ITエンジニアとして就職するとき、間違いなく重要視されるのが技術力です。技術力だけあっても社会性がなければいけませんが、そうはいってもITに無知なエンジニアが論外であることは間違いありません。
それでは、技術力に差がない・あるいは技術力に不安要素がある際には、どのような点が見られるのでしょうか?
結論からいうと、「学歴・資格」などでポテンシャルの証明することで、内定を勝ち取れることがあります。特に、情報処理技術者試験の「応用情報技術者試験」に合格していると、IT業界内ではかなりの高評価を受けられるのです。
なぜ、応用情報技術者の資格を所有すると、就職で有利になるのか?
その謎に迫るべく、このページでは「応用情報技術者とは何か? 就職に役立つか? 応用情報技術者に合格するメリット」について解説します。
Contents
応用情報技術者とは、どのような資格か?
(当サイト管理人は、応用情報技術者の前身であるソフトウェア開発技術者試験に合格しています。)
はじめに、「応用情報技術者がどのような資格か?」を解説していきます。
結論からいうと、国家資格である情報処理技術者試験の中の一区分として応用情報技術者試験が存在しています。
情報処理技術者試験の中には、目的に応じた様々な試験が用意されており、一般的に応用情報技術者は基本情報技術者合格後に目指す試験と捉えられているものです。
ITパスポート(非エンジニアでもITリテラシーを証明できる試験)
↓
基本情報技術者(ITエンジニアの登竜門)
↓
応用情報技術者(ワンランク上のITエンジニア)
↓
データベーススペシャリスト・ネットワークスペシャリストなどの高度区分
ざっくり分けると、上記のように区分分けされています。実際に、応用情報技術者試験の対象像は、以下のように定義されています。
■対象者像 高度IT人材となるために必要な応用的知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した者 |
つまり、ITエンジニアとしての基礎を築いた上で、さらにワンランク上を目指す人のための資格といえるでしょう。
応用情報技術者は就職で役立つか?実体験を語ります
ここからは、「応用情報技術者は就職で役立つか?」について解説します。
僕自身、応用情報技術者の前身であるソフトウェア開発技術者に合格した上で、IT業界で複数回転職を実現してきました。実体験として、どれほどこの資格が通用するのかを知っています。
結論からいうと、年収400~600万円代程度の仕事であれば、応用情報技術者を持っているだけで、ある程度まともなエンジニアだと思ってもらえるぐらいには評価されるのです。
例えば、僕はフリーランスエンジニアとして、運用SEの仕事を何度か請け負っています。そのとき、「応用情報まで持っているんですね。それなら、安心して採用できますよ。」と言われたことがあるぐらいです。
つまり、応用情報技術者に合格できる頭があれば、年収400~600万円程度の仕事を理解できる頭があると判断されます。
一度、ブラック企業の手違いで、SEではなくコールセンターに配属されてしまい上手く仕事をこなせなかったときも、「コールセンターの業務が向いていないだけです」と、自社の人に擁護してもらったこともあるぐらいです。
応用情報技術者を持っていなければ、ただの仕事ができない奴で終わっていたかもしれません。
そう考えると、応用情報技術者に合格することは、難関大学を卒業するのと同様に「シグナリング効果」を発揮しています。
ただし、あくまでも「応用情報技術者を持っているなら、これぐらいの仕事はこなせるだろう」という予測です。スキルを証明しなくても良いわけではありません。
資格でポテンシャルを証明する一方、身につけたスキルや他社でも活かせる経験をアピールする必要はあります。
それでも、卓越したスキルを持っていない若手ITエンジニアや、中途採用でIT業界に潜り込んだために経験が足りないITエンジニアであれば、転職市場で応用情報技術者を活用しない手はないでしょう。
応用情報技術者試験に合格することで得られるメリット
ここからは、応用情報技術者試験に合格することで得られるメリットについて解説します。
本来、学習というものは「就職に役立つか?」だけで決めるものではありません。知見を深めるため・意識の高い仲間を作るために学習する人もいるでしょう。
就職に有利になるかどうかに関わらず、自己成長につながるのなら、積極的に学習するべきです。そして、応用情報技術者に合格すると、以下のメリットを得られます。
