SEの仕事は、通常納期が設定されています。一般的には、納期前に少し残業が続く程度のものです。
しかし、うつ病になる人が出る現場では、納期前に「必ず」といっていいほど、プロジェクトが炎上しています。
そのプロジェクトの納期に無理やり間に合わせるために、長時間残業や徹夜が発生します。すると、体調に異変をきたすのです。
また、このような会社は教育に時間を割けないことが多いです。そのため、SEは常に現場でスキルを覚えながら開発を行います。
OJT(オンザジョブトレーニング:実務での訓練のこと)といえば聞こえはいいですが、単なる行き当たりばったりの開発であることがほとんどになります。
これは、SEにとって物凄くプレッシャーです。
「自分がこれから覚える未知のスキルを使ってシステムを完成させよ」といわれているようなものだからです。
僕の経験上、そのような心理状態になったときも、最終的にはシステムは完成します。
ただ、心理的な負荷が高いため、うつ病の原因となっていることは間違いありません。
理由2:一日中コンピュータと向き合うから
一日中コンピュータと向き合っていることも、うつ病の原因だといわれています。コンピュータから発せられるブルーライトに興奮作用があり、自律神経を乱すからです。
これが長時間続くことにより、うつ病への影響があると考えられています。
現在では、ブルーライトをカットするフィルムやメガネが販売されています。
コンピュータの悪影響に晒されないように、それらの機器を活用したり、定期的に外の空気を吸ったりして、リラックスして作業してください。
(室内にいることが多くなってから、暇を見つけては散歩するようになった管理人ヤマダ)
理由3:学習範囲が広いうえに、技術がすぐに陳腐化するから
(キャリア向上を主軸としてスキルを磨かないと、大抵時間切れになる)
SEの仕事は、学習範囲が広いです。
特に開発系SEの場合、開発スキルだけでも、以下のように多くのスキルを身につけることが必須になります。
- 複数の開発言語・開発環境の習得
- 複数のDB言語・DB開発環境の習得
- プロジェクト特有の開発フレームワークの習得
これ以外にも、開発環境のアップデートや別プロジェクトへの移動によって、新たに覚えなければならない開発スキルが常に発生します。
SEを始めた当初は、作業自体が楽しいと思うことがあります。
しかし、長年SEを続けるうちに、徐々に新しい開発スキルを覚えるのが億劫になりがちです。年齢を重ねると、家庭を築くことが一般的なため、貴重なプライベートを削って開発スキルを磨き続けるのが困難になるのです。
つまり、本当に開発が好きでなければ、開発者は続けられないということです。
開発が好きではなくなったにもかかわらず、嫌々開発スキルを習得する状況が続くと、うつ病の原因となるでしょう。
開発が嫌になったら、積極的にマネジメントスキルやコミュニケーションスキルを磨くこと
経験の浅いSEの中には、開発スキルを重要視して、その他のマネジメントスキルやコミュニケーションスキルを軽視する人がいます。
しかし、これは間違いです。
顧客が本当に求めているものをヒアリングするコミュニケーションスキルや、部下の行動を引き出すマネジメントスキルは、SEとしてステップアップしていく中で、重要度が増していきます。
(教え方もスキルです。ITスキル以外を軽視していませんか?)
