かつてシステムエンジニア(SE)を仕事にしていたのに、何らかの理由で辞めてしまうことがあります。
- 起業するためにSEを辞めた
- 激務でうつ病になりIT業界を離れた
- プログラミングが向いていなくてIT業界が嫌になった
このように、さまざまな理由で一度はIT業界を離れる人は大勢いるのです。
しかし、IT業界での仕事の見つけやすさや、働いている人間の相性の良さなどがあり、もう一度IT業界に戻ることを検討する人もいます。
そこで気になるのが「ブランク」です。IT業界を離れていた時期があると、「なぜ一度辞めたITに戻るのか?」「空白期間が長いが、スキルが錆び付いてしまったのではないか?」と疑われてしまいます。
ここで、ブランクがあるときの対処法を知らないと、IT業界一筋のライバルに良い職を奪われる可能性もあるのです。
そこでこのページでは、「ブランクのあるSEがIT業界に復帰する方法」について解説します。
Contents
半年以上のブランクがあると、企業から嫌がられる
はじめに、どれくらいのブランクがあると企業から嫌がられるかを解説します。
企業によって価値観は異なるため一概にはいえませんが、半年以上のブランクがあると、面接官から突っ込まれることが多いです。理由は複数あります。
例えば、真面目に就職活動しているのにブランクがある場合、他の企業では採用してもらえない何かがあると勘繰られるでしょう。よほど景気が悪い時代でなければ、一般的には数ヵ月の転職活動で仕事は決まります。
そこで仕事を決められない人間は、以下のような懸念を持たれてしまいます。
- 仕事を選り好みしている
- どこも受からないぐらい能力が不足している
- 自分を客観視できずに無理な企業に挑戦している
また、単純に退職した後、貯金が続く限り遊んで暮らしていたような人でも、悪印象を与える可能性があることに留意してください。
誰にも迷惑をかけていませんし、僕の個人的な意見としては羨ましい人生だと思います。
しかし、家族を背負っているような会社員であれば、本来とれない行動というのも事実です。「滅多に仕事を辞めない既婚者よりも、責任のある仕事を任せにくい」と考える保守的な会社も、まだまだ存在します。
また、「自分は自由に生きられていないという不満から、そういった人を下に見ないとやってられない」という状況の、人間力の低い面接官に当たってしまう可能性もゼロではありません。
このように、真っ当な理由から価値観の違いまで、さまざまな理由でブランク持ちが避けられてしまうのです。
「採用側の不安を取り除く」という観点で面接に臨むこと
ここからは、職歴にブランクがあるときに、採用する側の不安を取り除く方法について解説します。
あなたが面接を受けているということは、採用側にも少なからず採用する意志があるということです。空白期間に関して納得できる説明をするだけで、採用の可能性は飛躍的に高まります。
具体的には、面接時には以下の3点を意識して、採用側の不安を取り除いてください。
- 空白期間に関して納得できる理由を示す
- 働く意欲があることを示す
- スキルが錆び付いていないということを示す
それぞれ、順を追って解説させて頂きます。
1.空白期間に関して納得できる理由を示す
空白期間に関して納得できる理由を示すと、面接官の不安な気持ちを取り除けます。そこで言葉を濁してしまうと、「何かやましいことがあるのではないか?」と思われてしまうからです。
例えば、前職をうつ病によって退職しており、うつ病が完治していないとなれば、入社後に面倒事が増えてしまうと判断されてしまいます。
そこで、本当にうつ病で退職しているならば、現在は完治していることをはっきり示すべきです。
うつ病で退職してしまったときの対処法が知りたいなら、以下の記事も参考にしてください。
ほかにも、仕事をしていない期間に何かしらの自己開発をしてきたなら、そこを全力でアピールしてください。海外への語学留学などを実現するためには会社を退職する必要があり、どうしても叶えたい夢だったのであれば面接官にも納得してもらえます。
なお、仮にただただ仕事が嫌になってブランクを作ってしまった場合も、再就職の一カ月前ぐらいからは何かしらの自己開発に取り組むのが無難です。
例えば、「以前は運用SEとして働いていたが、再就職活動の一カ月前からExcelVBAをマスターして、現場の作業を簡略化するツールを作れる」のようにブランク期間での成長をみせると、ブランク期間全体を誤魔化せます。
ここでのポイントは、「せいぜい一カ月程度の自己開発に留めておく」ということです。ここで、数カ月から数年かかる自己開発に取り込むとどうなるか、一度想像してみてください。
結論として、ブランク期間が長期化してしまい、面接を突破できる可能性が下がります。
あくまで一カ月程度で、「今までの経験を補強できるようなスキル」を身につけることで、ブランクを誤魔化せればそれで良いのです。
2.働く意欲があることを示す
働く意欲があることを示すのも、面接官の不安を取り除きます。ブランクがあると、「会社員向けの人間ではないのでは?」と面接官から疑問に思われるからです。
ここで、しっかりと不良社員でないことを示す必要があります。
