フリーランスエンジニアになりたいと考えたとき、十分なスキルが身に付いているか気になるものです。独立してやっていける能力がないと、フリーランスになってから地獄を見ることになります。
ここで、一言でスキルといっても、技術力以外にも多くのスキルがあることを忘れてはいけません。
企業に常駐するフリーランスエンジニアであればコミュニケーション能力が重要ですし、仕事を取ってくる在宅フリーランスエンジニアは営業力も大切です。
そこでこのページでは、「フリーランスエンジニアに必要なスキル5選」について解説します。今一度フリーランスエンジニアに必要なスキルをリストアップして、不足しているスキルを身につけてください。
Contents
技術力を含む様々なスキル
フリーランスエンジニアとして成功するためには、技術力以外を含む様々なスキルを身につける必要があります。ほとんどの仕事は他人との共同作業であり、ITスキル以外のヒューマンスキルも求められるからです。
そもそも、技術者の中には、「ITスキルだけが技術である」と考える人もいます。
しかし、これは間違いです。
例えば、マネージャーだって「人を束ねる技術を持った技術者」と解釈できます。営業だって、「困っている人に問題を解決する商品を売るスキルを持った技術者」だといえるでしょう。
つまり、世の中の見方を変えると、「すべての人間が技術者のようなものだ!」と考えられるのです。
そう考えると、IT一辺倒のITエンジニアも、世の中には技術が溢れていることに気がつくのではないでしょうか?
そして、具体的には以下の5点は、フリーランスエンジニアにとって必要になるスキルです。
- 技術力
- 専門分野の業務知識
- コミュニケーション能力
- 営業力
- 自己管理能力
それぞれ、順を追って解説させて頂きます。
1.技術力
技術力は、フリーランスエンジニアにとって最も重要なスキルです。あなたに仕事を発注する人は、あなたの専門的なスキルに高いお金を支払います。
特に、IT業界の仕事の中でも、開発職と非開発職の間で報酬は大きく異なるものです。
以下の案件を見てください。これは、非開発系で技術力をそれほど必要としない企業常駐型フリーランスエンジニアの仕事です。
報酬は50万円と設定されています。この案件でも充分だと感じるかもしれませんが、開発系の職種になると、さらに報酬が上がるのです。
月収80万円なら、80 × 12 = 960万円となり、ほぼ年収1000万円です。ビジネスマンの憧れである年収1000万円が射程に入るのが、技術力でお金を稼ぐフリーランスエンジニアの醍醐味です。
「技術だけ磨いても成功するわけではない」という意見は、「技術を磨かなくて良い」という意味ではありません。
卓越した技術力を評価する企業はいくらでもある、という事実を忘れないようにしてください。
2.専門分野の業務知識
専門分野の業務知識も、フリーランスエンジニアが持つべきスキルといえます。いくらコンピュータのことだけ知っていても、業務知識がなければ優れたシステムは開発できないのです。
僕の例でいうと、レジシステムを開発している大手企業で働いたことがありますが、そこではレジでの多様な会計方法を知っていることが重要でした。
現在では、現金以外にも、商品券・電子マネー・クレジットカードの多様な決済があります。
そこで決済に不具合があったときは、いくら技術力があっても、そもそも決済方法に精通していないと問題が解決できなかったのです。
IT業界では、このような話は枚挙に暇がありません。
つまり、「技術力 + 業務知識」があって、初めて優れたシステムを構築できて、問題に適切な対処が取れるのです。
金融系・物流系・組み込み系など、どこの現場でも共通する業務知識は絶対にあります。それらの業務知識を抑えておけば、即戦力として現場に順応できるのです。
3.コミュニケーション能力
コミュニケーション能力も、フリーランスエンジニアにとって重要なスキルです。仕事を請け負う以上、他者とのコミュニケーションは欠かせません。
例えば、企業常駐型フリーランスエンジニアの世界では、企業内の会社員の人と連携をとって仕事をします。
このとき、あなたの雇用形態はどうでもよく、いちいち現場で「フリーランスです」という機会もありません。
ここで大切になるのは、知らない現場に入ってもすぐに順応できる環境適応能力です。知らないおっさんがオナラをしたら不愉快だけれど、友達がオナラをしたら笑ってしまうように、現場の人たちに「あなたは味方だ」と思わせる振る舞いを心がけてください。
ここで、「自分にはそんな力はない…」と考えた人に、僕流のアドバイスがあります。
環境適応能力を高めたいなら、建築の日雇いバイトを経験してみてください。
建築現場の日雇い仕事に行くと、その日初めて出会った人たちが難なくコミュニケーションを取っているのが散見されます。そこでは、出会ってすぐに打ち解けるベテランの姿を間近で見ることができるてましょう。
初対面の人とでもチームワークを取って仕事しなければならない環境だからこそ、そのようなコミュニケーション能力が磨かれているはずです。
荒療治に感じるかもしれませんが、そのような仕事を経験することで、無理やり環境適応能力を高めるのも一つの手段といえます。
ほかにも、結論ファーストを意識して話して現場のマネージャーにストレスなく報連相を実施したり、ビジネスマナーに気をつけたりするのも、コミュニケーション能力の一つです。
こうして、人間関係を円滑にすることで、仕事も円滑に回り始めます。特に、正社員とは違い、性格が悪すぎると契約を切られて終わりなので、人当たりよく接する必要があるのがフリーランスエンジニアです。
4.営業力
営業力も、フリーランスエンジニアにとって重要なスキルです。自分を売り込むスキルがないと、不当に安く買い叩かれます。
在宅フリーランスであろうと、企業に常駐するフリーランスであろうと、仕事を請け負う前の交渉で報酬が決まるものです。
ここで、「営業力を鍛えよ」と一言でいっても、具体的に何をどうすれば良いのかが分からないかもしれません。
その場合、以下の2点を意識すれば、おのずと営業力が高まると考えてください。
- 相手が必要としているものを的確に用意する
- 相手の想定以上の成果物を返す
1.に関しては、自分が営業マンから営業を受けたときのことを想像すれば意味がわかります。自分のいらない商品をいくら勧められても、不快なだけですよね?