そして、マネジメントスキルやコミュニケーションスキルは、一度身につけると開発スキルのように陳腐化しにくいです。時代・業種・会社を問わず、必要になるスキルだからです。
マネジメントやコミュニケーションもスキルのひとつと捉えれば、たとえ技術の最先端についていけなくても、SEとして生き延びることができるのです。
開発が嫌になってきた場合、これらの能力を積極的に磨いてください。仮にSEを辞めることがあっても、次の職場でこれらのスキルは必ず役に立つでしょう。
うつ病かも? と思ったら確認したい2つのポイント
うつ病になってから対策を行うのは間違いです。
うつ病は一度かかってしまうと、健全な状態まで完治するのが難しいといわれています。「うつ病にかかりやすい状態」までしか戻らないため、とにかくうつ病にかかる前に、危険な環境から抜け出す必要があるのです。
そして、うつ病を発症した人間には、大きく分けて以下の2パターンの症状が現れます。
- 身体的変化
- 精神的変化
順を追って解説させていただきます。
身体的変化の場合
うつ病の兆候は、身体的変化となって現れます。
例えば、以下のような症状が続いたときは、偶然だと思わずにうつ病を疑ってください。
- 定期的に頭痛がする
- 寝不足なのに、夜寝られない
- 身体全体に、どんよりとした気だるさがある
- 吐き気がする
こういった身体的な変化は、うつ病の兆候です。
ある程度大きな企業の会社員であれば、一年に一度、健康診断を受けているはずです。そこでの検査結果に問題がないなら、うつ病の可能性に気をつけなければなりません。
精神的変化の場合
うつ病の兆候は、精神的な変化としても現れます。他の病気と混同してしまわない分、身体的な変化よりわかりやすいです。
例えば、以下のような症状が続いたときは、うつ病の可能性があります。
- 今まで楽しかったことも楽しくなくなる
- 無性にイライラする、謎の焦燥感にかられる
- 思考が自分を責めるほうに向かってしまう
- 死にたいと感じることが増える
- 元々活発な性格だったのに、最近はやる気が出ない
こういった精神的な変化がみられた場合、うつ病を疑ってください。
「社会人になったから学生時代のように楽しくは生きられない」と考えてはいけません。社会人になってからも、人生を楽しんでいる人たちは大勢いるのです。
健全なときから、うつ病を予防すること
うつ病にならない秘訣は、健康なときから、うつ病にならないように対策することです。
「自分にはうつ病は関係ない」と考えてはいけません。世の中のうつ病患者のほとんどは、「自分はうつ病にならない」と思いこんでいた人だからです。
しかし、うつ病は誰にでもなりうる病気であることを忘れてはいけません。
そこで、あなたがうつ病にならないためには、普段から多くのことに気をつける必要があります。
その中でも最も重要なのは、「業務量の余裕だけではなく、精神的余裕を意識して仕事を引き受けること」です。
例えば、自分より仕事のできる人がいれば、「あの人より仕事の少ない自分は、もっと仕事をしなければ」と考えてしまいがちです。
しかし、この考え方は危険です。
仮に時間的な余力があっても、精神的に弱っているときに過度な負担を抱え込んでしまうと、うつ病の引き金になります。
より多くの業務をこなすことだけが、会社のためではありません。
職場が原因でうつ病にならないように立ち回るのも、長期的には会社のためだと考えてください。
管理人ヤマダ。二度とうつ病にならない宣言!
管理人ヤマダは、元々メンタルがあまり強いほうではありません。
何を隠そう、僕はコンピュータの専門学校に通っている頃、うつ病になってしまった経験があるほどです。(自慢にはならない…)
学生時代にうつ病になったからこそ、社会人になってからは「うつ病になる前に予防する」という考え方が定着しました。残業が大量に発生する現場からは最初から近付かず、間違えてクソ現場に入ったら全力で逃げて、ここまで生き延びてきたのです。
- 運動不足なら自宅でダンベルを上げるヤマダ
- 友人と飲み会でおちゃらけてみるヤマダ
- 庭でキノコ栽培を始めてみたヤマダ
普段から心身ともに充実させていたら、うつ病の予防になります。万が一それでもメンタルをえぐってくる職場なら、さっさと転職してください。
うつ病から身を守る転職・再就職
現在の職場がうつ病を誘発する職場なら、うつ病から身を守るために転職をしなければなりません。職場環境は、あなただけの力では、変えることができないからです。
ここで重要なのは「前職と同じパターンにはまらないように注意すること」です。そのために、自分が何にストレスを感じているかを見極めてください。
例えば、以下のような場合です。
- 高圧的な上司がストレス
- 長時間労働がストレス
- 意欲の低い集団がストレス
このように、何にストレスを感じるかは人それぞれです。
例えば管理人ヤマダは、クソ現場の高圧的リーダーによるストレスで、円形脱毛症になってしまった経験があります。
この時は、うつ病にならないよう、全力で転職活動をしました。わずか数カ月で無事脱出出来て、ホワイト企業に入社できたので、さっさと逃げ出して本当に良かったです!