例えば、前職の実績があるなら、それを数字で伝えるのは有効な手段です。
具体的には、以下のようなアピールが有効になります。
運用SEとして決められた手順で仕事を進めるほか、頻繁に処理する仕事については、ExcelのマクロやUWSCなどのマクロツールを用いて、業務を簡略化するツールを作っていました。
誰かにツール作成を頼まれたわけではありませんが、自主的に学習して、業務の隙間時間に作っていました。
その結果、普通であれば5分ほどかかる仕事を30秒ほどで終わらせるツールを大量に作成して、忙しい時間でも最小限の人数で業務をこなせるようになりました。
このように、「自主的に学習した経験」や「業務効率を改善した経験」を数字的に説明するだけで、会社員時代は熱心だったのだと認識してもらえる可能性が高まります。
ほかにも、ブランクがあるものの別の業界で働いていたなら、そこで得た知見をSEという職種でも活用できるとアピールしてください。
例えば、IT業界から離れて営業社員をやっていたなら、「そこで培ったコミュニケーション能力やプレゼンスキルを、どのようにしてIT業界で活かすか?」を説明するのです。
意味のないブランクは企業から嫌がられますが、価値がある能力を身に付けさえしていれば、好意的に捉えられることもあります。
様々な世界を知っている人のほうが、人間的にも魅力があるものです。
こうして、働く意欲があることを伝えると、ブランクを克服してIT業界に復帰できます。
3.スキルが錆び付いていないことを示す
スキルが錆び付いていないことを示すのも、面接官の不安を取り除きます。現場で通用するレベル以上のSEであれば、採用したいと考えるものだからです。
例えば、技術力があることをアピールするために、ポートフォリオを作成しておくのは、職歴にブランクがあるときには有効に作用します。
- 自分が作成したWebサービス
- 日常生活を便利にするマクロ
今まで習得したスキルを反映する形で、1つのプログラムを完成させてください。
また、このとき、誰にでも読めるような分かりやすいコードで書かれていることが望ましいです。プログラミング経験者であれば、書かれたコードが優れているかどうかは感覚で理解できます。
なお、面接では過去の経歴について深く切り込んで質問されるものです。そこで躓かないように、「あのときの現場では○○のような仕事を経験して△△だったなぁ…」と、人生を振り返って経験を上手くアピールする準備をしておいてください。
このように、ポートフォリオを作成した上で過去の経歴を面接前に振り返っておけば、間違いなくブランクを誤魔化せます。
ブランクからの復帰時は前職と近い仕事が決まりやすい
仕事のブランクからの復帰時は、前職と近い仕事がベストといえます。前職で金融系SEの経験があるなら、金融系の仕事を探すのが一番ということです。
これは、すでに経験していることであれば、現場に入って少しの努力で仕事感覚を取り戻せるとわかっているからでしょう。
人間は一度覚えたことは、一時的に忘れていても少し勉強すれば不思議と簡単に思い出せるものです。
嘘だと思うなら、学生時代を思い出してください。
例えば、管理人はコンピュータの専門学校時代に、情報処理技術者試験に関する知識を頭に叩き込みました。現在では10年も前に取得した資格なので、知識の大半は忘れています。
しかし、少しテキストを読み返すと記憶が戻ってきて、最初に勉強したときより何倍も早く記憶に再定着するのです。
一方、真剣に学んだことのない分野の学習に関しては、習得するのに時間がかかります。
あなたにも、このような体験はあるでしょう。つまり、一度覚えたことはすぐに思い出せるということです。
また、ブランクを取り戻す過程で、さらに未経験の業界知識を覚えるとなると大変苦労します。
- 一度経験した知識やスキルは、多少ブランクがあってもすぐに思い出せる
- ブランクを取り戻しながら、新しい業界知識などを覚えるのは苦労する
以上2つの理由から、ブランクから復帰するなら前職と近い仕事に就くことをおすすめします。
SEはブランクがあっても復帰しやすい職種
SEはブランクがあっても復帰しやすい職種といえます。ITスキルが身についていれば、他の職場でも通用しやすいからです。
これが、ほかの職種だと「ブランク = キャリアの終わり」になることもあり得ます。
例えば、有名企業の総合職として入社した人がいるとしましょう。有名企業の総合職は、数年毎に部署が変わってゼネラリストを教育する傾向があります。
すると、その企業では力を発揮できるが、転職市場に出たときに、「あなたには何ができるか?」と問われて答えられないような働き方をしているビジネスマンも以外に多いのです。
そう考えると、SEがJavaの開発を覚えると、ほかの現場にいってもすぐに馴染めるなど、ITスキルは非常に汎用性の高い職種といえます。
世の中にはSEの特性を利用して、終身雇用のような概念など捨て去り、市場価値が高い技術ばかりを追っている人もいるぐらいです。
このように、SEにはITスキルがあるため、ブランクがあっても復帰しやすいのが特徴です。少しぐらいIT業界から離れていても、気にせず復帰してください。