しかし、自分が抱えている問題を解決するための商品を持ってこられたら、ついつい買ってしまうものです。
つまり、「私は、あれもこれもできます」というより、「あなたの現場で困っていることはないですか? なるほど、○○という問題が現場にはあるのですね。それでは、私の△△というスキルが役に立ちます。」としたほうが、相手の心に刺さります。
これが、営業力の真髄です。
また、2.に関して解説すると、「相手の想定以上の成果物を返す」ことで、口下手でも営業力を発揮できます。
通常、仕事を発注する側は、「このぐらいの値段ならこのぐらいの仕事が返ってくるだろう」という、予測を立てているものです。そこで、値段以上の成果物を返すことで、相手を申し訳ない気持ちにさせてください。
その後、「あなたの仕事は他クライアントとの比較になるため、私と継続して取引したいなら条件を高めてください」と伝えれば、条件の良い仕事が見つかります。
もし、条件が上がらないなら、別のクライアントの仕事を請け負うだけです。
大切なことなので、繰り返しお伝えします。
- 相手が必要としているものを的確に用意する
- 相手の想定以上の成果物を返す
上記2点を意識することで、営業力の高いITエンジニアになれるのです。
5.自己管理能力
自己管理能力も、フリーランスエンジニアに必要なスキルです。自分を律して仕事をしないと、会社員と同じように働けないことがあります。
例えば、在宅フリーランスやリモートワークを選択した場合、自宅で仕事をするはずです。
このとき、在宅フリーランス未経験者は、会社員と同じように8時間難なく働けると考えてしまいます。
しかし、完全在宅で仕事をした僕の経験からいうと、必ず「もうすこしだけ寝ていたい」「どうせ在宅だから、夜遅くまで飲み歩こう」のように、甘さが出てくるのです。
在宅フリーランス経験者の体感からいうと、8時間普通に働けたら才能人だといえるでしょう(笑)。
ちなみに、自己管理能力を高めるライフハックとして、「キッチンタイマー利用法」があります。これは、休憩に入る前には必ずタイマーをセットして、タイマーが鳴れば一秒でもいいからパソコンの前に座る、という方法です。
もし、5分でやる気を失ってしまったなら、再度休憩して適当にタイマーを設定します。
このライフハックを実践すると、パソコンの前に座ることさえできれば、作業が捗ることに気がつくはずです。
種明かしをすると、人間には「作業興奮」と呼ばれる状態があり、脳の「側坐核」を刺激することでスイッチが押されると言われています。そして、側坐核を刺激する方法は、「作業を開始すること」にあります。
つまり、やる気が出るから行動するのではなく、「行動するからやる気が生まれる」ということです。
「仕事のやる気が出ないから、一秒だけ仕事してやる気を出そ~っと!」
上記のように発言すると矛盾しているようにみえますが、実際には、これがやる気を生み出す真髄です。
上記は、自己管理能力を高める一例でしかありません。あなた独自の自己管理能力を身につけて、フリーランスエンジニアの仕事を成功させてください。
まとめ
本記事では、フリーランスエンジニアにとって必要になるスキルを解説してきました。もう一度、本記事で紹介したスキルを列挙しておきます。
- 技術力
- 専門分野の業務知識
- コミュニケーション能力
- 営業力
- 自己管理能力
これら5つは、フリーランスエンジニアになる上で重要なスキルです。
1~3に関しては、会社員時代から意識的に磨くことができます。普段から仕事をするときに、「自分は今、○○というスキルを磨いているんだ!」と考えて、仕事に取り組んでください。
4~5に関しては、会社員の仕事内で磨くのが難しいかもしれません。
しかし、会社員でも副業を開始することで営業力を身に付けられますし、プライベートの時間を無駄に過ごさないようにすれば自己管理能力を磨けます。
こうして、高めるべきスキルを意識しながら仕事を続ければ、漠然と生きているエンジニアとは比べ物にならないぐらい成長できるでしょう。