- IT業界で活用されている幅広い知識が身に付く
- IT業界において学歴の代わりになる
それぞれ、順を追って解説させて頂きます。
1.IT業界の幅広い知識が身に付く
IT業界の幅広い知識が身に付くのは、応用情報技術者に合格するメリットです。ITの基礎をしっかりと身に付けておくことで、初めて挑戦する仕事でもスムーズに順応できます。
僕の例でいうと、かつてデータセンターで運用SEとして働いていた頃、新たにセットアップしたPCの固定IPアドレスを割り振るような業務がありました。
このような業務を経験したことはなかったのですが、応用情報技術者試験でネットワーク関係のリテラシーを身に付けていたため、割り振っても良いIPアドレスの算出方法などはすぐにわかります。
その結果、「どうすれば良いか?」という質問をしてしまうとリーダーの時間を奪ってしまいかねない状況で、「こういうやり方でいいんですよね?」という確認だけで引き継ぎを終わらせることができたのです。
応用情報に合格後はすっかり知識を忘れていた僕ですが、仕事で必要な知識として当時覚えた知識が出てくると、案外すんなり思い出せます。一度は覚えた知識なので、ゼロから学習するのとは適応度が異なるものです。
このように、一度幅広く知識を習得しておけば、仕事で遭遇する様々な状況で無知の人間とは異なる振る舞いが取れます。
2.IT業界において学歴の代わりになる
IT業界において、学歴の代わりになるのが応用情報技術者です。決して誰でも受かる資格ではないため、合格するだけでポテンシャルを証明できます。
僕の肌感でいうと、応用情報技術者試験は、「産近甲龍~関関同立(関西エリアの大学基準)」程度と同等の学力証明になっているのではないかと思っています。
僕は大学を出ておりませんので、たしかなことは言えませんが、一応根拠はあります。
僕は複数の現場で働いているのですが、大抵の現場で「あの人、実は関関同立を出てるらしいぞ」という話を聞くことがあるものです。
その人たちでも、応用情報技術者の下位資格である基本情報技術者試験を複数回受験していたり、応用情報は難しいと言っていたりする所を目にしています。
これは、彼らレベルのポテンシャルがあっても、応用情報技術者に合格するためには、腰を据えて学習する必要があるということです。
また、僕が応用情報技術者の合格者という立場を駆使して現場に入場するのですが、そういった現場で目にする人で「あいつは頭が良い」とされているのが、大抵関関同立レベルの人たちです。
つまり、僕のレベルでは、東大や京大を出た人たちと一緒に仕事ができる機会がないのでしょう。
会社には同じレベルの人間が集まると考えると、「応用情報技術者 = 産近甲龍~関関同立程度のポテンシャル」というのも、あながち的外れな考察とはいえないはずです。
18歳前後で勉強とは別の努力をしていた人や、大人になってからIT業界で頑張ろうとしている人なら、応用情報技術者を取得する価値は大いにあります。
応用情報技術者に合格しておいて本当に良かった!
本記事では、「応用情報技術者が就職に有利になるか?」と「応用情報技術者試験に合格するメリット」について解説してきました。
結論として、「応用情報技術者だけで就職できるほど甘くはないが、アホではないという目で見てもらえるのは確か」と考察できるでしょう。
特に、学生時代に勉強を頑張らないと、いくら自分が賢いと思っていても世間からは賢く見られません。そこで、応用情報技術者試験に合格しているだけで、「この人は、継続して学習ができる人なんだな」と見直されます。
僕自身、応用情報技術者試験で学習したことの多くを忘れてしまいましたが、面接の度に「継続して学習できる人だ」という判断を受けているのです。
基本情報技術者から合わせても、たった一年間真面目に勉強するだけで、そのような評価が受けられるのですから、こんなにコスパの良い学習はありません。
たまに、インフルエンサーや卓越したITエンジニアなどが、「資格など不要」と発言しています。
しかし、彼らは年収数千万円を当たり前に稼げるスーパーマンであることは忘れてはいけません。彼らのように卓越した能力を持っていない僕たちは、コツコツとステップアップしていくのが人生戦略というものです。
さまざまな理由でエリートコースには乗れなかった人たちにとって、スキルで稼げるIT業界は魅力ある業界です。
ただし、スキルが重要視されているIT業界であっても、組織の中で働くなら応用情報技術者試験でポテンシャルを証明しておいて損はありません。