システムエンジニア(SE)は、給料が高い・潰しがきくから転職しやすい・技術があれば学歴が問われないなど、多くのメリットがある職業です。
ITエンジニアの人手不足もあり、魅力的な仕事であることはいうまでもありません。
しかし、一方で「メンタルを病みやすい職業」ともいわれています。
なぜ、SEという職業に限って、心のバランスを崩してしまう人が多いのでしょうか? それを知らなければ、せっかく身につけたITスキルなども、全部無駄になってしまうでしょう。
そこでこのページでは、「SEがメンタルを壊しやすい3つの理由と末永く健康的に働く方法」について解説します。
Contents
SEがメンタルを病んでしまう理由
まずは、SEがメンタルを病んでしまう理由から解説していきます。
結論からいうと、以下の3つが、SEがメンタルを壊してしまう大きな要因です。
- 長時間労働・突然のトラブルや無理な納期でメンタルを病む
- 覚える技術が多すぎて病む
- 一日中コンピュータの前に座っているとなぜかメンタルを病む
それぞれ、順を追って解説させて頂きます。
1.長時間労働・突然のトラブルや無理な納期でメンタルを病む
長時間労働・突然のトラブルや無理な納期は、SEがメンタルを壊す典型的なパターンです。過酷な労働環境に無理して適応すると、いつかは人生の破綻がやってきます。
残業時間を例に取ると、月80時間以上の残業は、過労死ラインとして設定されています。
しかし、 IT業界では、80時間をゆうに上回るほど残業しなければならない現場があるものです。
残業が常態化していない現場でも、納期直前のプロジェクトなどでは、どうしても大量の残業が発生します。
また、システムのリリース直後も、トラブルの対処法が確立されておらず、急に仕事が増えるものです。このような状況で長期的に働くと、SEはメンタルを壊してしまいます。
2.覚える技術が多すぎて病む
覚える技術が多すぎるのも、SEがメンタルを壊してしまう要因です。業務だけで技術を覚えられないなら、プライベートを犠牲にするしかないからです。
例えば、開発の現場一つとっても、プログラミング言語・データベースやSQL・テスト・設計など、覚えることが多岐に渡ります。
それに加えて、情報処理技術者試験や業務知識など、技術以外の知識も抑えておかなければなりません。
また、技術は枯れていくものですから、新しい技術を覚えていかないと、エンジニアとしては取り残されてしまうでしょう。
このとき、真面目にIT業界のすべてをキャッチアップしようとしても、情報過多でパンクするだけです。そして、パンクの先にはメンタルの崩壊が待っています。
IT業界で生き残るコツ
10年間IT業界で生き抜いた僕の経験からいうと、すべての技術を抑えるのではなく、「あなただけの独自性」を高めるほうが、IT業界で無理なく生き残れます。
例えば、プロジェクト内で、他チームと折衝したがるSEは多くありません。そこで、技術を極めるのは他人に任せて、調整業務ができるSEを目指すと、技術的には平凡でも独自の価値を出します。
「僕をチーム内に入れてくれたら、面倒くさい調整業務は全部僕に任せられて、あなたは開発に集中できますよ!」
上記のようなメッセージを発信するかのような生き方をすれば、あなたを欲しがる会社が見つかるのです。
3.一日中コンピュータの前に座っているとなぜかメンタルを病む
一日中コンピュータの前に座ってメンタルを壊してしまうのも、SEにありがちなパターンです。室内でこもりきりになると、気分が鬱屈してきます。
IT業界でメンタルを壊す人が多い理由として、「コンピュータから出る電磁波・運動不足」など、多くの説がささやかれているのが現状です。
複数の要因が複雑に絡み合っていることも、SEが気がつかないうちにメンタルを壊してしまう理由でしょう。
頻繁に外の空気を吸おう
僕がSEとして働く中で心がけていることに、「定期的に外の空気を吸いに行く」というライフハックがあります。コンピュータの前に居続けると、目が疲れて肩がこり運動不足になって、メンタルが不調になるからです。
例えば、昼休みに意味もなく外を出歩くだけでも、外の空気を据えて体を動かすことになります。
遠い風景を眺めると、目にも優しいです。
こうして、出来ることを実践することが、メンタルを壊さずに仕事をする秘訣といえます。
SEが末永く健康で働くための対策
ここまでは、SEがメンタルを病んでしまう理由について解説してきました。
次に、SEが末永く健康で働くための対策についてお伝えします。具体的には、以下の対策を取ることで、SEは病まずにいられます。
- コンサマトリー(自己充足的)な趣味を持つ
- 運動して脳内物質を出す
末永く健康で居続けるために、主体的な行動を取ってください。
1.コンサマトリー(自己充足的)な趣味を持つ
コンサマトリー(自己充足的)な趣味を持つのは、SEが末永く健康でいるための対策になります。ちなみにコンサマトリーとは、明日のために努力する生き方とは反対の、今を楽しむ姿勢のことです。
より分かりやすく解説すると、「ゴルフが楽しいからゴルフをプレイする」のがコンサマトリーといえます。
(反対に、仕事で有利になるからという「明日のための努力」としてゴルフをプレイするのは、インスツルメンタルといいます。参考までに…。)
なぜ、僕が「コンサマトリーな趣味を持て」という小難しい言い方をしたか?
