システムエンジニア(SE)は、誰でもなれる職業ではありません。ほかの職業に適性があるのと同じように、SEの仕事も向き不向きがはっきり分かれます。
ここで、「どのような人がSEに向いているか?」がわかれば、未経験の方でも転職前に適性がつかめる可能性があります。すでにSEになってしまった方も、あらためて自分がSEに向いているかを判断して、転職の判断につなげられるのです。
もし、「自分はSEに向いていないかも…」と考えてしまっても、今日から向いている人の行動を真似れば、できるSEに変貌することさえ、あり得る話です。
そこでこのページでは、「IT業界に10年関わった僕だからわかる、SEに向いている人の特徴」を解説します。
また、「こういうSEは消えていく」という僕の実体験と、「SEの適正に関するよくある誤解」も併せて解説するので、参考にしてください。
Contents
SEに向いている人
はじめに、SEに向いている人は、どのような人かを解説します。現状SEではない方も、これから説明する項目に一つでも当てはまっている場合、SEへの転職を考えてみてください。
具体的には、以下の3点は「できるSE」の共通点です。
- プログラミングが好き
- 新しい技術にも興味を持ち、自分の仕事に反映させる意思がある(探究心や好奇心がある)
- コミュニケーション能力がある
それぞれ、順を追って解説させて頂きます。
1.プログラミングが好き
ソフトウェアの開発である「プログラミングが好きになれるか?」はSEに向いているかを判断する条件の一つです。特に、開発者の場合、プログラミングに適性がなければ、いずれ会社に居場所がなくなります。
ここで、プログラミングが好きになれるか判断する方法として最も簡単なのは、「実際にプログラミングをしてみること」です。
例えば、マイクロソフトが提供している「VisualStudio」という無料の開発環境をインストールすれば、「Visual Basic」という初心者でも扱いやすいプログラミング言語で、ソフトウェアを開発できます。
上記の画像は、Windowsに標準で付属している電卓です。これと同じような機能を持つソフトウェアを開発してみて、楽しいかどうかを確認してみるのは、適性を確かめる良い方法となります。
ここで、開発環境のインストール方法を調べたり、プログラミング言語の基礎を学んだりするのは、とても良い勉強です。大変な思いはするでしょうが、適性があるならやってよかったと思えるはずです。
そこまでしたくないのであれば、「Excelのマクロ機能」を使って、繰り返し作業を自動化するプログラムを制作してみても良いでしょう。
現在は、開発環境だけなら無料で手に入る時代です。向いているかどうか考える暇があったら、「向いているかどうかをやってみる」ほうが人生が進みます。
開発のスペシャリストにならない限り、プログラミングができることによる仕事の優位性は、徐々に薄れていく
もしもあなたが開発者になるなら(すでになっているなら)、プログラミングができることはほぼ必須です。
しかし、IT業界でステップアップするにつれて、プログラミングができることによる仕事の優位性は薄れていきます。
なぜなら、実際の開発よりも、「設計」や「プロジェクトのマネジメント」のほうにキャリアが向かっていくからです。
ここでは、コミュニケーション能力やマネジメント能力がはるかに必要とされます。将来的に管理者になるなら、プログラミング能力だけを磨いても仕事にならないことには注意してください。
また、開発者以外の、社内SEや運用SEの場合、プログラミング能力をほとんど活用しないこともあります。プログラミングができるに越したことはありませんが、なくても何とかなる職種もあるので、SEという職業を簡単に諦めないでください。
2.新しい技術にも興味を持ち、自分の仕事に反映させる意思がある(探究心・好奇心がある)
IT業界は、ほかの業界より新技術の誕生や旧技術が廃れるスピードが早いです。そのため、常に新しいことを学習していかないと、取り残されて使い物にならないSEになります。
「仕事以外でも学習して、自分の生産性を向上させられないかを探求できる人は、SEに向いている」といえるでしょう。