このように、自分がストレスを感じやすい環境から抜け出すことによって、健全な生活を手に入れてください。
ブラック企業を面接で見抜く方法
うつ病にならないためには、面接で職場環境を見抜く必要があります。
仮に、あなたが長時間労働を避けたいとします。
そこで、「長時間労働はありますか?」と正直に聞いても、面接官は正直に答えない可能性があります。ブラックな環境だとバレたら、人材を確保することが難しいからです。
そこで僕なら、「現在、人生の中で仕事を頑張っていきたい時期なので、残業も対応可能です。どのくらいの仕事を任せてもらえそうですか?」と聞きます。
仕事を頑張りたいことや、残業が対応可能だということも、別に嘘ではありません。ただ、行き過ぎた長時間労働が嫌なだけなのです。
そこで、面接官に「この人は長時間労働を嫌がっていない」と思わせることで、会社の現状を上手く引き出すのです。
企業側に後ろめたいところがあると、面接官はそのことを隠そうとします。そこで、「この相手にとっては後ろめたくない」と思わせることで、本音を暴露させてください。
うつ病になってしまった場合の転職・再就職
仮にうつ病にかかってしまっていた場合は、転職して良いのかどうか難しいところです。特に、現在うつ病にかかっていることを公言して、面接に通るとは思いません。
ここからは、判断が分かれます。
しかし、僕は「うつ病が完治するまでは転職・再就職はしてはいけない」という意見です。
理由は2つあります。
1つ目の理由は、うつ病が悪化してしまう可能性があるということです。
うつ病のときは、本来の自分の実力が発揮できないため、上司や同僚から余計なプレッシャーがかかります。すると、治りかけのうつ病が悪化する可能性が高まります。
2つ目の理由は、企業に迷惑がかかるからです。
苦しんでいるあなたを応援したい気持ちはやまやまです。
しかし、どこの企業も楽に経営しているわけではありません。
給与以上の成果を上げられない労働者に入社されても、企業は困るだけです。
それでも、生活のために働かなければならないことはあります。その場合、現状を医者に相談し、医者の判断に従ってください。
過去のうつ病歴は隠してもよい?
うつ病になってしまった人材を歓迎する会社は少ないです。一度うつ病にかかると、再度うつ病になってしまう可能性があると判断されるためです。
こういった状況下においては、過去のうつ病歴を隠したくなります。
しかし、これは企業を騙していることになるので、おすすめしません。
そこで、履歴書の空白期間を指摘されたときは「体調を壊していた」と伝えることを推奨します。これなら嘘にならないからです。
「一時的に体調を崩していたのですが、今は完治し、数ヶ月前から社会復帰のために○○のスキルを身につけています」のように伝えて、面接官をうまく別に会話に誘導するのも良いでしょう。
それでも、体調を崩していたところを深堀されるなら、そのときはうつ病にかかっていたことを正直に伝えてください。
しかし、すべての面接官がうつ病に理解を示しているわけではありません。
そこで、うつ病を伝えなければならなかった場合、面接中に以下の2点を合わせて伝えるようにしてください。
- うつ病は完治している
- うつ病は、最新の医療では脳の病気であるといわれていて、うつ病患者が精神的に弱く見えるのも、脳の不調が原因。ゆえに、精神的に弱いわけではない
ようは、「うつ病は完治しているので業務に悪影響を与えないこと」と、「再びうつ病を発症する可能性が低いこと」を示すことによって、採用される確率を高める作戦です。
現在では、企業内でうつ病が発生した場合、丁寧にケアを行う企業は増えています。
しかし、「現在うつ病の人」や「うつ病になりやすそうな人」を積極的に採用する企業はありません。企業は営利組織なので、給与に見合った働きをする人材が求められるからです。
うつ病になった人は企業にとって扱い辛い存在です。
社会復帰のためには、あなたが企業にとって扱いやすい存在だということを示す必要があるのです。
あなたの働いている現場がブラック現場かどうかを知りたいなら以下の記事も参考にしてください。
うつ現場から抜け出したいなら転職エージェントの活用がベスト
人をうつ病にしてしまう現場で働いているなら、転職エージェントの活用がベストです。
うつ病が多い現場では、大抵業務がひっ迫しています。業務のすき間に一人で転職活動するのは負担が重いのです。
転職エージェントは、企業との面談日程の調整や給与交渉まで、多くの負担を代行してくれます。また、あなたに最適な企業を見極めた上で仕事の紹介をしてくれるため、面接回数も少なくなる傾向があります。
ここからは、「忙しい現場にいても、無理なく転職活動できる」という観点から、転職エージェントを紹介します。
・レバテックキャリア
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