結論をいうと、僕が見てきたSEには真面目な人が多く、「社会人サークルで幹事をすれば、会社でリーダーになりやすいかも…」のように、プライベートにまで仕事を持ち込む人が多かったからです。
これは、一見すると素晴らしい生き方に見えますが、実際には人生のどこかで行き詰まります。IT業界の変化が激しいからといって、仕事のことばかり考えていては、精神を病むのです。
休みの日はスキルアップのことなど考えず、好きな遊びに興じる余裕が大切です。働くために生きるだけでは、人間は健康な状態を保てません。
ちなみに、仕事で必要なスキルアップは、素直に職場で身に付けるのが良いでしょう。
現在の職場で、スキルアップのための十分な時間が取られていないなら、ホワイト企業への転職を検討するのも病まない生き方です。
2.運動して脳内物質を出す
(休日は外に出よう!)
運動して脳内物質を出すのも、SEが健康で居続ける秘訣です。運動をすることで、エンドルフィンが分泌されるといわれています。
では、エンドルフィンとは、どのような脳内物質か?
端的にいうと、強力な鎮痛作用を持つ脳内物質です。大きなストレスがかかったときに分泌されて、鎮痛効果を発揮します。
このエンドルフィンが、運動しているときに分泌されるのです。
例えば、マラソン選手が苦しさの先に経験する「ランナーズハイ」も、エンドルフィンの分泌によって体験するものといわれています。
ほかにも、休日に運動して平日の運動不足を補う効果、体を疲れさせることで夜に熟睡できる効果など、運動がもたらすメリットは大きいです。
(僕のランニングシューズ。年季が入ってきました…(笑) )
根本的な原因が職場にあるなら転職も有効です
本記事では、SEがメンタルを壊してしまう理由と、健康で居続ける方法をお伝えしてきました。
最後に、一つだけ僕がお伝えしておくことがあります。それは、「ストレスの根本的原因が職場にあるなら、職場を辞めることによってしか解決しない」ということです。
僕は、IT業界で複数回転職を経験し、フリーランスエンジニアになってからも複数の現場で働いてきました。
その実体験から考えても、「ブラック企業で酷い人材に囲まれて働くと、否が応でもメンタルを削られる」ということは、確信を持っていえます。
例えば、ブラック現場では、上司の注意一つとっても「普通に考えればわかるでしょ!」のように、逐一自尊心を奪うような指導になりがちです。
僕も、このような職場で働くうちに、「嫌いな上司を脳内でボコボコにする」「職場外で人に親切にできなくなる」など、実害が出ていました。
このような職場で働いていると、いくらプライベートでストレスを取り除こうが、いくらでもストレスが降りかかってくるものです。
一方、ホワイト現場で働くようになってからは、ブラック企業時代のような乱暴な心が、きれいさっぱりなくなりました。上司の指導も、「同じ過ちを繰り返さないために、どのような仕組みをつくるべきか?」という思考で動いており、チーム全体でミスをなくす仕組みづくりが徹底しています。
そして、ホワイト現場では、ブラック現場で見ていたような「精神の不調による休職」も全くみません。
ブラック現場では、休職した人間にも「あいつが休んだせいで、あたしの仕事がまた増えた…」のような、人とは思えないセリフを吐く上司もいたことを考えると、まさに天国と地獄です。
あなたが現在メンタルを壊している、あるいはメンタルが壊れそうと感じているなら、まずは本記事で紹介したライフハックを実践してください。それでも職場によってメンタルが削られるなら、思い切って仕事を変えてみるのも手段の一つです。
一度メンタルが壊れてしまうと、人生を台無しにしてしまいます。くれぐれも、無理をしてメンタルを崩壊させてしまわないように、気をつけましょう。