例えば、Excelでの作業時に、いつも先輩に教わった方法で作業しているとします。そこで、「もっと効率よく仕事ができる方法はないだろうか?」を考えて、Excelのマクロで作業の自動化を図るような人は、SEに向いています。
SEとして活躍したいなら、「なぜ、そのようなやり方なのか?」「もっと効率の良いやり方はないだろうか?」といった探求心や好奇心を、どんどん行動に移せるようになってください。
一見、大変に感じることはありますが、新しい分野で卓越した存在になれば、IT業界に20年以上いるベテランSEのスキルを上回ることができるのは、IT業界の魅力です。
3.コミュニケーション能力がある
「コミュニケーション能力」がある方も、SEに向いています。ソフトウェアの規模がどんどん拡大する中で、大人数で仕事をする機会が増えているからです。
ただし、ひと言でコミュニケーション能力とはいっても、学生時代の明るいグループの人たちのように、ノリの良い人間になる必要はありません。
SEに必要なコミュニケーション能力は以下の2点です。
- 物事をわかりやすく伝えるスキル
- 顧客が本当に欲しいと感じているものを聞き出すスキル
1.の「物事をわかりやすく伝えるスキル」は、正しい情報を伝達するために必要です。今すぐこのスキルを身につけたいなら、「結論ファースト」で会話することを意識してください。
例えば、結論ファーストを意識していない場合、以下のような会話が想定されます。
上司 A君、昨日指示した○○の仕事、順調に進んでいる? A君 あぁ! 上司さん。○○の仕事に関しましては、自分が着手できる部分には取り組んでいるのですが、顧客との調整が必要なところでは、現在顧客側と連絡がつかない状態でして、明日中には、もう一度顧客に連絡を取るつもりなのですが、‥‥ 上司 結局、順調なのか問題が発生しているのか、どっちなんだよ‥ |
これでは、上司の質問に対する回答になっていません。上司は、部下の仕事が順調に進んでいるのかを知りたいのです。
また、問題が起きて責任を取らされないように、上司は対策を取りたがっています。
そこまで理解した上で、結論ファーストを意識して、以下のように回答するのがベストです。
上司 A君、昨日指示した○○の仕事、順調に進んでいる? A君 (結論) 上司様。任されていた仕事は順調です。 (理由) 自分が着手できる箇所に関しましては、すでに作業を開始しているからです。 (理由の根拠部分) 成果物は完成していませんが、もしも不安であれば、作成途中のものをメールにて送付しますので、ご確認ください。 (問題点) ただし、顧客との調整が必要になる部分に関しましては、現在顧客との連絡がついていません。 (問題の対策) 今日中にメールの返信がない場合、明日の朝一番に、電話にて再度連絡を取るつもりです。 |
部下がこのように受け答えができれば、上司側も、その後の判断を下しやすくなります。この会話術を身につければ、ストレスのないスムーズな会話が可能です。
次に、2.の「顧客が本当に欲しいと感じているものを聞き出すスキル」は、顧客のシステムを開発する前段階で、ヒアリングを行うときに必要なスキルです。
例えば、顧客は「~~のような機能が欲しい」という要望を出してきます。ここで、顧客のいう通りにシステムを作っても、顧客が満足できるシステムが完成するわけではありません。
顧客はソフトウェア開発の素人であり、実際使いやすいソフトウェアを制作する技術は、開発会社のほうに蓄積されているものだからです。
そこで、「なぜ、~~のような機能が欲しいのか?」を上手に聞き出し、「△△のようなことを実現したいからだ」という答えが返ってきます。
そこで、「△△を実現したいなら、✕✕のような方法を使ったほうが便利ですよ」と提案できると、顧客のためになるシステムが完成するのです。
このようなコミュニケーション能力を身につけると、どの企業に就職しても、他人の目からは有能なSEとして映ります。
こういうSEは消えていく
ここまでの話で、SEに向いている人の特徴がわかりました。次に、SEに向いていない人のことを解説します。
基本的には、「SEに向いている人の反対が、SEに向いていない人」と解釈して間違いありません。
- プログラミングが嫌い
- 新しい技術に関心がない
- コミュニケーション能力がない
