日本では、高校や大学の専攻によって、「文系」と「理系」に分けられます。ITエンジニアは、数学などを活用するイメージが強く、理系の仕事だと思っている人が多いです。
しかし、ITエンジニアの求人をみてみると、文系理系を問わず、幅広く人材を募集しています。
文系だからといって、ITエンジニアを諦める必要はないのです。文系と理系の違いを知った上で、戦略的にスキルを磨けば、文系でもITエンジニアとしてやっていけます。
せっかくITエンジニアとしての適性があり高い年収を目指せる力を持つあなたが、文系だからという理由で諦めてしまうのは、人生の損失になるでしょう。
そこでこのページでは、「文系からITエンジニアになるために、理系の素養が必要か?」「文系でもチャレンジできるIT職種」など、文系ITエンジニアにまつわる様々な話をしていきます。
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中学レベルの数学力があれば、ITスキルを身に付けられる
結論からいうと、中学レベルの数学力があれば、多くのITスキルを身に付けられます。現場にもよりますが、一般的なアプリケーション(商品の販売サイト・データベースを使った在庫管理システムなど)を作るのに、高度な数学は必要ないからです。
例えば、管理人ヤマダが身をおいている物流業界で、高校で習うような微分や積分は全く必要ありません。
他にも、金融系システム・社内システムなど、多くのシステムを開発する際に、数学の知識をフル活用する機会は多くないでしょう。
むしろ、これらのシステムを作るためには、業務知識を覚えていることが必須になります。
例えば、レジのシステムを開発しているのに、現金以外の決済方法を知らないのではお話になりません。以下の求人からもわかるように、プログラミング言語の種類は問われなくても、業務知識を歓迎する仕事は数多くあります。
現場の肌感覚でいえば、ITスキル3割、業務知識7割ぐらいのイメージです。特に、経験を重ねる毎にプログラムを組む機会が減り、マネジメント側に回っていきます。
そこでは、マネジメントスキルやコミュニケーション能力が求められるため、相対的にITスキルの重要度が下がるのです。
ITエンジニアに必要なスキルの詳細を知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
このように、理科系の大学で習うような数学や物理の知識をカバーしていなくても、ITエンジニアの仕事が成り立つといえます。
プログラミングに関しては、やってみないと適性が分からないとしか言いようがない
ITエンジニアの花形である「プログラミング」に関しては、やってみないと適性が分からないとしか言いようがありません。当サイトの管理人ヤマダも、学生時代はクラスで上位のスキルでしたが、社会に出たら自分より凄い人だらけで驚愕した思い出があります。
本当に自分がプログラミングの適性があるかどうかなど、社会に出て仕事をしてみないと判断しようがないでしょう。
まずは独学でプログラミングを始めてみて、「楽しい!」と思えるようであれば、一応の適性があるとみて良いのではと、個人的には思っています。
例えば、あなたがWindowsを使っている場合、以下のような電卓ソフトウェアが搭載されているはずです。
この電卓と同じ機能を持つ電卓ソフトウェアを作ってみるなど、簡単なソフトウェアを自分で制作してみて楽しいかどうかを見極めるのです。
(ちなみに、全くプログラミングを経験したことがないなら、VisualBasicをおすすめします。Excelのマクロで使用するBasicに似た言語だからです。)
ソフトウェアの開発ツールは、現在では無料で公開されています。プログラミングに向いているか疑問に思うなら、今すぐプログラミングを始めてみてください。
向いてなかったら、インフラエンジニアや運用SEの道もある
仮に、どうしてもプログラミングが向いていなかったり仕事でやるのが嫌になったりした場合も、心配する必要はありません。IT業界には、開発者以外にも多くの職種が存在するからです。
例えば、当サイトの管理人ヤマダは、開発者として並みのエンジニアにしかなれないと悟った後、運用SEという職種に転身しました。
運用SEの世界では、Excelのマクロなどで簡単な便利ツールを作れるだけで、業務効率を高められる世界です。また、「ひとつの作業を手順通りに正確にこなせる」という僕の特性を最大限生かせる仕事でした。
最終的には、運用SEとしてフリーランスエンジニアになれたことからも、運用SEとして平均以上のパフォーマンスを発揮していることは理解して頂けるのではないかと思います。
例えば以下の求人が示すように、少しでも開発経験があるだけで、運用SEや社内SEの現場で重宝されるのです。
ほかにも、インフラエンジニアという仕事であれば、ほぼプログラミングを使わずに仕事ができます。
インフラエンジニアは、文字通りIT業界のインフラ部分を支えるITエンジニアです。顧客のデータが格納されるサーバを設定したり、大学の授業管理システムを構築するなど、ITサービスを円滑に動かすためのインフラを整えます。