上記のようなSEは、SEの仕事に向いていないでしょう。僕も、IT業界に10年いた経験から、「この人はSEに向いていないな…」と思える行動パターンも多々みつけています。
そこで、ここからは管理人のヤマダが実際に見てきた、「この人は、いずれ会社から消えそうだな」という人を解説します。このような人は、知らず知らずのうちに向いていないパターンに当てはまっていることが多いのです。
以下のような人間には、絶対になってはいけません。
- 繰り返しの作業を気合でこなそうと考えてしまう人
- ストレスを上手く処理できない人
すでに、SEとして仕事をしているなら、これからは当てはまらないように振る舞ってください。まだ、SEとして仕事をしていない方も、このような先輩からは仕事を教わらないように気をつけてください。
1.繰り返しの作業を気合いでこなそうと考えてしまう人
繰り返しの作業を気合でこなそうと考えてしまう人は、SEには向いていません。大抵の場合、より生産性の高い仕事の進め方が存在するからです。
例えば、Excelで資料を作成するときに、全てのデータを手入力する方はいません。突然データが変更になっても大丈夫なように、「〇〇というデータを変更したら、連携して△△の箇所は全て修正される」ような、効率の良いやり方でこなすはずです。
SEの仕事も、これと同じです。プログラミングをしているとき、Excelで資料を作成しているときなど、繰り返しの作業はコンピュータにやらせるのが基本です。
つまり、繰り返しの作業を気合でこなすSEは、以下のような状態に陥っています。
- 現在の仕事の進め方に疑問を持たない
- 技術に向上心がない
これは、SEに向いている人の逆のパターンに当てはまっています。以上のことから、繰り返しの作業があるなら、必ず「もっと効率の良いやり方があるのではないか?」と考えるようにしてください。
2.ストレスを上手く処理できない人
仕事で溜めるストレスを上手に処理できない人も、SEには向いていません。IT業界には、精神的におかしくなって、会社を退職する人も多いです。
これには、長時間労働、コンピュータの電磁波の影響、人間関係など、多くの原因が言及されています。
しかし、同じ職場で働いているのに、精神的に良好な状態のSEがいる場合、ストレスを上手く発散できていない可能性があるのです。
例えば、一日中座ってコンピュータに向き合うこともあるわけですから、目や手からくる酷い肩こりに悩まされるのは、SEの世界ではよくあることです。
そこで、定期的にマッサージや整体に通って体のバランスを整えると、嫌でも体調が良くなったことに気がつくはずです。それほど体のバランスが悪くなっていても、自分がその状態にいるときは、体調の悪さに気がつかないのが人間です。
体調管理にまで気を使っていると、プライベートで得た気分の良い感情を、職場にまで持ち込むことができます。
一方、体調管理ができていないと、悪い感情を同僚や上司に与えてしまい、それがまた人間関係に軋轢を生む原因となるでしょう。
このように、体調管理を怠って周囲に悪い影響を与えるSEは、徐々に居場所がなくなっていきます。
SEが職場で溜めたストレスを、キレイに発散する方法が知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
ただし、世の中にはSEの努力では改善できないレベルの、どうしようもない現場が存在します。例えば、当サイトの管理人も、あまりにも理不尽な会社に入社してしまい、ストレスで円形脱毛症になった経験があります。
(ちくしょう!あの現場、マジで許せん(笑) )
うつ病患者を大量に出すような現場を見抜けず、誤って入社してしまいました。あなたの現場がこのような現場でないかを知りたいなら、以下の記事も参考にしてください。
SE未経験者が陥りがちな、適正に関するよくある誤解
ここからは、SE未経験者が陥りがちな、「適正に関するよくある誤解」を解いていきます。実際はSEとして適性があるのに、「自分はSEに向いていないのでは?」と誤解して諦めてしまうと、あなたが仕事で活躍するチャンスを逃してしまいます。
以下の2点は、SEになる上で、よく誤解されていることです。
- 現状コンピュータのことに詳しくないから、SEにはなれないのではないか?
- 自分は文系出身なので、SEは向いていないのではないか?