インフラエンジニアの仕事は、ひとつの現場で培ったスキルが別の現場でも通用しやすく、開発者以上に転職市場で通用しやすい特徴があるのです。
業務知識よりも、インフラエンジニアとして学ぶ「サーバの仮想化」などのITスキルが重要視されるともいえます。
このように、IT業界は仕事の幅が広く、プログラミングが苦手なぐらいで一喜一憂するのは間違いです。ITに興味があるなら、必ずあなたに向いている職種が見つかります。
IT業界の主要な職種を知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
情報処理技術者試験の「基本情報技術者」の内容が理解できるか? が適性のポイント
もし、自分がIT業界の仕事に適性があるか気になるなら、情報処理推進機構が主催している「基本情報技術者試験」の内容を理解できるかがポイントになります。
この資格は、新入社員~実務経験数年までの時期に会社からの指示で取得させられることが多い資格です。
実際に合格を目指すのも自由ですが、資格取得に数年もかけていては、それだけ年齢も高くなります。すると、未経験からIT業界に挑戦できるチャンスは減るかもしれません。
あくまで、テキストの一つでも購入してみて、「書かれていることを勉強して理解できるか?」を確認してください。
ここで、躓きながらでも理解できるなら、必ずIT業界でも活躍できます。
ちなみに、未経験からIT系企業に入社するとき、面接官に好印象を与える順番は以下の通りです。
- プログラミングを経験して、何かを作った経験がある(実力の証明)
- 基本情報技術者試験に合格していたり、高学歴だったりする(ポテンシャルの証明)
- やる気だけある
企業は営利組織ですから、「給与以上の働きをする」という実力を証明できるのが一番面接に突破しやすいです。
しかし、未経験では実力を示すのが難しいのも事実でしょう。
そこで大切なのは、「コイツを鍛えたら、会社に利益を与えてくれる」というポテンシャルの証明です。そこで、未経験なら資格が役立ちます。
一方、あまり良くないアピールは、「やる気だけ」の人です。やる気を行動に変換してスキルの一つでも身に付けていないと、口だけの人になってしまいます。
文系で未経験からIT企業に入社したいなら、「基本情報技術者試験レベルの内容を理解できるか?」を一つの基準にしてください。
場合によっては、半年~1年程度かけて、合格を目指してみるのもありでしょう。
文系が理系より優れているポイント
はじめに、「社会に出て数年経ったら、文系も理系も関係なくなる」ということを理解してください。大学や専門学校で学ぶのは2~4年程度の話ですが、社会に出たら40年以上働くことになるからです。
IT業界で働いて数年も経てば、必ず専門性は身に付きます。
文系と理系の違いなど、気にならなくなるのです。
その上で、新卒の文系が理系の人たちより優れているポイントは、「コミュニケーション能力」に尽きます。
情報系の学校にいる人たちはオタクの割合が高く、サークルや恋愛よりもネットに接する時間が長いことが多いです。技術力がある一方、コミュニケーションが苦手な人も割合が高いです。(当サイト管理人ヤマダの実体験)
SEはシステムの開発だけをやるのではなく、顧客と折衝したりチームで協力したりすることもあるため、文系の人たちが培っているコミュニケーション能力や社会性は、大きな武器になります。
つまり、文系からITエンジニアになりたいなら、以下を意識しておけば良いでしょう。
- 入社してから数年間は、技術力や理系の基礎教養を身につけるのに苦労する
- 入社してから数年たち、顧客と調整業務を行ったり後輩を指導したりするようになれば優位性を発揮できる
最初は技術力が劣っていることに引け目を感じがちですが、技術力以外が重要になってくる状況が増えるにつれて、学生時代に培った強みを生かせる場面も増えていくのです。
組み込み系の電気回路やゲーム系の数学など、理系の知識をバリバリ使う現場では苦労するかも
ここまでの説明で、文系からでもITエンジニアを目指せるということが理解できました。
ただし、理系の知識をバリバリ使うITエンジニアになりたいなら、相当苦労することになります。
例えば、ゲーム開発の場合、数学や物理学の知識をフル活用する状況がでてきます。ほかにも、組み込み系(ロボットや家電を制御するプログラミング)の現場では、電気回路の知識を勉強することになるでしょう。
このような分野で文系ITエンジニアが活躍しようと思ったら、業務系ITエンジニアより多くの学習時間を必要とします。
自分がその業界で働く意義がないのであれば、避けたほうが無難です。
反対に、それらの業界以外で働きたいのであれば、理系の知識を使う状況が少ないのがIT業界です。ITエンジニアの数が少なすぎるが故に、学歴不問として文系理系の違いなど気にしない企業さえ増えています。
例えば、以下の求人であれば、学歴不問かつ高年収を実現しています。
このように、文系からITエンジニアになるチャンスはいくらでもあります。
10年後・20年後にスキルを身につけた状態で高年収で働くのか、それとも失業の不安に怯えながら会社にしがみつくのか、あなたの中で答えは出ているはずです。