しかし、この2点はSEの適正には何の関係もありません。これから、これらの誤解を一つずつ解いていきます。
1.現状コンピュータのことを知らないのは、問題がない
現状、あなたがコンピュータのことを知らなくても、問題がありません。学校や独学で学べる範囲など、IT業界に入って数年経てば、自然と身につく知識ばかりだからです。
例えば、僕はかつて、日本で最も有名なコンピュータの専門学校に通っていました。国家資格である、「応用情報技術者試験」にも合格しているので、そこそこ学習にも熱心に取り組んだほうだと自負しています。
しかし、その後社会に出た実体験から言うと、そこで得た知識やスキルは、「IT企業に入社すれば、遅くても数年以内に習得できるもの」だという確信があります。
これは、学習に費やした時間を考えれば理解できます。SEとして働き始めるようになると、毎日8時間以上もIT業界に身を置くことになります。
一方、学校で学習していても、一日8時間も勉強するのは稀です。また、学校だとトップレベルに合わせて授業は進まないので、学習意欲が高い人間は、結局独学で多くのスキルを身につけています。
つまり、あなたが面接官に学歴や職歴でポテンシャルを示すことができれば、IT業界で活躍する機会は必ず開けます。現状の知識やスキルが、必ずしも将来の知識やスキルを表しているわけではないからです。
あなたがIT業界を好意的に捉えており、なおかつポテンシャルが高いなら、「入社後に数年で会社で通用するSE」と、面接官から判断されるでしょう。
ただし、面接の志望動機で、「IT業界に興味があったから」というのは気をつけるべきです。興味だけあっても、実際の行動がなければ、「この人は口だけかもしれないな…」と判断されてしまうからです。
あなたが、「IT業界にいきたい」というやる気があるなら、その思いを行動に変換してください。
具体的には、自分のサイトだと、パソコンに開発環境をインストールしてプログラミングを経験してみたり、IT業界の国家資格の中で最も簡単とされている「ITパスポート試験」に合格したりするなどして、ポテンシャルを証明するのです。
これだけのことができれば、どこかの会社が必ず採用してくれます。現状コンピュータのことを知らなくても、積極的にIT業界を目指してください。
2.文系理系は関係ない。しかし…
文系理系の違いも、基本的にはSEの適正には関係ありません。コンピュータは理系の分野だと思われていますが、実際にはソフトウェア開発で数式をバリバリ使用する機会は多くありません。
例えば、僕が物流システムの開発会社で働いていた頃、主に必要になる知識は「物流系の業務知識」「プログラミング能力」の2点でした。上司であれば、そこに「マネジメント能力」が加わってきます。
僕がそこで必要とした数学の知識は、せいぜい中学校卒業程度の数学力があればこなせることです。つまり、文系でも全く問題がない仕事をしていたのです。
プログラミング能力自体も、理系だから向いているというわけではなく、「やってみないとわからんよなぁ…」というのが僕の実感です。
上記は、実際に募集していたIT求人の一例です。SEの求人には、学歴不問かつ高月給のモノが溢れています。
ただし、SEの中には理系の素養がないと太刀打ちできない分野もあります。
例えば、ロボットや家電を開発する「組み込みSE」であれば、電気や回路の知識を必要とします。
ほかにも、ゲーム開発者も、グラフィックス処理などで数学や物理の公式を頻繁に活用します。
(実は、シューティングゲームで球を斜めに発射するときは、三角関数の公式が使われているのですよ。三角関数を使わないと、斜めに球を飛ばしたときだけ、球のスピードが上がってしまうのです…)
↑この話を聞いて、「なぜ球を斜めに飛ばすとスピードが上がる?それが三角関数の知識で解決する??意味が分からない…」とあなたが感じているなら、「理系の壁にぶつかっている」といえます。
しかし、そのような数式をバリバリ使う分野を除いても、金融系SE、WEB系SEなど、文系でもできる仕事は残されているのです。
つまり、理系でないとダメなのではなく、「理系の素養がないと太刀打ちできない分野もある」というのが正解です。
最後に
SEの仕事に向いている人と、そうでない人はこの世に存在します。ただし、プログラミング能力などは、「やってみないと向いているかがわからない」というのが現実です。
つまり、現状自分がSEに向いているかがわからないなら、IT業界に進むことを前向きに検討してください。
多くのITスキルが身につくと、「スペシャリスト」「管理者」「教師」「IT系ベンチャーの起業家」「IT系ライター」など、多くの道が開けます。
ダラダラと、スキルの身につかない業界に居続けるより、人生が好転することは間違いありません。
また、SEに向いている人の特徴を真似して、SEに向いていない人からは距離をおくことが、「できるSE」になる秘訣といえるでしょう。この秘訣を意識してIT業界に飛び込めば、最短ルートで活躍できるのです。
プログラマー・SEの仕事に興味があるなら以下の記事も参考にしてください。
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